勝手にお喋りーSanctuaryー

マニアックな趣味のお喋りを勝手につらつらと語っていますー聖域と言うより、隠れ家ー

拾ったお金で夢を買う

2006-05-18 | 映画のお喋り
 『チャーリーとチョコレート工場』 2005年・アメリカ
   監督:ティム・バートン
   出演:ジョニー・デップ、フレディ・ハイモア、クリストファー・リー

マットの次に好きなジョニデの映画なので、期待感はあった。
ジョニデを世に出した『シザーハンズ』の監督との競演も楽しみ。
そう言えばこの二人『スリーピー・ホロウ』でも組んでいた。
手馴れた相手と組んだ二人が、どう言う引き出しで楽しませてくれるのだろう。

出だしは無難だった。
『ネバーランド』でジョニデを食ったと言われる子役のフレディくん演じるチャーリーの家族は6人。
両親はわかるが、祖父母4人って!今の時代を象徴する逆ピラミッド家族だ。
この貧しさが優しさに溢れる家族愛はお約束だがうるさくはなかった。
ゴールドチケットが当たるまでの気の持たせかたも。

少々ストーリーに触れると、チョコレート作りの天才ウィリー・ウォンカ(ジョニー・デップ)は、ある街に馬鹿でかいチョコレート工場を建てた。
彼のチョコレートは大人気だったが、ライバル会社がそのレシピを盗み、次々とパクリ商品を売り出してしまう。
人間不信に陥ったウォンカは、工場を封鎖してしまう。
やがて工場は再開されるが、ウォンカは誰一人雇おうとせず、工場の中の様子は誰にも知ることが出来なかった。

チャーリーの祖父の一人は、かつてその工場で働いていた。
先が短い祖父は、もう一度だけ工場の中に入りたいと夢見ていた。
そんな時、ウォンカはコールドチケットの入ったチョコレートに当たった5人を、工場見学に招待すると言う広告を出した。
(以後完全なネタバレ!)

それからはこの5枚のゴールドチケットを求めて、世界中が大騒ぎ。
チャーリーは祖父の為にゴールドチケットをと考えたが、その日の食事にも事欠く貧しい家庭にチョコレートを買う余裕はない。
やがて1人、2人と当選者が現れる。
両親はチャーリーの気持ちを察して、彼の誕生日にチョコレートを送る。
だがこのたった1枚のチョコレートの中には、ゴールデンチケットは入っていなかった。

工場に勤めていた祖父は、自分のへそくりをチャーリーに渡す。
だがこのへそくりで買ったチョコレートも空振り。
そしていよいよ問題のシーンだ。
4枚のゴールドチケットがすでに他の人に当たってしまった。
失望するチャーリーの目の前に、半分雪に埋もれた10ドル札が・・・。

これはダメだろう。拾ったお金で買ったチョコレートが当たりだなんて。
当然家に帰ったら、両親に「そのお金はどうしたの?」と問い詰められるのかと思ったら、家族揃ってただ喜ぶだけ。
これまで散々、当選した子供とその親がTVに映るたび、ろくな子じゃないとか、親が甘やかしすぎとか批判していたのに。
(実際他の4人の子供は、揃いも揃ってアホばかりだが)
これじゃ、チャーリーも両親も他のところと変わらない。

誕生日で外れ、拾ったお金で外れ、おじいちゃんのヘソクリで当たれば、こんな感覚にならなかったのに。
チャーリーに大きな罪はない。この場合、大抵の子供はチョコレートを買ってしまうだろう。
問題なのは親の態度。
せめて両親が問い質し、子供をしかり、祖父が庇い、両親はこの祖父の為に目を瞑ることにした、なんてエピソードが欲しかった。
お陰でこれ以降、私はこの家族にどうにも共感を持てなくなってしまった。

褒めるとこはもちろんある。
ウォンカ=ジョニデの、白塗りにしてもきれいな顔と、ちょっと悲しげな表情はいい。
ディズニーをホラーにしてしまうとこはかなり好き。
英語のダジャレ、映画のパロディ、ウンバルンバのどこをとっても金太郎飴、セラピーの皮肉。
笑いどころ満載だ。

でもチャーリーが何もしないで、安手のライバルの自滅だけで幸運を手に入れるってどうなの?
せめて罠に落ちた他の子供を助けようとしたとかないの?
それともこれが全部皮肉で、いい子ぶってれば大人なんて簡単に騙せるよねえ…ってオチ?
もっともウォンカだって子供のまま大人になったような人だから、いたずらを楽しんでるだけみたいだし。

悪い子が罠に落ちて、酷い目にあって、それを楽しめれば面白いのだろうか。
少なくとも帰っていく子供はともかく、親の方は大分変化があったようだし。
それでもやっぱりチャーリーの見せ場がまったくないことに変わりはない。
夢の工場ではなく、家族を選ぶのだって、あの年の子供なら当たり前だし。
ま、ウォンカのトラウマ解決には一役買ったけど。

結局拾った(ネコババした)お金で買った宝くじが、見事特等!おめでとう!ラッキーってあるんだね!ってことで納得するしかないようだ。
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