第一報を聞いた時には驚いた。
「庄司智春LIVE」
庄司さんが一人でライブをやると言うのだ。
実に簡潔なネーミングに、想像はいろいろと広がった。
単独と入れなかったのは何故?
相方に気を使ったから?
ゲストの力を借りるから?
うん、そうかもしれない。
後輩集めて、ゲームでもして時間を稼ぐ気かも・・・。
だって持ちネタと言ったらパピプペポしかないんだもの。
あんまり期待せずにチケットを入手。
事情があって発売日から3日後の購入にもかかわらず、整理番号は満席の半分くらい。
う、売れてない・・・。
告知もしないので、ファンサイトを覗く熱心なファンだけに囲まれたライブにしたいのかなと思った。
つまり笑う気満々の暖かいお客さんだけの集まり。
初の試みなのだから、一番怖いのは本人だろう。
お友達と待ち合わせて軽く食事をしてから会場へ。
気がつくといつもの品庄仲間が8人顔を見せていた。
しかもどうやら満席らしい。
まずは一安心。
小さな会場だった。
椅子を並べたら人が通る隙間もない。
奥の席には舞台に上ってから行くしかない。
どこから見ても舞台が近い。
そして思ったとおりの暖かい雰囲気の中、舞台が暗転した。
ライトが当たり、バンダナを巻いてギターを持った庄司さんが歌いだす。
だがハーモニカの代わりに別のものが。
袖に引っ込んで戻ってくるたびその内容が変わる。
客席は暖かい笑いに包まれている。
そのオープニングコントを含めて、コントは4本。
予想に反して後輩の応援もなく、完全に一人のライブだ。
「デリバリーピザ」「熟女の筆おろし」「ナルシスト」と言う題名がついていた。
ピザ屋の配達員がリビングのソファに居座ってしまうコント。
チェリーちゃんを誘う熟女のコント。
そしてたくさんに人を幸せにするナルシスト。
ピザ屋さんとチェリーのユウくんは人形を使った。
正直この人形は失敗だったと思う。
人形が倒れてしまうと言うハプニングで笑いを取ってはいけない。
誰もいない空間に、相手がいるかのように錯覚させるのが一人芝居の醍醐味でしょう?
実際オープニングコントでは誰もいない空間に話しかけ、名前は忘れたがバックのバンドマンがいるように思わせていた。
やれば出来るのに、もったいなかった。
ナルシストは異色のコントで、それぞれのシチュエーションで女性の声。
その都度ピンスポを手にした庄司さんが自らに酔いしれる。
それを見た女性が元気になったり幸せになったりする。
ナルシストをヒーローのパロディにしたのだと思うが、お客さんにその意図が伝わったかちょっと心配。
コントが終わると照明が明るくなり、ジャージ姿の庄司さんが登場。
コントは6つ作ったけど、本番が近づくにつれ2つ削り、「脱ぐこと」に頼ったコントばかり残ってしまったそうだ。
筋肉や裸に頼らなくても十分やっていけるという自信を早く持って欲しい。
庄司さんは強いところと弱いところと、双方を極端に持ち合わせている人だ。
相方さんがよく言っていたが、営業でお客に絡まれた時など、かなり強気の対応が出来るらしい。
だが弱いところは徹底して弱い。
「すべる」と言うのは芸人にとって、高所恐怖症の人がバンジーをやらされるほど辛いことだ。
何より恐ろしく、仕事ですべった後は眠れないほど悩むらしい。
庄司さんも「笑っていいとも」のコーナーでかなり辛い思いをしてるようだ。
いじられることを「いじめ」に近く感じている気がする。
だが時にはいじられ、すべり、冷笑を浴びせられることで成り立つ場合もある。
回答の後でいきなり切れず、お客さんが笑わないことを笑いに変えて行く。
そのためには「すべった空気」をしばらく肌で感じなくてはいけない。
何より辛いことかもしれないが、「すべった空気」に耐えられる強さを持って欲しい。
コントの後は企画で「演技力を鍛えよう」と「ギャグを作ろう」のコーナーになった。
「演技力・・」の方は企画のお陰で凄く面白かったが、これは誰がやっても面白かったかもしれない。
「ギャグ・・」の方はすべりの連続だった。
ここで庄司さんは独り言のように自分にある言葉を言い聞かせていた。
記憶力減退のせいではっきりとした言葉は覚えてないが、「すべって笑いを知れ」と言うようなことだった。
庄司さんもわかっているのだ。
芸人として成長するためには、数多くの「すべった空気」に耐えなければならないことを。
すべって、すべって、すべりまくって、耐えて、耐えて、耐え抜いて、強くなるのだし成長する。
ここまで暖かく、ここまで優しく見守っているお客さんの中ですべり、すべることに耐える力が育つのなら、このライブを気が済むまで続けて欲しい。
芸人として一番辛いことを避けたい、逃げ出したい。
その気持ちに勝たないと成長はない。
「また5月に」
庄司さんの挑戦はどうやら始まったばかりらしい。
中目黒の小さな劇場の中に、私は小さなつぼみを見つけた。
「庄司智春LIVE」
庄司さんが一人でライブをやると言うのだ。
実に簡潔なネーミングに、想像はいろいろと広がった。
単独と入れなかったのは何故?
