僕はパリの5月が好きだ
花のつぼみが芽吹いて 若々しい命が
春の光を受けた古い 街を被いつくすのを
冬のしばりが解かれ
太陽が目覚めたばかりの 家々の屋根をなでるのを
通る道のあちこちに すずらんのこの香りの
そよ風に乗ってにおうのが
散歩するのは楽しい 通りから次の通りへ 街を横切って歩く
日が昇るときに 浅い眠りから覚めた 街はあでやかさを
取り戻して色気づく
すべてが急にいきいきと
見知らぬ世界から 幸せな太陽が輝くのを
そよ風が運んでくる いろんな物音や
おしゃべりの声が 戸口から戸口へと
散歩するのは楽しい 通りには人があふれ
娘たちに誘いかける