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インドネシア語のプルンプアンという言葉。女性の、という意味だけど、
初めて聞いたとき、どこかで聞いたことがある言葉だと思った。
それは……
日本で最近ときどき出会う、そして我が家にもひっそり保管されていた食べもの。
パッと見、太いビーフンか白い糸こんにゃくのような透明なもの。
パッケージに「ぷるんぷあん」と書いてある。
タピオカ粉とこんにゃくで作られた、インドネシアからの輸入の食べものだった。
乾燥されて、ぐにぐににまとめられて玉になっている。
それを熱湯で戻して使う。
戻すとプルンプルンになる。
誰が考えたのか、いいネーミング。
今の時期、きゅうりなどの野菜と一緒に
マヨネーズや中華風ドレッシングで和えるととてもおいしい。
インドネシアで食べものとしてのこんにゃくに出会ったことはまだないのだけど
インドネシアはこんにゃくを大量に生産して輸出しているらしい。
インドネシア人はこんにゃくを食べるのだろうか……?
植物としてはショクダイコンニャクやゾウコンニャクといった
巨大なコンニャクの仲間が生育しており(食用にするとは聞いたことはないが)、
コンニャクの仲間としては、熱帯雨林気候のインドネシアは天国的な生育地だろう。
スマトラやジャワ島のちょっと山っぽいところの道端に、
巨大なコンニャクの仲間の葉っぱをときどき見かけて
植物好きな私はドキドキしてしまう……。
植物種としての「コンニャク」はサトイモ科で南国の植物。
日本では寒すぎて、生育はしてもめったに花をつけることがない。もちろん自生ではない。
日本自生のヤマコンニャクというのがあるけど、別のものである。
コンニャクは3年生育した後の芋を収穫して利用するのが普通だけど、3年間の冬越しの間に芋を凍らせるとだめになってしまう。
インドネシアで生産しているコンニャクが日本で栽培されているものと完全に同種なのかどうか、私は知らない。同種ではあっても品種ぐらいは違うかもしれない。なぜなら日本では、凍みに弱いにもかかわらず群馬県の山間部など比較的寒い地方で多く生産されているからである。
日本人としてリンゴがインドネシアで育っているのに驚くように、インドネシア人がコンニャクが栽培されている日本の山間地を見たら驚くかもしれない。
あの仲間の植物のイモはたいてい毒があるが、それはコンニャクも同じで、そのため灰であく抜きをして加工する。
なので、同種でなくても、加工して食べられるようになればそれでいい。
イモ類のアク抜きは照葉樹林地帯における大きな発明であると中尾佐助さんが本に書いている。日本にも南方からその方法が伝わってきたと。
そして猛毒のヒガンバナでさえも、食料の乏しい時代や地方では、食用にしてきた。
原始時代、大きな植物の塊を見れば、何とかして食べたいと思うのは、自然な心理であろう。
スラバヤの空港のレストランで、茶色一色のナシチャンプルーを食べている人がいた。
そのおかずの中に、「こってり味がついたすき焼きの糸こんにゃく」そっくりのものがあった。もしかして!と思ったけれど、聞いたら、やっぱりビーフンだと。
インドネシア人がビーフンだと信じているだけで、実は糸こんにゃくなのではないか、
それもすき焼き味なんじゃないかと
今でもちょっとだけ疑っている私である。
写真/ゾウコンニャク(またはショクダイコンニャク)の葉の一部 名古屋・東山植物園で
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