今日はオクラの収穫をした。オクラはアオイ科トロロアオイ属・アフリカ原産の植物で熱帯や温帯の植物だが、砂漠でもよく育つ。また、栄養価が高く身体にもよく、夏ばてにもいいのだが、このあたりでは見たことも食べたこともないという人が多い。昨年も作ったのだが、スタッフに気持ち悪がられて捨てられてしまった。今年はうまくできた。早速、試食する。大きくなりすぎてしまったものは木質化して繊維が多くてうまくない。輪切りにするときれいな星型になる。これに醤油とちょうどあった鰹節のふりかけをかけて食べてみる。ご飯にぴったりだ。日本ではなく砂漠で食べることができるなんて幸せだ。又、油いためにしてみた。どちらもおいしい。来年はたくさん作って市場に出してみようと思う。いくらで売れるかな?
北京事務所の陳さんが「この時期の楽しみは庭に生えている香椿(チャンチン)の玉子炒めが食べられることだなあ」等と風流な事を言う。さすがチンさん。チャンチャン…。この木はセンダン科の落葉高木で、街路樹や公園木としてあちこちに生えている。日本でも見かけた方はぜひ採って食べてみては。こちらの乾燥地でも比較的強いのでよく生えている。ちょうど、ウルシのような葉っぱで、新芽はタラの芽のような形で、この苦い香りが通にはたまらないらしい。ゴールデンウイーク、日本では7500万人が旅行に出かけるといわれる民族大移動の昨今だが、今年はガソリン代も高いし、近くの山や野原で野草や新芽摘み等はどうだろうか?
冬の残ったトマトで特製ジュースを作ってみた。不出来だったのだが味はまあまあいける。もちろん、無農薬ジュースだが、スタッフがこのトマトを高く売れるだろうと思って町に持って行ったら、野菜のない時期でさえ500gで5元(90円)しかならなかったのだ。これでは暖房費を考えると赤字だ。冬に作る意義があるだろうかと考えていた。こちらの町で無農薬のものと言っても北京などではともかく他の安いトマトと一緒にされてしまう。さらにこれからだんだんと下がっていき9月頃には30円くらいまで下がってしまう。そこで、ジュースにすることを考えた。これを町の人に飲んでもらおうと思う。うまくいくかどうかどうか?その前に衛生検査とかいろいろとクリアしなくてはならないのだが、色はブラッドオレンジのようでとてもきれいにできた。
今日は日曜日だ、ここに来ると、休みというのがないのでどうしても曜日感覚がなくなる。そうだ、日曜はカレー日和だ。ということでスーパーで肉をあさっていると、面白い名前の真っ赤な肉があった。なんと”米龍”と書いてあった。米を食べる龍?どうも牛肉っぽい。そしてその部分がやけに安いので思わず買ってしまった。龍の肉を辞書で調べても載っていない、何の肉だろう?いろいろとネットで調べてみるとどうも牛のお尻の上の肉という事がわかった。もしやロバか何かかなと思ったが、牛で良かった。ちょうど阿拉善から電話がかかる。キュウリの植え付けを先にやってくれたらしい。あと車のギアボックスが壊れてしまったので、車が動かないという連絡だった。またか...。1ヶ月のうち半月は故障しているこの車はセーフという中国製の車なので、最近はよくアウトする。まだ1年半なのに砂漠を70000kmは走って事故2回だからなあ。でも騙された。なんせ、この修理代も馬鹿にならないのだ。やはり日本車を買っておけば良かったなあ~と今悔やんでも仕方ない。修理して使うしかないか。今はこの車の4輪駆動も2駆しか動かず、砂でよくスタックするのだが、それ以前は4年間車の無い状況だった事に比べればありがたい。北京でのビザが明後日降りるのだが、今は毎日外に出ずにこもって数百枚の領収書の翻訳をしている。(でも一枚ずつ翻訳はキツいなあ)というので龍の肉を食べた。ちょっとガムっぽい固さだがおいしかった。龍を食べて元気になった。でも作りすぎてしまったので明日もカレーだな。
