<両軍スタメン>
- 奈良は夏バージョンのユニフォームで、メインカラーを青から「金色の装飾を施したブラック(放送席の談)」へ変更したものを着用。
攻撃時4-3-3・守備時4-4-2という基本システムの下、ポゼッションを重視するチーム同士の対決という好カード。
しかしこの日の奈良のホーム(ロートフィールド奈良)は、夜でも気温36度と高いままのコンディションで、果たしてどれだけ長所を発揮できるかどうか試される試合となりました。
ポジションの流動性の高い沼津が先に主導権を握りにいく展開に。
前半2分に最後方から中村が持ち運び、右ワイドの安在が一度パスを受けて戻すや最前線へと上がり、附木のロングパスへと走りこみ。
附木のフィードも低い弾道のもので、目線を釣ってから素早く裏を突くという意図が強く出た攻撃となり、その後ダイレクトで入れられたグラウンダーのクロスはニアの和田には僅かに合わず(堀内を倒してしまい反則で終了)と際どいものとなります。
その後奈良も5分、同じく最後方からの組み立てで幅を広く取るセンターバック。
その間で堀内→鈴木大への浮き球パスでプレッシャーをかわし、鈴木大がすかさず裏へロングパスを送ると、綺麗に裏を取った神垣がエリア内を突く決定機へと繋がり。
そして放たれたシュートがゴール右へと突き刺さり、意外にもロングボールによる攻撃の交錯でスコアが動く事となりました。
両チームとも守備面では前線からのプレッシングが主体も、この暑さもあり常時ハイプレスの姿勢は取り辛く。
そこでミドルプレス主体で、かつコンパクトな布陣を取る事で前進を阻みにいく守備隊形ですが、ともにその裏を突く事による崩しを初手に選び。
そしてボックス内での好機に繋がり、奈良の方は先制点を挙げる運びにもなり。
出会い頭といった失点を喫した沼津、改めてボールを握って反撃体制を取り。
それは本腰を入れて地上での繋ぎで、奈良の守備隊形を崩しに掛かるものであり。
9分、中央で中村縦パス→和田ポストプレイから中盤トライアングルでの保持に入った所、菅井が神垣の喰い付きを受けて倒されるも濱が縦パスを送って継続。
持井を経由して鈴木拳が左ワイドを運ぶ状況となり、アーリークロス気味にゴール前へスルーパスを送った所に、和田が足から跳び込むもこれも僅かに合わず終わります。
ミドルプレスの姿勢でも、相手がバックパスした際にはすかさずハイプレスに切り替えるのは日常茶飯事であり。
しかし奈良の前線はそこが今一つな風に見え、沼津の可変システムもあり規制がままならずという状況に。
それ故沼津の方も前節(岐阜戦、2-1)から、安在がボランチの立ち位置を取る絵図の割合を増やす事で、(ポジション的に相対する事となる)岡田優の対応を悩ませに掛かっていたでしょうか。
安在が残る分、逆サイドの濱が上がる状況を増やして攻める沼津。
附木の後方からのロングパスを最前線で受けて好機に持ち込まんとする濱ですが、オフサイドを取られる(18分)などして実にならず。
一方の奈良も、最後方からのボール保持の時間を増やす、リードしている側らしく攻撃・守備双方で役立てる姿勢。
こちらは右に長身の生駒(山口→いわきの生駒仁の弟)が居る、SBがややアンバランスな布陣の通り、下川を前に出した左肩上がりが基本となり。
しかしWG(主に生駒に相対する鈴木拳)も加わる沼津のハイプレスに苦戦気味となり。
23分には中盤での奪い合いを経てボールを確保するも、作り直しを選択するバックパスに鈴木大が反応できず、津久井に拾われてショートカウンターの危機に。
そのまま左ポケットから一気にゴールに迫った津久井ですが、GK岡田慎が前に出て撃たれる前に何とか防ぎます。
飲水タイムが挟まれ(23分)、沼津のボール保持の時間が強まる展開に。
