夕暮れのフクロウ

―――すべての理論は灰色で、生命は緑なす樹。ヘーゲル概念論の研究のために―――(赤尾秀一の研究ブログ)

二度あることは三度ある

2017年06月28日 | 政治・経済

 

稲田大臣の「自衛隊発言」に野党の批判強まる 4日後に都議選を控え、自民党内でも深刻視 | 日テレNEWS24 - 東洋経済オンライン http://toyokeizai.net/articles/-/178323 @Toyokeizaiさんから

 

最近になって失望することになった女性の政治家が二人いる。現在東京都知事として都議選を戦っている小池百合子さんと、一昨日にその都知事選に応援演説をかって出た現在の防衛大臣、稲田朋美氏である。もちろん、言うまでもなくその資質と能力を厳密に判定することなくして、女性だからという理由だけで評価を左右することはない。かって、イスラエルにはゴルダ・メイアという優れた女性首相がいたし、イギリスには「イギリス病」を克服するのに大きな貢献したサッチャー首相がいた。現在のイギリスのメイ首相の能力については未知数であり判断するだけの根拠をもっていない。

お隣の韓国で朴槿恵氏が大統領に選ばれた時に、韓国民はきっと後悔する時が来るだろうと書いたが、結果としてその通りになった。そのように判断したのは、就任したばかりの朴槿恵大統領の反日政策とそこに現れた彼女の所信などから、彼女の「政治哲学」に大きな問題を感じたからである。

稲田朋美防衛相が東京都議選の応援演説で行った発言が問題になっているのは、「自衛隊という実力組織を政治利用する」とも受け取られかねない発言を行って、政権批判を手ぐすねを引いて待っている野党に、そのための格好の悪材料を与えたからである。

この問題の背景にあるのは深刻な政治家の資質の問題である。ここで言う政治家の資質とは、何も稲田朋美という女性政治家のみではない。それ以上に彼女を任命した安部晋三首相の政治家としての資質に問題がある。というのも、こうした問題は初めてではなく、既視感を覚える事柄だからである。安倍晋三氏はまた同じ問題を繰り返している。


それはほぼ十年ほど前の第一次安倍晋三内閣のときに現在は東京都知事に就任している小池百合子氏を、現在の稲田氏のように防衛大臣に任命したときに、防衛省の事務次官人事をめぐって党内外に波紋と混乱が生まれた。このときに見て感じたことを記事にした記憶があるからだ。それから十年、野党の体たらくに乗じて復活したかのように尊大になった現在の安倍晋三氏には、この時の人事の失敗のことなどもうお忘れかもしれない。

そのときにも防衛相の人事について次のように書いた。

「少なくとも一国の国防の軍事指導者は並みの人物で務まるポストではない。高度の見識、経験、能力を必要とする。国民から尊敬され憧憬される軍隊を持たない国家に品位と安定はない。その人事を誤れば、潜在敵国からは侮られ、同盟国からは不信を買い、部下の軍人武官からは軽侮を買って、その文民統治の原則にもひびを入れかねない。」

十年前に比べて、北朝鮮や中国、ロシアなどを巡る国際情勢は、とりわけ北朝鮮がこの十年の間に核開発やミサイル技術を向上させることによって、日本国民への脅威は著しく増大している。「二度あることは三度ある」という我が国のことわざを軽く見てはいけない。東京都民の頭上にどこかの国の核爆弾が炸裂しないという保証はどこにもない。それは当時の広島市民や長崎市民にも夢にも想像しなかったことである。

なお一層深刻化しつつある国際軍事情勢で、一国の国防をめぐる判断は寸分の過ちも許されないはずである。一国の滅亡は、外部からではなく内部から崩壊してゆく場合が多い。政治家も大学教授たちもそして国民一般も我が国のその現状をどのように見るか。

 ※ 十年ほど前、第一次安倍晋三内閣の登場時に書いた記事。

日本国の洗濯と人を見る眼

三流国家としての日本の現状

 

 


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