スコールが来た。
毎日雨が降っていた。高原だから、雨に濡れると寒い。
雨がひどいので、家に入れてもらった。軒先を貸してもらうだけでいいと思っていても、誰もが家の中に招いてコーヒーを出してくれる。みんなやさしい。特に外人は珍しいから歓迎してくれる。
薄暗い家の中に、いくつもの籠があって、みんな模様が違っていた。日用品にも美と遊びがある。私はこのデザインを美しいと思うけど、彼らはどう感じているのだろう。日本でも、農山村に暮らす人には都会の人にはない美意識があり、それが農的仕事や住まい、田畑のあちこちに現れていることが多い。
籠の素材は、竹。日本の竹よりうんとしなやかで、押しても割れたりしない。黒っぽい色は今はコールタールで着色しているそうだ。
この籠はお店では売っていなくて、近くの村で作っているので、そこのパサールで買ってくるのだという。
別の家に行ったら、道端の草が入れてあった。この草はフローレス島の山里のどこにでも生えている。小さな白い花を霞のようにつけていてかわいい。籠に入っていたので驚いて、聞いたら、食べられるのだという。
この籠は、現地の人にとってもべらぼうに高い値段ではない。日用品として気軽にこういったものが使えるということ、素敵だと思う。
写真/フローレス島マンガライ県(2012年)
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