ピアノと海と花との生活 Ⅱ

~創造する芸術~

盗まれた名画 Ⅰ  ルノワール 《水浴する女性》

2006-09-20 | 絵画

 

 今年の夏、金沢21世紀美術館に、’ベオグラード国立美術館所蔵~

 フランス近代絵画展’が開催されて、

 そのチケットにも印刷されていた、このルノワールの《水浴する女性》

 1996年に、2人の若い男たちによって、盗難され、4日後には、もどったものの、

 そのダメージは大きく、会場内にも、その写真が飾ってあって、

 一緒に行った娘ももちろん私も、強い衝撃を受けました。

 つい最近、8月31日、2004年にノルウェーのムンク美術館から強奪された、

 《叫び》と《マドンナ》が無事発見されたというニュースが、駆け巡り、

 特集しようと思っていた私は、驚きました。

 今日から4回に分けて書こうと思います。

第1回目は、ルノワールの《水浴する女性》です。

 

1996年3月14日~特別な1日~

100年に及ぶベオグラード国立美術館の歴史の中で、

特別な1日となってしまった1996年3月14日。

その日、閉館の時間が近づいた午後4時ごろ、

ジャケット姿の2人の若い男が、あわただしく常設展示室にはいっていった。

彼らは、ルーベンスやファン・ホイエンなどには目もくれず、

この美術館の顔、ベオグラードのモナリザといわれた《水浴する女性》の前で、立ち止まった!

瞬間の出来事

警備員たちは、彼らを別に怪しいと思わなかった。

通常通りに展示室の閉鎖を相談するため、2,3分展示室を離れた。

戻ってきたとき、彼らが見たものは、

《水浴する女性》の額縁と、ぽっかりあいた白い壁だった!

ベオグラード市警察

「ルノワールが盗まれた!」

警備員たちは直ちにベオグラード市警察に通報した。

額縁と残ったカンヴァスから、

犯行にはナイフ、ペン・ナイフなど鋭利な刃物が使われた事が判明した。

警察は捜査網を張り、直ちに容疑者リストをつくった。

翌15日の朝、前日美術館にやってきた男の人相に合う1人の若い男を尋問。

すぐに男は取り押さえられ、男の部屋の洋服ダンスの中から、

ぐしゃぐしゃに巻かれたあの《水浴する女性》を発見した!

ダメージの修復

3月18日、美術館に帰還した《水浴する女性》の、カンヴァスと絵の具層は

素人によって扱われたため、相当のダメージを受けていた。

それから、国立美術館の修復家による長期の絵画修復作業が続けられた。

(その様子も写真で飾られてありました)

よみがえった名画

1997年5月10日、ベオグラード国立美術館の前は、

多くの人で埋め尽くされた。

58点のルノワール作品が展示される中、

防弾ガラスによって守られ、燦然と輝く《水浴する女性》

このルノワール展は、50,000人もの入館者を数え、

もっとも成功した展覧会になった。

               ’Unknown Story of Modern Art'より

 

 次回は 盗まれた名画 Ⅱ ムンクを追え! です。お楽しみに!

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