2023/9/23 山元TC
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11月の復帰を目指してペースアップしていましたが、この中間にまた左前脚の球節部に腫れと熱感が見られました。レントゲン検査を行ったところ、球節部の骨片が複数遊離していることが判明し、また、もともと出ていた骨膜の範囲も広がっていることがわかりました。さらには変形性関節症の症状もみられ、年齢面の衰えも考慮すると、これらの症状の回復を待ったとしても今後これまでと同じパフォーマンスを見込むことは難しいと判断せざるを得ません。きわめて厳しい現状を踏まえ、厩舎、牧場と協議した結果、このタイミングで本馬を引退させることにしました。中央所属時にはホープフルSでG1勝ち、ダートでもエルムSで重賞勝ち、フェブラリーS5着などの実績を残しました。ダート適性に期待して地方競馬に転籍してからは深い南関東の馬場に苦労するレースもありましたが、9戦して勝利まであと一歩のところまで健闘していました。最後もうひと花咲かせることはかなわず、8歳のこの時期まで本当に長く活躍してくれた愛馬の引退は非常に名残惜しいことと存じますが、何卒ご了承賜りますようお願い申し上げます。長らくのご声援、ありがとうございました。
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【サンデーサラブレッドクラブより、公式HPの近況レポート等の転載につき、許可を受けています。】
タイムフライヤーの引退が決まりました。近走はレース後のダメージが長引くことが増え、年齢的にも厳しくなっている雰囲気は感じていました。大事に至る前に元気に引退できることは何よりですし、長い間頑張ってくれて感謝しかありません。
2歳時から活躍してくれた馬でした。新馬戦は後に札幌2歳Sを勝つロックディスタウンの2着でしたが、直線では見所十分の内容。2戦目の未勝利戦を快勝。この時の2着は、長くオープン戦線で活躍するアドマイヤアルバでした。3戦目に出走した萩Sは印象的な勝ちっぷり。雨の中、現地で観戦していましたが、直線で大外から突き抜けての4馬身差は今後の活躍を大いに期待させるものでした。続く京都2歳Sでは初重賞制覇の期待をしたもののユタカのグレイルにやられて2着。4戦目に出走したのが、G1昇格第1回となるホープフルSでした。後方からレースを進めて、4コーナーで馬を縫うように進出すると、直線で素晴らしい伸びを見せて先頭ゴール。晩成血統で本格化するのは古馬になってからだろうと予想していた馬が2歳G1制覇なんて夢にも思っていませんでした。
明け3歳ではクラシック戦線での活躍を期待したものの、若葉Sでよもやの5着となり、そこからも敗戦続き。しかし、皐月賞、ダービー、菊花賞とクラシック三冠の皆勤賞は立派でした。しかし4歳になってからも勝ち星に見放され続けます。転機となったのはダート転向で、叔父にタイムパラドックスがいる血統背景からいつかはダートへ、と思っていましたが、4歳秋の武蔵野Sで見せ場を作ると、5歳になってフェブラリーSでもあわやの競馬。そして夏に北海道シリーズに参戦すると、マリーンSで直線突き抜けて久しぶりの勝ち星を挙げます。あの末脚は凄かった。続くエルムSも4コーナーから進出しての快勝で重賞制覇。ここから更なる飛躍を願ったものの、結局これが最後の勝利になるとは当時は思ってもいませんでした。その後も惜しい競馬はありました。武史が乗ったフェブラリーS(5着)も好内容だったし、その他にも見せ場を作るレースはありました。一番悔いが残るのは、マツクニ先生のラストG1出走を予定していたフェブラリーSを体調不良で回避せざるを得なかったこと。マツクニ厩舎でG1を勝たせたもらった馬なので、厩舎解散前の最後のG1、何とか出たかったなと。
地方転籍の判断は間違っていなかったと思います。ただ、砂厚の深いダートではダメな馬で、大井コース限定でしか走れなかったのが難点でした。結局勝つことはできませんでしたが、条件が合ったレースでは、能力の減退を感じさせずに最後までシッカリと走ってくれました。何とか久しぶりの勝利を手にして欲しかったけど、こればっかりは仕方ありません。
2歳から8歳まで長く活躍してくれました。2歳でG1を勝ち、4歳でダートに転向し、5歳でダート重賞を勝ち、7歳で地方に転籍。その間にマツクニ厩舎の解散からの転厩、地方転籍後も転厩とこれだけ色々とある馬はなかなかいません。騎乗したジョッキーも何人になるやら。北村宏司騎手でデビューしてルメール、C.デムーロ、ウチパク、和田、池添、藤岡兄、マーフィー、フォーリー、ミナリク、川田、ユタカ、松岡、ミルコ、武史、森泰斗、クアトロ、数えてみたら17人です。その時々の環境下で精一杯頑張ってくれました。もうずっと現役でいるのが当たり前だったので、引退は淋しくなります。今後のタイムフライヤーの馬生が幸せなものであることを願っています。機会を見つけて会いに行こう。長い間お疲れさまでした。本当にありがとう。
タイムフライヤー(牡8)
父ハーツクライ
母タイムトラベリング(ブライアンズタイム)
2015年2月1日生まれ
社台コーポレーション白老ファーム生産
栗東:松田国英厩舎→栗東:橋口慎介厩舎→川崎:内田勝義厩舎→大井:村上頼章厩舎
中央:30戦5勝 5-3-1-0-5-16
地方:9戦0勝 0-1-3-1-0-4
2017年9月16日 2歳未勝利(C.ルメール)
2017年10月28日 萩S(C.デムーロ)
2017年12月28日 ホープフルS(C.デムーロ)
2020年7月12日 マリーンS(C.ルメール)
2020年8月9日 エルムS(C.ルメール)