仮校舎での学校生活は、何かと不自由も多く大変でしたが、夢は相変わらず、
のびのびと日を送っていました。ある日、先生の怒鳴る声が東中校舎内に
響きました。
「こら、誰だ。廊下の壁にいたずら書きしたのは。すぐに消せ。」
どうやら、誰かが校舎に落書きをしたようです。仮住まいの六小、先生たちも気を
つかって大変です。先生の声に、さっそく何人かの子たちが、「ごめんなさい。」と
言って、落書きを消して歩いていました。しかし、子どもたちだって大変です。二校の
校庭を三校の子どもたちで使うため、子どもたちが遊ぶスペースも狭くなり、
あちこちで子どもたちどうしの、小さないざこざが起きているようでした。中学の子が
六小の子に「じゃまだ、どけ。」と言ったとか、四小の子にも「じゃまだなあ、六小は。」
と言われたとか。幸い、夢自身にはそういうことはありませんでしたが。四小は、
そんな子どもたちの様子を、いつも静かに見ていましたが、ある時、夢に
言いました。
「ごめんね。みんなのことじゃまにして。」
四小の子たちが、六小の子たちをじゃまにしているのを見て謝ってくれたのです。
「ううん、いいよ。だって、四小の子たちの気持ちわかるもん。それより、いつも給食
ありがとね。牛乳は、やっぱりおいしいね。あのミルクとは大違い、よかった。あ、
そうだ。あのね、新校舎に移っても、まだ給食はないんだって。だから、お弁当なの。
牛乳だけはでるらしいけど。」
「まあ、そうなの。じゃあ、こっちにいる間に、いっぱい給食食べていってね。」
「うん、ありがと。」
四小は、一年の時と同じく屈託のない、夢の明るい笑顔に、ほっとした気持ちに
なるのでした。