「こうしたい」と「つくる」の間に 一級建築士事務所アーク・ライフのブログ

東京都町田市の一級建築士事務所アーク・ライフです。住まい手の「こうしたい」と「つくる」の間で要望を共有し一緒に考えます。

町田の断熱耐震改修工事 外壁の耐震改修が進んできました

2020-09-03 14:36:20 | 断熱改修
町田の断熱耐震改修工事、外壁の耐震改修が進んできました


合板貼りと気密シート張りが済んだ場所は雨に備えてブルーシート張りをしてくれています。
断熱工事には必須の配慮ですね。


南側の大きな窓のある部分の解体が済んで、耐震改修のための打ち合わせをしました。
改修なので元の下地がデコボコしていたり、想定外の部分に部材の継ぎ手があったりしますが、耐震的に機能するように大工さんと相談します。

テクトハウジングのS棟梁は町田市で耐震改修の経験を多く積んでいるので、力の伝わり方、金物の取り付け、釘の打ち方などに配慮して作業を進めてくれます。


耐震の合板貼りと気密シート張りが済んだ場所の写真です。
合板の外側に気密シートを張り、そのさらに外側に断熱材を設置して断熱改修します。

この改修方法は「外張り断熱気密改修」として北海道建築技術協会発行の『北の住まいの熱環境計画2015』という、断熱施工技術者向けの本で紹介されています。
https://hobea.or.jp/documents/book/
既存住宅の外壁の気密の連続性が確保されていない状況で、室内側で気密処理するのは困難ですが、この方法であれば、気密の連続性を確保しやすくなります。

この気密シートの上にネオマフォームという高性能な断熱材を90mm分設置する予定です。
その設置も北海道の山本亜耕さんに学び、改修ならではの工夫を取り入れて行います。
またこちらのブログで報告させていただきます。

町田の断熱耐震改修工事 屋根工事の様子

2020-08-24 10:38:37 | お知らせ


町田の断熱耐震改修工事の現場では耐震改修工事が進み、屋根工事も行われていました。



現場の外気温は日陰で33℃、湿度68%でした。
絶対湿度では実に22g/kgDAと空気中の水分量が物凄いことになっています。



一方2階の室温は33℃、湿度63%でした。
締め切った2階の室温が外気温よりも低いという、断熱の効果を示す現象が続いています。
湿度は外よりも低く絶対湿度換算では18.2g/kgDAとなっていました。
特に除湿はしていないので湿度計の誤差かもしれません。




屋根ではガルバリウム鋼板を施工していました。
屋根葺き材の一番熱い場所では77.5℃となっていて、触ったら火傷をしてしまうような温度になっていました。
この時点では、施工途中に雨漏りしないように屋根通気は止めている状態でした。



この時、2階の室内で屋根の室内側表面温度は32.5℃。
45℃程度の温度差がありました。



その後、屋根屋さんが屋根通気を通した状態がこちらです。
午後2時くらいで南側屋根の表面温度は62℃程度になっています。
屋根通気の効果で多少屋根の表面温度が下がったようです。



さらにその後、屋根通気のための部材、リッヂベンツを置いた状態です。
屋根表面温度が52.9℃とさらに下がっています。



屋根通気部分の写真です。
日の当たるリッヂベンツ上面で52.9℃。
空気が抜けてくるハチの巣状の部分で57.9℃でした。
屋根通気の部分を通った熱い空気が、リッヂベンツから抜けてきているように見えます。


屋根を支える垂木の施工状況です。
屋根の下から垂木の間を通って空気が抜けていくようになっています。




外壁も解体、耐震、合板貼り、気密シート張りが順調に進んでいます。

今回、東京都の町田市で行っている断熱耐震改修工事は、北海道から断熱と気密、屋根通気という技術を学び、温暖地でも快適で耐久性の高い改修工事を実現しようと取り組んでいるものです。
今までの経験上でも、グラスウールで30センチ相当の分厚い屋根断熱をすることで、屋根からの熱を遮り、夏を涼しく過ごせると感じてきました。
今回の現場でサーモカメラを用いることで、北海道という寒い地方で室内の熱を逃がさないために発展した技術が、暑さ対策にも有効だと数字の上でも確認することができました。


町田の断熱耐震改修工事 屋根断熱が完了しました

2020-08-21 01:09:18 | 断熱改修

町田の断熱耐震改修工事は屋根断熱工事が完了し、外壁の耐震改修工事に入りました。


現場に着いてみると、外気温は日影でも36.2℃、湿度は59%でした。



屋根の防水紙は南側が71.4℃、北側が63.5℃とかなりの高温です。



しかし2階に上がってみると、窓・雨戸が締め切りの状態で室温33℃でした。
外気温に比べ3℃程度低くなっています。

これが断熱の効果です。
締めきって風通しのない2階の室温は通常外気温より高くなることが多いですが、それは屋根の断熱が不十分だからです。
気密シートと34cmのグラスウールで屋根面を70℃近くまで高温にしている熱の侵入を防ぐと同時に、雨戸を締め切ることで窓からの日射による熱を防ぎ、室内を外気温よりも低い状態に保っています。