安在の特徴ある動きを利用する攻めへと切り替え、右サイドから好機を作っていきます。
27分に奈良のスローインを左サイドでカットし、中央で津久井のドリブルを挟んで右ワイドから安在がクロス。(ブロックされ、拾い直し再度クロスもまたもブロック)
これを機に、津久井と頻繁に入れ替わりながらワイドを抉りに掛かり。
33分には後方からボランチの位置で右へ展開した安在、そのままパス&ゴーで津久井のスルーパスに走り込んでワイドからクロスを上げる役割へ。
クリアボールが真上へ上がり、GK岡田慎がパンチングで跳ね返したボールを持井がボレーシュートにいくもミート出来ずと、同点への機運を高め。
そして38分、再びボランチの位置で中村のパスを受けた安在ですが、今度は戻しを経て中村が左へ展開と逆サイドから攻め。
附木縦パス→鈴木拳入れ替わりからドリブルと素早く縦を運び、入れられたグラウンダーのクロスを徳永がスルー。
その奥でシュートしたのは津久井で豪快にゴール左へと突き刺し、流れるような前進を経て同点弾を生み出しました。
第2クォーターでは殆ど好機を生み出せない状況に陥っていた奈良。
振り出しに戻されると、39分に生駒が一気に裏を突くロングパスと立ち上がりの姿勢へと立ち帰り。
中央で岡田優が走り込むも前に出たGK武者がヘッドでクリアと、当然ながら先制点のような一本での決定機は望めない状態に。
一方沼津も同様に同点となった事でロングパスの割合を増やし、43分にはGK武者ロングフィード→鈴木拳フリックで左サイド奥を突き、走り込む和田の手前で何とかクリアして凌ぐ奈良。
こちらの方は未だ有効といった風で、アディショナルタイムにも中村がロングパスで一気に右ポケットを突き、走り込む和田に対し堀内が必死に対応。
蓋をするも奥で和田が縺れ合った末に奪い返し、決定機かと思われましたが和田の反則となって終了となり。
結局1-1のまま前半終了となりましたが、全体として守備対応の面で奈良は厳しそうな印象を受け。
42分にはボールキープする濱に対し田村が腕で倒してしまい、濱がヒートアップという絵図になるなど、腕を使って反則ギリギリのディフェンスを強いられる状況が目立っていました。
それ故かハーフタイムで動きを見せ、グスタフソン→百田へと交代して後半に臨んだ奈良。
前線の規制をもっと強め、そうした守備への負担を減らすべくの采配だったでしょうか。
しかし後半2分、沼津は左ワイドで附木のロングパスが和田に通り、スイッチを経て持井がポケットへ持ち運び。
この位置でのキープから戻し、徳永がダイレクトでシュートするも鈴木大がブロック、しかし跳ね返りを安在が拾ってさらにシュートと追撃。
これも下川がブロックするも、さらに安在が右へ叩いて継続し、津久井がカットインを経てミドルシュート(枠外)と3連撃。
この好機により、後半も沼津ペースへと流れが固定化し。
奈良はサイドからの運び、それも下川のドリブル(4分)や、後方から一気のスルーパス(6分)と中盤省略気味の好機に限定化され。
沼津のプレッシャーもあり、中々中央を使えずという攻撃面でも劣勢感を醸し出してしまい。
そして迎えた7分、沼津はGK武者ロングフィード→跳ね返りを拾った津久井から左へ展開すると、濱・鈴木健・持井のトライアングルから濱のドリブルで抜け出し。
そのまま左ポケット奥まで持ち運んでクロスが入り、ブロックを掠めるもニアで和田が受け、ディフェンスに遭い混戦となるもシュートは撃てず。
しかしクリアボールを回収して再び最後方から作り直し、中村のロングパスにより奈良が前に出た所を突く格好になり堂々巡り。
今度は津久井が右奥でボールキープ、クロスでは無く小さな浮き球でポケットを突く選択を採ると、走り込んだ徳永がディフェンスに遭うも再び混戦に。
