蓬 窓 閑 話

「休みのない海」を改題。初心に帰れで、
10年ほど前、gooブログを始めたときのタイトル。
蓬屋をもじったもの。

『蠅の王』 - ノーベル文学賞を読む

2020年09月30日 | 読書
『蠅の王』 
          ウイリアム・ゴールディング(1983年受賞)
                   (平井正穂訳)

 ベネディクト・カンバーバッチが『SHARLOCK』でブレイクする前、
 ういういしさの残る『新世界』ー航海の果てにーというドラマを観たら、けっこう重い内容で、これは、はじめに原作ありきだなと、調べてみた。
 なんとノーベル文学賞受賞者のウィリアム・ゴールディングだった。
 その名は知らなかったが『蠅の王』が映画化され、放映されていたとき話題になったことは覚えていた。早速、取り寄せて読んだ。
 と、ここまで書いて何か月も経ってしまったが、やっとイメージが浮かんだ。



 原爆を使う第三次世界戦争が起こり、イギリスから疎開することなった少年たちの乗った飛行機が無人島に落ちた。
 場所は南太平洋の島で、大人は1人もいない。
 年長でクールな少年がみんなを取り仕切ることになる。
 彼が一番大事だと思ったことは、岡から烽火を常時上げ続けることだった。
 最初は従っていた少年たちも、島での狩りに夢中になる。それは彼らの空腹を満たすものだからだ。豚狩りが最高の食糧だ。
 やがて、豚狩りを主とする少年たちと、烽火を上げて救出を待つ少年たちに亀裂ができ、2つのグループは凄惨な闘争を始める。
 
 クールで行く末を考えるグループか、その場かぎりの豚狩りに熱中するグループか。
 大人社会というか、人間社会の極限を描いているようで、怖くなる。

 蠅の王というのは、死んだ豚の生首のことを指し、聖書では悪魔ベルゼブルのこととか。
 先日、アメリカで生まれたのが、蠅の王でないことを祈りたい。

 
 埋め草に、他のブログで書いたものを再掲。
 蠅の王は、アメリカだけではなかったと、痛感する日々である。