城南虜已合
一夜幾重圍
自有金笳引
能令出塞飛
聴臨關月苦
清入海風微
三奏高楼暁
胡人掩涕歸
城南 虜 已に合し
一夜 幾重にか囲む
自ずから金筋の引有り
能く出塞をして飛ばしむ
聴は関月に臨んで苦え
清は海風に人りて微かなり
三奏す 高楼の暁
胡人 沸を掩うて帰る
辺境の地に異民族の大軍と苦戦する晋の将軍、劉現の故事をうたう。
彼は晋陽(いまの山西省太原)で優勢な敵軍の包囲をうけ、
寵城も力尽きようとしたとき、ある月明の夜、楼上にのぼって胡茄を吹いた。
その哀切なしらべに、包囲していた異民族の兵士はみな嘆声をあげたが、
真夜中にふたたび吹くと、敵軍は望郷の思いをそそられて、涙を流しはじめ、
彼が暁に三たび楼上から胡茄を吹いたときには、
敵の大軍は包囲を解いて引きあげたという。
胡茄は西北方の異民族の楽器、芦笛とも木管とも言われる。
ー岩波文庫「唐詩選(中)」より引用ー
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます