鳩時計 Ⅱ

2009-09-13 10:55:01 | 祈り


流れる風を よぎるように 響く 鐘の音

私は 懐かしい街に 足をのばしやって来た 


闇に包まれた 夜更けの街は まるで

冬をむかえた 季節の 終焉の ようだ


遠い記憶が 目の前にひろがっていく 

なにもかも 変わらずに ある



私は 一歩一歩 階段を 踏みしめる

部屋には 思い出の 欠片 さえない

あるはずのないものを ・・・・・

私は 探す


 
今の私に ないもの はない

失うべき ものも なにもない



私から奪えるものが あるなら 奪うがいい



きしむ床と 流れるような 壁のフォルム

私に呼び掛ける声や 賑わう雑踏はない 


ドームの鐘の音と 胸に鳴り続けた 時計 

狂った鳩時計の 音だけが 蘇える



私は 一歩一歩 階段を 踏みしめる

部屋には 思い出の 欠片 さえない

あるはずのないものを ・・・・・

私は 想う
 

あてどなく 鳴り続ける 鳩時計を

今の私に 失うものは なにもない 

貴方を失った 私からは


な に も な い ・ ・ ・ ・ ・

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