そして中央で持井が鈴木拳のレイオフを挟み、ディフェンスを左にかわしてシュート。
鈴木拳に蓋をされるという形でかわされた生駒が必死についていきブロックするも、ディフレクションでゴール右へ吸い込まれる結果となります。
好循環そのままに、逆転を果たした沼津。
度重なる連撃で傷付いたという奈良、まずは反撃体制を作らなければならない状況に。
11分にGK武者のフィードを跳ね返し、中島が確保してからの攻撃、ここで中央からの持ち運びを選択する中島。
沼津のネガトラもあり空いていた事が幸いし、持ち運び→國武とのワンツーを経てバイタルを突き、左ポケットへのスルーパスを岡田優が奥で受ける(切り返した所をこぼされてコーナーに)という具合にようやく有効打。
するとこの左CKの前にベンチがさらに動き、國武→山本へと交代。
キッカー中島のクロスが跳ね返されてからの二次攻撃で、堀内が後方からエリア内へ放り込み、生駒のフリックしたボールがディフェンスに当たってこぼれ。
そこへすかさず反応した百田がボレーシュートを放ちましたが、枠を捉えられず。
グスタフソンの高さが無くなった所を山本で補うといった奈良の采配ですが、際立った成果は挙げられず。
17分に右ワイド後方から生駒が斜めの縦パス→中央で百田フリック→山本1タッチで右裏へミドルパスと、ここも中央経由で素早く運んだもののフィニッシュには繋がらず。
好機は作るものの良好とはいえず、その間にも沼津のサイド攻撃に脅かされるの連続。
変幻自在なポジションチェンジを繰り返されては、掴まえるのに難儀、構えても縦パスで間を通される「どちらに転んでも地獄」という対応を強いられます。
そんななか沼津もカードを切る段階となり18分、初手は前節同様に津久井→齋藤。
鈴木拳が右に回るという定石を描きます。
すると奈良もすかさず動き19分、生駒・田村→吉村・嫁阪へと2枚替え。
右サイドの選手を揃って交代してきました。
より純粋なSBに代わったとあり、以降中盤の選手が降りての最終ライン3枚、という色が強まる奈良のビルドアップ。
これで両SBを高い位置へと押し上げる狙いは明らかでしたが、相変わらずの前線の圧力により中々果たす事が出来ず。
23分の沼津、右サイド中心のパスワークによる攻めが途切れたのち、奈良の後方からの縦パスを菅井がカットして再度攻撃。
その流れで齋藤も右側に位置してパスを受けるという状況から、逆サイドへ展開しての前進で、濱の持ち運びから再度パスを受けた齋藤が左ポケットへ進入。
そして入れられたクロスをニアで持井が合わせヘディングシュート、堀内がブロックするもループの軌道でゴールに向かい、「またディフレクションでのゴールか?」と思わせたもののGK岡田慎が何とかセーブ。
テコ入れはしたものの、やはりSBの質の差はどうにもならないという攻防。
24分に飲水タイムが挟まれた後も同様で、依然として奈良はSBが低い位置でパスを受けるも前進出来ないという状況を打開できず。
そのSBでの優位性を以降も発揮する沼津、28分には最終ラインで奈良のプレッシャーを引き寄せると、安在がワントラップで岡田優を鮮やかに剥がしてから前進。
そして縦パスを受けた鈴木拳が右ポケットへスルーパスと、素早く運んだ末に走り込んだ和田がシュート(鈴木大がブロックしてCKに)と、前掛かりにならざるを得ない相手を逆手に取る攻めで脅かします。
直後の29分、たった今攻めに絡んだ鈴木拳・和田に代え、ベテランの染矢・川又を投入。
そして沼津の右CKで再開し、その二次攻撃で中村ロングパス→川又フリックでゴール前を突きに掛かり。
更に附木によりスペースへ落とされ、走り込む菅井と抑えにいったGK岡田慎が交錯するという息を呑むシーンが生まれてしまいます。
