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風の向こうに  

前半・子供時代を思い出して、ファンタジィー童話を書いています。
後半・日本が危ないと知り、やれることがあればと・・・。

風の向こうに(第二部) 其の参拾八

2010-03-28 13:54:48 | 大人の童話

夢は、別れる前に六小に言っておかなければならないこと、があったのを思い出し

言いました。

「六小さん、卒業文集に六小さんのこと書けなくてごめんね。でも、あなたとの

思い出は、いっぱいわたしのなかにあるよ。わたし、六小さんとお話することが

できて、本当によかった。五年間も・・・・・本当にありがとう。」

夢の声は、最後は半分涙声になっていました。六小は言いました。

「ううん、文集のことなんてもういいよ。夢ちゃんが、わたしを好きでいて

くれたってことはよくわかっているし、たぶん、これからも好きでいてくれるだろうし。

それより、わたしの方こそありがとう。五年間、夢ちゃんとお話することができて、

本当楽しかった。これも、四小さんのおかげかな。四小さんが、夢ちゃんと

心通わしてくれていたから、それで、わたしもできたのかな。だとしたら、四小さんに

感謝しなくちゃ、ね。夢ちゃん、いつか・・・また・・・会いに来てね。待ってる・・・・から。

きっと・・・・待ってるから・・・・・来てね・・・・・・。」

声はだんだん細く小さくなっていき、光とともに消えようとしています。夢は消えていく

光に向かって、大きな声で叫びました。

「五年間、本当にありがとう!必ず、また、会いに来るからね!」

その声に、今まさに消えようとしていた光が、一瞬大きく輝きます。最後の輝きが

消え、すべてが元にもどると、夢は、六小に向かって大きく手を振り、前を向いて

歩き出しました。

                                              完 



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