風の向こうに  

前半・子供時代を思い出して、ファンタジィー童話を書いています。
後半・日本が危ないと知り、やれることがあればと・・・。

風の向こうに(第一部) 其の拾八

2010-02-06 21:52:02 | 大人の童話

四月、夢は二年生の始業式を新しい学校・六小で迎えました。ですが、まだ校舎が

できていないので、一学期間は四小と東中にお世話になります。東中は、四小と

同時に開校した学校で四小のお隣りです。四小と同じく、まだプールも体育館も

ありません。夢たちは、二つの教室間の仕切りをとった、打ち抜き教室と呼ばれる

所で式を行いました。六小には、四小の他二小からも子どもたちが来ています。

夢は、二小から来た子たちと並んで先生の話を聞いていました。初めて会う

校長先生他の先生たち・友だち、夢の心には期待と不安が入り交じっていました。

不安な気持ちを察したのでしょう。どこからか四小の声が響きます。

「大丈夫よ。今までと同じにやれば。」

そうです。四小と夢の心の交流は、学校が変わってもまだ続いていたのです。夢は

うれしいのと感動とで、声をあげて泣きだしそうになりました。そんな夢の様子を、

四小は静かに見守っていました。夢が四小の側にいる限り、交流はできるようです。

ならば、あと四カ月は交流できます。夢はにこやかな顔になって、そっと心の中で

言いました。

「ありがとう。これからまた、少しの間だけど、四小さんよろしくね。」

と。