九月一日、六小の子どもたちは、無事新校舎で二学期の始業式を迎えることが
できました。そして三日、六小の子どもたちと、一学期間世話になった四小・東中の
子どもたちとのお別れ会が、四小の校庭で開かれることになりました。夢たちは
いったん学校に集合して、学年ごとに並んで四小へと向かいました。会場に着くと、
もうすでに四小・東中の子どもたちは並んでおり、校庭に入ってくる夢たちを拍手で
迎えてくれました。夢は、大勢の人たちに拍手されるなかを歩いて行くので、少し
緊張していました。その時です。夢の緊張を解きほぐすかのように、校舎から光が
放たれ、声が響いてきたのです。
「いらっしゃい。今日はお別れ会を開いてくれてありがとう。」
四小はうれしそうでした。夢は、ついこの間別れたばかりだというのに、もうずっと
会っていなかったような気がして、今にも泣き出しそうになっていました。
「どうしたの。かわいい顔がゆがんでいるわよ。」
「な、なんでもない。四小さんのいじわる、イーッだ。」
「ウフフフ・・・・・・。」
本当は四小にも解っていたのです。夢がどんなにうれしかったか、必死に泣くのを
こらえようとした結果の、ゆがんだ顔だったということを。四小は会の間、時に小さく
光りながら、ずっと夢のことを見つめていました。会は、先生方のお話、四小・東中
児童生徒代表の言葉、六小児童代表のお礼の言葉と滞りなく進んでゆき、最後に、
六小児童代表二人から四小・東中児童生徒代表にそれぞれ花束が贈られ、静かに
終わりました。そして、夢たちは来た時と同じように拍手で送られ、四小を後に
しました。夢はこらえきれずに、とうとう泣き出してしまいました。四小が、夢に優しく
語りかけます。
「夢ちゃん、泣かないで。大丈夫、今は別れるけど、きっと、また会えるわ。だから、
それまで待ってて、ね。」
「う・・・ん。」
夢は、それだけ言うのが精一杯、あとはもう言葉になりませんでした。そんな夢に、
四小は一際大きく輝き、こう言いました。
「きっと、六小さんともお話できるわよ。」