夕暮れのフクロウ

―――すべての理論は灰色で、生命は緑なす樹。ヘーゲル概念論の研究のために―――(赤尾秀一の研究ブログ)

柿の木

2008年12月28日 | 日記・紀行

 

いよいよ年の瀬も迫り来る。せっかく柿の苗木を用意してもらっていたのに、なかなか植えきれないでいたのを、今日になってようやく植え終えた。昨年に柿と桃とイチジクの木を山の畑に植えたが、イチジクと柿をそれぞれ途中で植え代えたのが良くなかったのか、それも、ちょうど霜柱の立つような時期も悪かったのか、とうとう柿の木だけが根付くことがなかった。

それで、今年ももう一度植え直した。何とか根付いてくれるように。必要以上に大きな穴を掘ったりしたので少し時間がかかる。今度は萱を刈って風よけをしてやる。今年もさまざまな出来事のあったことを思い出しながら、スコップを振るう。

この秋に、アメリカの証券会社リーマン・ブラザーズの破綻をきっかけに、かねてから懸念されていたアメリカの住宅バブル経済があっけなくはじけることになった。バブル経済の高騰期に、投機家筋が原油の値上がりに便乗して利益の拡大をはかった。おそらくその金あまりには、日銀の超低金利政策も絡んでいるだろう。それが穀物の価格にも波及し、とくにトウモロコシやダイズなどの家畜の飼料が高騰して、畜産農家も大きな打撃を受けることになる。そして、それまでも何ら危機意識もなくのんきに構えていた日本の食糧自給率の低さも大きな話題になった。

そうしたなかで、もともと自民党で選挙対策の顔として選出された麻生太郎氏が、選挙対策のために行った世論調査で出た自民党の支持率の低落に、これでは選挙に勝てないと恐れをなして、金融危機を口実に総選挙を先延ばしにする。自分のご都合で選挙を延期するなど、政治を私物化しているのだ。

雇用の危機は待ったなしなのに、麻生太郎無能力内閣は言うまでもないが、政治が政局がらみになって、与党も野党も官僚も何ら効果的な対策を打てないでいる。この危機的な状況で、救済の手をさしのべるべき肝心の政治が、無能な政治家たちのために麻痺状態に陥っている。

これでは、昭和初期の恐慌の再現になる。ドイツでは失業した労働者たちの支持を集めてナチス・ドイツがあっという間に政治の中枢に進出して、アウトバーンの建設や自動車、軍需産業で雇用を確保したのである。歴史は繰り返すと言うけれども、昭和の2・16事件や5・15事件は、こうした背景に起きたのだろうな、と歴史の中に生きていることをあらためて感じる。いずれ、アメリカも中国といっしょになって日本をもっと冷たく突き放すだろう。太平洋戦争前の国際関係に近くなってくる。

わが国でも、現在の無能な政治家たちが、このまま手をこまねいて労働者の失業による飢餓と貧困を本当に救うことができないのなら、自衛隊によるクーデタも場合によればやむをえないだろうなと思う。その際にいっそ憲法を強権的に改正して、国防軍に作りかえて、この日本国の背骨をただすのも悪くはないのではないかと思ったりする。

しかし、最近の自衛隊は防衛学校でも、東郷平八郎元帥などの偉大な軍人の肖像画さえ掲げさせないらしい。そんなアメリカナイズされた自衛隊では、かっての大日本帝国軍人たちのように、国民のためにクーデタすら起こせないだろうなとも思う。

そんなことを妄想したりしながら、よく晴れた空の下で柿の木の苗床を揃えていた。
昨年の今頃は私が作業をしていると、小鳥が好奇心をもって近くを飛び回ったりしていた。今年は遠くに鳴き声が聞こえるばかり。そのきれいな姿を近くに見せてもくれない。

 

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