『新・五代友厚伝』 近代日本の道筋を開いた富国の使徒 (日本語) 単行本 – 2020/8/29
八木 孝昌 (著), 大阪市立大学同窓会 (その他)
越年で2/7日最終回放送の大河「麒麟が来る」最終回視聴率は18.4%(全回平均14.4%)。
今年2/14初回の大河は「青天を衝け」日本資本主義の父・渋沢栄一の生涯を描く。
連続テレビ小説「あさが来た」(2016年)でも五代友厚を演じて、“五代様”の愛称で人気だったディーン・フジオカが
今年の大河でもふたたび五代役を演じるとのニュースがあった。
きのうのニュースを見て急いで読むことにした新・五代友厚伝 。
「西の五代、東の渋沢」ともいわれ、大河主人公の渋沢栄一と「明治財界の指導者」として相並んで位置する五代友厚。
しかし、教科書でもいまだに、あの「北海道開拓使官有物払下げ事件」では、イメージの悪い「政商」のままだ。
五代は薩摩出身
同郷薩摩の開拓長官黒田清隆らと癒着すし、私腹を肥やす「政商」というイメージが、知名度、好感度ともに友厚の評価を不当におとしめている。
本書は五代才助の幼少期から、豊富な資料とその現代語訳で分かりやすく説いているが、
まずは、圧巻の「第二部 明治壮図編 第八章 「北海道開拓使官有物払い下げ事件」を大急ぎで読んでみた。
当時のマスコミなどの「誤伝」を、資料をもとにつきくづしていきます。
なぜ、いままで、これほどの汚名が完全に晴らされることもなく、晴らそうともされなかったのか、読み落としてまいました。
(どこかにあったはずですが、)
大概の友厚伝にある、世界地図模写の話。現在wikipediaにもある
14歳のとき、琉球交易係を兼ねていた父親が奇妙な地図を広げて友厚を手招いた。見せたものは、藩主・島津斉興がポルトガル人から入手した世界地図だった。友厚は父からこの世界地図の複写を命じられる。友厚は地図を2枚複写しそのうちの1枚を自分の部屋に貼った。
この話は本書冒頭から完全に否定される。その筆の勢いは、最後まで衰えずに、五代の「北海道開拓使官有物払下げ事件」の濡れ衣は、はらされる。
大河の明智光秀のラストは評判がいい。しかし明治の時代のことでさえ、歴史を正しく読み解く困難の大きなことを本書は、示してくれている。
amazon 内容(「BOOK」データベースより)
「北海道開拓使官有物払い下げ事件」の誤伝を正し、真実の五代友厚像を明らかに。壮大なビジョンと利他の精神で新時代を開いた生涯を辿る。