G.W.F. Hegel
Philosophische Propädeutik
ヘーゲル『哲学入門』
Zweiter Kursus. Mittelklasse. Phänomenologie des Geistes und Logik
第二教程 中級クラス 精神の現象学と論理学
Erste Abteilung. Phänomenologie des Geistes, oder Wissenschaft des Bewusstseins
第一篇 精神の現象学、あるいは、意識の学
Einleitung
序論
§1[ふつうの知識と意識]
Unser gewöhnliches Wissen(※1) stellt sich nur den Gegenstand vor,(※2) den es weiß, nicht aber zugleich sich, nämlich das Wissen selbst. Das Ganze aber, was im Wissen vorhanden ist, ist nicht nur der Gegenstand, sondern auch Ich, der weiß und die Beziehung meiner und des Gegenstandes auf einander: das Bewusstsein.(※3)
私たちのふつうの知識は、ただ 対象 について考える(思い浮かべる)だけだが、それは、しかし同時に自分については、すなわち、知識それ自体については考えようとはしない。しかし、知識のうちに存在する全体とは、ただに対象だけではなく、「私」と「私」と対象との相互の関係をも知っているところの「私」、すなわち、意識である。
※1
Unser gewöhnliches Wissen
私たちのふつうの知識、私たちの常識
※2
vorstellen
前に置く、想像する、思い浮かべる
※3
人間の意識についてはすでに、序論 五[衝動と反省]や、序論についての説明の三[意識について]の考察の中でも説明されている。
人間の意識が自己内分裂を遂げ、二つに別れることによって、相互に映し合うようになり、自己を自己として「意識」するようになる。これによって人間は真偽を自己検証する。
参考
ヘーゲル『哲学入門』序論 二[意識と知識] - 夕暮れのフクロウ https://is.gd/I543LJ
ヘーゲル『哲学入門』序論についての説明 三[意識について] - 夕暮れのフクロウ https://is.gd/LbIryu
ヘーゲル『哲学入門』序論 五[衝動と反省] - 夕暮れのフクロウ https://is.gd/PlTuZQ