4〜5年前にシリーズ1、2を観て、とても感動した。
続編がシリーズ8まであり、今回は1シリーズ1から見直し。1シリーズ1から8シリーズまで、およそ10年かけて丁寧に作られている。
1957年、第二次大戦からの復興も届かず、ロンドンでも貧しい東部地区の、さらに貧しい地区に、若い助産婦(ナース)が派遣されるところから始まる。
そこを仕切っているのは修道院のシスター(尼僧)たちである。彼らもナースの資格を持つ。
当時は病院で産むのは特別で、家で産むため、助産婦たちは自転車で町中を駆け回る。
産む女の事情もいろいろである。十五で産む少女もあれば、一夜の過ちで肌の色の違う子を産む女もある。
幸せの結晶としてではない状況でも、若い助産婦たちは限りなく優しく寛容である。そしてそれを支えるシスターたちは、慈愛の念が深い。ミッドワイフたちが道徳上許しがたいと思う出産も、黙って認めてゆく、彼らは彼らのやむをえない事情があるのだと。
そして、この世に生を受ける瞬間が一番尊く美しいのだと教えられる。その後の人生がどうあろうと、健康で、愛されるために産まれる新生児のために最善を尽くす。
空色のワンピースに、赤いカーディガンがミッドワイフの制服。それを着て自転車で走り回り、産前産後の手当も怠りない。あるシリーズでは、主人公のナレーションで「あの地区で、私は千回以上も徹夜をした」とある。
ミッドワイフというのは「妻(女)とともにある、と途中で説明が入る。日本では、産婆さんと言って、昔はそんな看板の出ている家もあった。
1963年までの長いドラマである。当然、科学的な視点も入ってくる。
10年以上も前になるが、日本のドキュメンタリー映画を国際フォーラムのホールで観たことがある。病院で産まずに、自宅で、6畳くらいの和室が産室、産婆さんの手伝いで子どもを産む実録映画だった。その場には、夫も小学生のお兄ちゃんも同席している。赤ちゃんが生まれ出たとたん、父親も小さい兄も、その場で泣きだすのである。ほんとは、そのくらい感動する場面なのだ。
ナースやシスターの優しい視線と寛容な態度は、この世に生れてきた赤ちゃんはすべて幸せになることを約束されているのだと思わせる。
・ 余談であるが、ナースたちも仕事を離れれば、普通の若い女。そのファッションは、ちょうど私が自分でも作れるようになったころで、花柄プリントのワンピースなど、懐かしく思った。