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アトリエ 籠れ美

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平成27(2015)年5月4日より

芸術家の評価は死後30年かかる

2017-06-23 06:15:38 | 画材、技法、芸術論、美術書全般、美術番組
 一般に芸術家の評価は死後30年かかると言われます。生前高額で取引された作品が死後30年で値段が半減した、なんて話は実際によくあります。これは生前の評価が高すぎたということになります。

 通常はどんなに作品点数が多くても、作者が死んでしまえばもうそれ以上作品が生み出されることはないのですから、その価値は上がっていくはずなのです。それが下がってしまうということは作者なり画商なりが値段を吊り上げていたということになります。またそうした作品を買った人たちは必要以上のお金を出していたわけで、見る目がなかったということになります。

 逆に生前売れていて、死後30年経ってもさらに値段が上がっているなら、その人は本物の芸術家です。また死んだ当時は無名でも、死後評価され、その作品の価値が認められ、高額で取引される人も多いのです(その典型が生前は作品が1点しか売れなかったあのゴッホです)。

 それはわかったと。ではなぜ死後10年でも20年でもなく、いや40年、50年でもなく、30年なのか。それはおそらく、生前に本当にいい作品を制作していて、それを買ってくれる熱心なコレクター、ファンがいる。でも生前、世間ではさほど知られていなかった。こうした場合、その作者が世に知られるのは、作品を所有している人たちが、作品を手放したときです。

 つまり所有者が歳を取り、お金に変えたいと売りに出す、または所有者が死んでその作品を相続した子供が興味がないからと売りに出す。そうして市場に出回ったときに、もともと良質なのだから買い手はつき、さらに値が上がります。こうしたことが起こるのに作者の死後30年が必要なのでしょう。

 ですから有名だろうが無名だろうが、つまり売れっ子だろうが日曜画家だろうが、その人の作品の本当の価値、正当な評価は、死後30年経ってみないとわからない、というわけです。


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