岡田慎が先にボールを抑えたため反則で終了となりましたが、長らく倒れ込んだ岡田慎により慌ただしくなる奈良ベンチ。
幸い無事に継続した岡田慎ですが、再開直後にはよりによって深めで川又にボール奪取されてしまう(その後染矢が奥からクロスもGK岡田慎が抑える)など、動揺を隠せません。
何とか気を取り直すも、SBが上がれずに巧く繋がらず、遠目からのクロスへと傾倒していく奈良の攻撃。
38分その右からの鈴木大のクロスが流れた所、左奥で岡田優が拾って継続と何とか形にし、岡田優のクロスもクリアされましたがさらに拾い継続。
そして左ポケットで(堀内の)スルーパスに走り込む岡田優という、ポイントゲッターにようやく訪れた好機の絵図となりましたが、安在の反則気味のアタックで倒されて(笛は鳴らず)モノになりません。
直後に沼津は徳永が足を攣らせた事で、最後の交代を敢行。(徳永・持井→沼田・遠山)
奈良もそれに合わせ、中島→森田と最後のカードを切りました。
43分、沼津はロングフィードの跳ね返りを川又が落とし、拾った染矢が切り込むという手数の少ない好機。
しかし体力的に衰えていく強度の中それは最大の武器であり、ラストパスを受けた遠山のシュートがブロックされるもCKで継続。
そしてキッカー齋藤のクロスが上がると、マンツーマンで付く奈良ディフェンスを力で剥がした沼田がヘディングシュートでゴールネットを揺らします。
土壇場で得た追加点で、久々の連勝へ加速する沼津。
2点差で迎えたAT。
奈良も諦めずに攻め込むものの、攻撃が途切れると相変わらず沼津の運ぶ力が、今度は逃げきりに向けて脅威となる状況に。
安在・染矢・遠山のラインで右サイドを繋がれ、時間を使われる苦しい展開を強いられます。
安易なパワープレイには出ないという、ポゼッションスタイルらしい選択を採ったものの、(途切れると沼津のキープの機会を増やすため)逆にそれが奏功した感があり。
何とか沼津の攻撃を切って最終ラインでの保持から、神垣縦パス→山本フリックで一気に前線に渡ると、岡田優がドリブルで左ポケットを突き。
ポイントゲッターの彼が綺麗にチャンスエリアを取る形をようやく作った末にシュートが放たれ、GK武者が足でセーブした跳ね返りを百田が詰めてゴールゲット。
1点差に詰め寄り、時間が少ないながらも望みを繋ぐ奈良。
そしてその通りに尚も攻め上がり、それを防いだ沼津の縦パスを堀内がカットして更に後方から押し上げ。
そして中央を嫁阪がドリブルに入った所、かわした染矢に引っ掛かって倒れる形となって反則。
丁度目安時間が尽きるという所で得た直接フリーキック。
ほぼ最後の攻防という事で、沼津サイドも壁構築に注入し、対する奈良サイドは幅広く選手を配置して跳ね返りを詰められる体勢に。
そして放たれたキッカー嫁阪のシュートは、壁の下を抜くボールでゴールを襲い。
これをGK武者はキャッチにいき、弾いたボールが尚もゴール方向へと転がりますが、ラインを割るかどうかという所で何とか抑えた武者。
画面からは良く見えない位置であり、相当に際どいものだったらしく、ラインを越えたとして奈良サイドは猛抗議。
スタンドからも「入ってる」という怒号が上がりますが、結局ゴールとはならず、その異議を押し留めるべく試合を止める事となった審判団。
そして副産物として、まずはオリオールコーチ、そして尚も収まらずというフリアン監督に警告が付き出される結果に終わりました。
(しかし何故かドロップボールで無くゴールキックでの再開となったのは頂けず)
結局再開直後に試合終了の笛が鳴り。
しこりを残したものの、2-3で沼津が勝利と、同タイプのクラブの対決を制した事で勢いが付けられるでしょうか。