風の向こうに  

前半・子供時代を思い出して、ファンタジィー童話を書いています。
後半・日本が危ないと知り、やれることがあればと・・・。

戸久野第四小学校の呟き

2010-02-04 21:18:15 | 校舎(精霊)の独り言

いよいよ、夢ちゃんがわたしから離れる場面にきました。夢ちゃんが、わたしから

妹の六小へ移った時、わたしはさびしくてしかたがありませんでした。だって、わたしの

姿・声がわかるのは当時(今でもそうですが)、夢ちゃんしかいなかったのですもの。

今ではわたしも年を経て、わたしの所にいる子どもたちもずいぶん少なくなって

しまいました。やがて、わたしも八小と同じように、閉校となるかもしれません。でも、

それでもわたしはいいんです。なぜって、きっとわたしを巣立っていった子どもたちは、

ずっと、わたしのことを忘れずにいてくれると思うから。

あらあら、独り言なんていうから、思いつくままにしゃべっていたら、なんかしめっぽく

なってしまいました。ごめんなさい。

では、お話の続きをどうぞ。


風の向こうに(第一部) 其の拾六

2010-02-04 20:46:36 | 大人の童話

昭和四十一年三月、一年生から四年生の各クラスでは、六小へ移る子どもたちとの

お別れ会が開かれていました。五年生はあと一年で卒業なので、全員四小に

残ります。夢のクラスでは、お別れ会に何をやろうかとみんなで話し合い、劇と

人形劇をやることにしました。夢は人形劇組になり、画用紙と割り箸で作った

手作りの人で、日本の民話から”かもとりごんべえ”を演じました。お別れ会が

終わったあと、夢は四小に聞いてみました。

「お別れ会、どうだった?」

「うん、そうね。みんな、なかなか上手だったわね。夢ちゃんのやまいも役も、とっても

よかったわよ。ごんべえに、ズルズルって引っ張られるとこなんか。」

「ウフフ、そう?なら、よかった。」

夢は四小の言葉を聞いて、うれしそうに言いました。

 

 


風の向こうに(第一部) 其の拾五

2010-02-04 12:52:26 | 大人の童話

そうこうしているうち、夢のまわりは、何かあわただしい雰囲気に包まれるようになって

きました。その理由は、四小の子どもたちが増えたので、来年(昭和41年)できる

新しい学校に、二百人ぐらい移ってもらおうという話がでていたからです。新しくできる

学校の名は戸久野第六小学校といいました。夢も六小へ移る方に入っていました。