蓬 窓 閑 話

「休みのない海」を改題。初心に帰れで、
10年ほど前、gooブログを始めたときのタイトル。
蓬屋をもじったもの。

重い  J・シュペルヴィエル

2018年02月23日 | 言葉の散歩道
 重い   J・シュペルヴィエル

 地球を運ぶのはなんと重いことか
 誰でも背中でその重さを支えているらしい。
 死人は、荷物として、少しの土地しか
 支えていない。
 生きている人の方は、地球全体をだ。
 アトラスよ、おお皆人の悲惨、
 アトラスよ、ぼくらは君の子孫だ
 ぼくらは無数にいる、
 地球はひとつっきりだ
 だがしかし、だがしかし
 誰でも地球を背中に負うのだ
 眠っているときでも、この荷物は
 眠りの底で吐息をつかせるのだ
 このたぐいない重さのしたで!
 戦争のときには、地球はいつよりも重くなる、
 ヨーロッパと太平洋で血を吸っているからだ
 ぼくらのつかれた肩のうえで地球がうめくのが聞える
 空間を呑みつくす
 恐ろしい叫びをあげて。
 だがしかし毎日少しずつそれを遠くまで運ばねばならぬ
 今日から明日へと送るために。
             (中村真一郎訳)


 シニアナビでもアップしたことがある。
 退会したら、すべて消えた。電子空間に散らばっていることだろう。
 でも、ここでまた、私はしつこくアップする。
 

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