実際に2階の室内の熱画像を見ると、
・屋根面の室内側表面温度は31.9℃(屋根外側面との差は40℃弱!)
・窓(雨戸閉状態)は36.4℃
・外壁の日が当たっている部分の室内側は33.8℃
・工事の途中に生じた屋根と外壁の隙間は34.1℃
※この隙間は当然外壁の断熱工事で塞ぎます
となっていて、屋根面の室内側表面温度の低さが際立ちます。

このあと、外壁の断熱と、窓の交換を行いますのでさらに室内への熱の侵入が小さくなります。
断熱は冬の室内を温かく保つのに効果があるだけでなく、夏の室内を涼しく保つことにも効果を発揮します。


下屋面の断熱工事途中の様子です。
白いグラスウールが34cm分入ったところです。



屋根の断熱が完了し、新しく屋根を傘のようにかけたところで、外壁の工事に入りました。
外壁を撤去して、耐震補強のための金物設置、合板貼りをします。


その後、気密シートを合板の外面に設置、その後断熱材を気密シートの外側に設置していきます。
気密シートは基礎から屋根まで連続するように施工してくれています。

改修での屋根断熱工事という一つの山を越し、大工さん達はさらに頼もしく断熱耐震改修工事を進めてくれています。
暑い日が続きますが、どうぞ安全な作業をよろしくお願いします。

下屋の断熱工事と大屋根の断熱効果の確認

2020-08-12 00:51:33 | 断熱改修

今日の外気温(日影)は34℃、相対湿度は54%
大屋根の断熱工事の済んだ2階の室温は33℃、相対湿度57%でした。
今日も暑い中大工さん達が頑張って断熱工事の作業を進めてくれていました

私はというと、大屋根の断熱工事が済んだので効果の確認をしました。
大屋根にはグラスウール34cm分を充填していますが、その効果はどれほどか、熱画像カメラを使って確認します。


まず、大屋根の防水紙の外の温度です。
大屋根は日射があたってかなりの高温になります。
熱画像カメラで撮影すると、最高で68℃にもなっていました。

それを室内側から確認しました。


室内側から屋根の裏面を見ると、室温とほぼ同じ約33℃でした。
屋根の外側では68℃になっていますが、34cm厚分のグラスウールが熱を遮り、屋根裏面の温度は上がっていないことがわかります。
また、熱画像ではまだ断熱工事をしていない窓が赤くなっていて、窓を通して熱が入ってきていることがわかります。

断熱材を厚くしても、施工精度によっては効果を発揮しきれず、隙間から熱が漏れることがあります。
今回熱画像を撮影してみて、断熱材がきちんと施工され、効果を発揮していることが確認できました。


大工さん達は下屋(1階の屋根)の断熱工事をほぼ終え、屋根の垂木を設置しているところでした。
暑い中、丁寧な施工をしてくれて頭がさがります。
どうぞ、安全な作業をよろしくお願いします。

断熱耐震改修工事 大屋根の断熱工事が完了しました

2020-08-10 22:25:41 | 断熱改修


東京都町田市の断熱耐震改修ですが、梅雨明け後、大屋根の断熱工事が完了しました。

断熱材を施工するためには室内側から防湿層、断熱層、防風・通気層、防水層という順番に施工します。
梅雨明け前に、防湿層までは完了していましたので、梅雨明け後は断熱材の設置から始まりました。


まず、ツーバイテンの下地の間に23.5cm分のマット状のグラスウールを充填します。


その後井桁状に設けた下地の間にさらに10.5cm分のグラスウールを充填して計34cmの充填が完了しました。
すぐに断熱材を保護するための幅広のタイベックを張り、万が一屋根から雨漏りした時のバックアップとします。


その上に、屋根を支える垂木を設置。
垂木の高さは9cmとして屋根の通気を確保しました。
垂木の上部には一部欠きこみを設けて空気の流通を妨げないように加工してくれています。


その上に野地合板を敷いてから屋根の防水紙を設置。
屋根葺き材の金属板を施工する前の段階まで完了しました。

この断熱の効果を視覚的に確認するため、明日サーモカメラで屋内の熱画像を撮影してきます。
梅雨明け後炎天下が続いているので、効果がはっきり見える画像が撮れそうです。