夢は、別れる前に六小に言っておかなければならないこと、があったのを思い出し
言いました。
「六小さん、卒業文集に六小さんのこと書けなくてごめんね。でも、あなたとの
思い出は、いっぱいわたしのなかにあるよ。わたし、六小さんとお話することが
できて、本当によかった。五年間も・・・・・本当にありがとう。」
夢の声は、最後は半分涙声になっていました。六小は言いました。
「ううん、文集のことなんてもういいよ。夢ちゃんが、わたしを好きでいて
くれたってことはよくわかっているし、たぶん、これからも好きでいてくれるだろうし。
それより、わたしの方こそありがとう。五年間、夢ちゃんとお話することができて、
本当楽しかった。これも、四小さんのおかげかな。四小さんが、夢ちゃんと
心通わしてくれていたから、それで、わたしもできたのかな。だとしたら、四小さんに
感謝しなくちゃ、ね。夢ちゃん、いつか・・・また・・・会いに来てね。待ってる・・・・から。
きっと・・・・待ってるから・・・・・来てね・・・・・・。」
声はだんだん細く小さくなっていき、光とともに消えようとしています。夢は消えていく
光に向かって、大きな声で叫びました。
「五年間、本当にありがとう!必ず、また、会いに来るからね!」
その声に、今まさに消えようとしていた光が、一瞬大きく輝きます。最後の輝きが
消え、すべてが元にもどると、夢は、六小に向かって大きく手を振り、前を向いて
歩き出しました。
完