打って、走って、守ってもすごい。鉄平が五回には好返球で補殺しCSをぐぐっと引き寄せた
(パ・リーグ、楽天5-4ソフトバンク、23回戦、楽天13勝10敗、1日、Kスタ宮城)楽天は1日、ソフトバンク23回戦(Kスタ宮城)の七回に集中打が飛び出し、連夜の逆転勝ち。ついにソフトバンクを抜いて2位に浮上した。クライマックスシリーズ(CS)進出マジックも「2」。2日に先発・田中将大投手(20)で王手をかけ、3日の西武との直接対決(Kスタ宮城)で悲願のCS進出を決める。
試合終了後、ナインが自然と抱き合っていた。楽天がまた“奇跡”を起こした。8月10日時点では、最大10ゲーム差をつけられていたソフトバンクに逆転勝ち、5月30日以来の2位に浮上した。
「まさに不思議の勝ちだな。神懸かり的な流れがきている。きょうは鉄平デーだ。攻守にわたって大活躍だ」
野村監督の表情を緩ませたこの日の主役は、鉄平だ。三回の10号ソロに続き、七回は一死一塁から左前打。草野の適時打、リンデンの逆転2点適時二塁打を呼び込んだ。守備でも2点ビハインドの五回一死二、三塁の中飛を好返球。三走を本塁で刺すビッグプレーで流れをつかんだ。
「当てにいっていると両親からメールとか来ていたんで、マン振り(フルスイング)しました」と照れ笑いの鉄平。野村監督と同じ06年に楽天入りした当初は、9打席連続三振など、指揮官を悩ませる存在だった。それが今や不動の3番打者をつとめ、“野村チルドレン”として堂々のパ・リーグ首位打者にまで成長した。
ミラクル連勝でCSマジックはついに「2」。試合前のノムさんの脳裏には、早くも「ビールかけってさ、南海が最初じゃない? 巨人に勝った年の祝勝会でいきなりやっちゃってさ、旅館の畳の上で…。旅館にめちゃくちゃ怒られたんだよなあ」と、1959年(昭和34年)の巨人との日本シリーズを制した記憶がよぎった。あのビールかけから50年。2009年、再び最高の美酒に酔いたい。
「何とか仙台でCSができるようにがんばりたいね。あした勝てば可能性が非常に出てくるよ」
CS進出はもちろん、本拠地でCSを戦える2位のマジックも「6」だ。
2日は、田中が満を持しての先発。野村監督の期待はいやが上にも高まる。チーム誕生5年目、楽天の夢が実現するときが刻一刻と迫っている。(サンスポ)