私は、大学卒業後、すぐ金沢へ帰り、ヤマハの講師になった。
6年間勤めたが、3年目から、JOCという作曲のクラスの担当になり、核講師
という北陸の代表の講師になり、各研修に通っていた。
名古屋、静岡のつま恋、三重の合歓の里など、ヤマハの施設に合宿が多かった。
核講師のメンバーは、皆、個性的で、フジテレビのアナウンサーの超難関のオ-ディ
ションの最終まで行った人とか、話していてすごくおもしろかった。このメンバーとも
すごく仲良くなり、よく金沢へ皆、遊びに来た。今でも、私のコンクールの前に、
励ましのメールをくれるやさしい友人もいる。
その当時、名古屋支部の生徒のスターだったのが、上原彩子ちゃんだ。小学校
2年生だったか、そのときすでにヤマハの代表みたいになっていて、
大きなコンサートに必ず出演していた。ショートヘアですごく小柄で、
彩子ちゃんが舞台に出てきて、バリバリ弾きだすと、どよめきがおこったものだ。
そのマスタークラスが、江口先生のレッスンだった。確か東京の本部で何回か
核講師が聴講していた。
久しぶりにお目にかかる江口先生は、やはり素敵で、すばらしかった。
まず生徒さんのことを、とても褒めて、良いところをどんどん指摘して下さる。
選曲の傾向、長い目でみた音楽人生をどう進めていくか、優しく丁寧に、
何より本人の様子を良く見ながら、言葉を選んでくださっている。
自信のない生徒さんの演奏もみるみる見違えるようになっていく。すばらしい!
先生は「金沢って昔からある色彩が、本当に美しいから、皆さんの演奏にも
それがあふれている」とおしゃった。うれしかった。
「もっと太りなさい」といわれている人もいた。私もそうだ。昔からいい音のために
太りなさい、といわれ続けていた。
何の事はない、娘をうんだら立派に肉がつきました・・・
この間、県立音楽堂で、グレンツエンコンクールがあり、初めてコンクールを受けた
子も含めて3人とも、本選に進む事ができた。この先、また別のコンクール、ラ・フォル・
ジュルネのオーディションと、かわいい生徒たちは、今、一生懸命練習している。
子供のレッスンをするようになって、もう20年以上もたつのに、私は、子供た
ちから教わる事が多いなあと思う。レッスンする事は大好きだ。
江口先生のレッスンは、生徒の気持ちを1番大切にされていて、すばらしいものだ
った。
江口先生の音楽的な、人間的な、すばらしいレッスンを聴講出来て、どうやったら
生徒さんそれぞれの音楽人生を豊かに出来るのか、また深く考えられる良い機会に
なりました。