小学生の時、「赤毛のアン」と出会いました。それから、ずっとアンのシリーズは私のバイブルでした。いつか、アンのように聡明な、想像力豊かなお姉さんになるのが、私の夢でした。
何度も読み返す「赤毛のアン」の中には、たくさんの聞き慣れない植物の名前が出てきました。シーツに香りをつけるラヴェンダー、春になって花が咲き出すと、一番に摘んで愛する人に捧げるというサンザシ、夕陽を吸い込む紫苑、庭に咲き誇る青い飛燕草・・・。それらの植物を想像しながら、いつかは本ものを見たい、そんな植物に囲まれて暮らしたいと思いながら大人になりました。その後の進路も植物系を歩き、仕事でもいまだに大好きな植物たちの傍らにいます。
縁あって、愛媛県に嫁いでもう、40年近くになります。いわゆる田舎ですが、私にとっては心豊かないなかです。春の土手の雑草たちの芽生えも、夏の山の濃い緑も、秋の澄んだ風も、冬の冷たい星空も、日々のエネルギーの源です。結局、自分が今いるところを大切に思い、当たり前の日々の中に美しさや楽しさを見出す力を、アンに教えてもらったのだと思っています。今いるところが、アヴォンリー。