蓬 窓 閑 話

「休みのない海」を改題。初心に帰れで、
10年ほど前、gooブログを始めたときのタイトル。
蓬屋をもじったもの。

関ヶ原旅情

2021年03月02日 | 旅行

 娘時代、つまり実家にいたころは、よく京都へ出かけた。

 準急で2時間だから、日帰りができた。準急は普通車と同じ値段。今でいう快速かな。

 学校の友人、2人、3人と連れ立って。あるいは一人でふらりと。

 たびたび出かけられるから、洛東、洛南と集中すれば、より多くの名所を訪れることができた。

 京都行きで前置きが長くなったが、その準急が、関ヶ原の駅へ着くと、停車時間が他の駅より長い。そしてー―

 走り始めたと思うと、今度は逆行するのである。

 今までの方向と反対方向に動く。前向きに坐っていたはずが、後ろ向きになる。

 関ヶ原での停車時間に、このまま真っすぐ行けば、日本海へ出るのだと思うと、限りない旅情がわくのだった。

 しかも関ヶ原は伊吹山のふもと、天候の悪い日が多かった。曇りだったり、雪が降っていたりで、なにかしみじみとした。雪の多い風景に屈託を抱えた心が落ち着く気がしたのだ。

 

 関ヶ原の戦いについては、なにも思わなかった。尾張には、桶狭間とか長久手という古戦場も多く、その地名を幼いときから耳にしていた。していただけで、戦国時代については、興味がなかったせいもある。 

 勤務先の慰安旅行で、土曜日に昼まで仕事をして、昼過ぎのバスに乗り、東尋坊などへ行ったことがある。どこで一泊したのか忘れたが、帰りは列車だった。

 日本海は意外に近くにあった。

  

 今でも、関ヶ原と聞くと、列車が逆行するまでの数分の待ち時間、日本海側への憧憬と、しいんとした気持ちを思い出す。

 半世紀以上も前の話だけれど。

(上記写真はネットからお借りしました)