相方に気を使ったから?
ゲストの力を借りるから?
うん、そうかもしれない。
後輩集めて、ゲームでもして時間を稼ぐ気かも・・・。
だって持ちネタと言ったらパピプペポしかないんだもの。
あんまり期待せずにチケットを入手。
事情があって発売日から3日後の購入にもかかわらず、整理番号は満席の半分くらい。
う、売れてない・・・。
告知もしないので、ファンサイトを覗く熱心なファンだけに囲まれたライブにしたいのかなと思った。
つまり笑う気満々の暖かいお客さんだけの集まり。
初の試みなのだから、一番怖いのは本人だろう。
お友達と待ち合わせて軽く食事をしてから会場へ。
気がつくといつもの品庄仲間が8人顔を見せていた。
しかもどうやら満席らしい。
まずは一安心。
小さな会場だった。
椅子を並べたら人が通る隙間もない。
奥の席には舞台に上ってから行くしかない。
どこから見ても舞台が近い。
そして思ったとおりの暖かい雰囲気の中、舞台が暗転した。
ライトが当たり、バンダナを巻いてギターを持った庄司さんが歌いだす。
だがハーモニカの代わりに別のものが。
袖に引っ込んで戻ってくるたびその内容が変わる。
客席は暖かい笑いに包まれている。
そのオープニングコントを含めて、コントは4本。
予想に反して後輩の応援もなく、完全に一人のライブだ。
「デリバリーピザ」「熟女の筆おろし」「ナルシスト」と言う題名がついていた。
ピザ屋の配達員がリビングのソファに居座ってしまうコント。
チェリーちゃんを誘う熟女のコント。
そしてたくさんに人を幸せにするナルシスト。
ピザ屋さんとチェリーのユウくんは人形を使った。
正直この人形は失敗だったと思う。
人形が倒れてしまうと言うハプニングで笑いを取ってはいけない。
誰もいない空間に、相手がいるかのように錯覚させるのが一人芝居の醍醐味でしょう?
実際オープニングコントでは誰もいない空間に話しかけ、名前は忘れたがバックのバンドマンがいるように思わせていた。
やれば出来るのに、もったいなかった。
ナルシストは異色のコントで、それぞれのシチュエーションで女性の声。
その都度ピンスポを手にした庄司さんが自らに酔いしれる。
それを見た女性が元気になったり幸せになったりする。
ナルシストをヒーローのパロディにしたのだと思うが、お客さんにその意図が伝わったかちょっと心配。
コントが終わると照明が明るくなり、ジャージ姿の庄司さんが登場。
コントは6つ作ったけど、本番が近づくにつれ2つ削り、「脱ぐこと」に頼ったコントばかり残ってしまったそうだ。
筋肉や裸に頼らなくても十分やっていけるという自信を早く持って欲しい。
庄司さんは強いところと弱いところと、双方を極端に持ち合わせている人だ。
相方さんがよく言っていたが、営業でお客に絡まれた時など、かなり強気の対応が出来るらしい。
だが弱いところは徹底して弱い。
「すべる」と言うのは芸人にとって、高所恐怖症の人がバンジーをやらされるほど辛いことだ。
何より恐ろしく、仕事ですべった後は眠れないほど悩むらしい。
庄司さんも「笑っていいとも」のコーナーでかなり辛い思いをしてるようだ。
いじられることを「いじめ」に近く感じている気がする。
だが時にはいじられ、すべり、冷笑を浴びせられることで成り立つ場合もある。
回答の後でいきなり切れず、お客さんが笑わないことを笑いに変えて行く。
そのためには「すべった空気」をしばらく肌で感じなくてはいけない。
何より辛いことかもしれないが、「すべった空気」に耐えられる強さを持って欲しい。
コントの後は企画で「演技力を鍛えよう」と「ギャグを作ろう」のコーナーになった。
「演技力・・」の方は企画のお陰で凄く面白かったが、これは誰がやっても面白かったかもしれない。
「ギャグ・・」の方はすべりの連続だった。
ここで庄司さんは独り言のように自分にある言葉を言い聞かせていた。
記憶力減退のせいではっきりとした言葉は覚えてないが、「すべって笑いを知れ」と言うようなことだった。
庄司さんもわかっているのだ。
芸人として成長するためには、数多くの「すべった空気」に耐えなければならないことを。
すべって、すべって、すべりまくって、耐えて、耐えて、耐え抜いて、強くなるのだし成長する。
ここまで暖かく、ここまで優しく見守っているお客さんの中ですべり、すべることに耐える力が育つのなら、このライブを気が済むまで続けて欲しい。
芸人として一番辛いことを避けたい、逃げ出したい。
その気持ちに勝たないと成長はない。
「また5月に」
庄司さんの挑戦はどうやら始まったばかりらしい。
中目黒の小さな劇場の中に、私は小さなつぼみを見つけた。