今日は時間がないので餃子にしようと○華商場に行った。いつもの餃子に手を延ばしかけて、もしや…と思い、日本食コーナーに行くとなんと○冷食品の餃子が中国製よりも10元以上安く売っていた。それも焼き餃子が1袋650gでこの値段はお買い得だ!という事で、今日は焼き餃子とビールにした。やはり油を敷いてから5分でできるのはありがたい。まずは油を薄く敷いてから冷凍餃子を並べ、フライパンが熱くなるのを待つうちにコンソメを隠し味に砕く。それを水に溶かして2分後に餃子に掛けるのだ。「ブワー」っという湯気がたつと同時にさっと蓋をする。そして待つこと3分。もうできあがりだ!美味しそうな香りがあたりに漂う。この餃子のたれはチリソースとお薦めは鎮江の香酢だけれども、山西省の老陳酢も微妙なくせがあってうまい。これらを混ぜ、醤油をほんの少したらす。この加減を間違えると美味しくない、あくまで醤油は少なくした方が香酢の香りが残るので美味しい。そして冷たいビールをプシューっと開けると立派な?夕食の出来上がりだ。モンゴルでは餃子にゴビで採って来たばかりの沙葱(砂漠ニラ)を入れる。日本のニラに比べ、アリシンの匂いが強いのだが、それがかえって羊の臭みをうまく消してくれる。その地にはその地に合った食べ方があるんだなあと思う。思えば昨年あたりから食品等に対しての目が厳しいように思えるのは私だけだろうか?○冷食品や加○吉食品等の冷凍食品業界も私のように小さな幸せを貰っている人がたくさんいる訳でめげずに頑張って欲しい。おいしかった。ふう。(また餃子の話題になってしまった…)
阿拉善(アラシャン)といえば羊料理だ。その中でも、独特の硬さ、そして噛めば噛むほどにジューシーなおいしさが砂漠ネギと共にあふれ出る食べものと言えば、この羊餃子(ヤンジャオズ)だ。日本にある豚肉の餃子にはない味だ。そして、しばらく食べないと又食べたくなるから不思議だ。そしてこの量!!食べきれないほどに皿に盛って出てくる。中国でも北京や上海等では、最近は皿が小さいのが高級店のようで、量も少なくなってきているが、やはりここの餃子は皿が小さくてはいけない。あくまでも「デーン」とおしげもなく出て来るのが田舎ならではのおいしさの印だ。それを黒酢とトウガラシを少し加えてフウフウと熱いうちにすばやく口に運ぶ。そして、食べる際、息つく間に飲むお茶は熱くなくてはならない。というのは、羊は脂肪分がある為に、この熱いお茶でこの油を分解してくれるからだ。阿拉善の羊餃子、ぜひ現地にいらしたらお試しあれ。
アラシャンの町には至る所に蒙古早茶館がある。アラシャンの人は仕事前にここでレンガ茶(醗酵しているプーアル茶のようなお茶)とパオズ等を食べる。バイアルさんの早茶館は味がよく、いつも大賑わいだ。特にここの薄い甘餅がお勧めだ。彼は以前、北海道の日高で研修生として1年間酪農を手伝っていたことがある。行くとよく北海道の話になる。「日高はいい所だよ~。綺麗で、人もいい人ばかりで…」そんな彼がある時、頼みごとをしてきた。(普段は人に物事を頼むことをしない彼が言うからには、相当困ったことがあったのだろうか?)真剣な目からは断るに断れない雰囲気が漂っていた。そして、言いにくそうにボソッとつぶやいたのだ。「ジンギスカンが食べたい…」その時の言葉がいつも心の中で引っかかっていたのだ。ここには羊がいっぱいいるのに、ジンギスカンが食べられないのか?そうなのだ。この町ではジンギスカンが食べられないのだ。あの美味しいジンギスカンがここにはないのだ。そこで、前回、日本から密かに持ってきたスペシャル鍋をプレゼントしたのだった。それを使って食べようという事になった。電話があって行ってみると閉店して待っていた。案の定、鍋を逆さにしている。用意してもらったラム肉を薄く切って、玉ねぎを切って、タレを作ってようやく準備完了だ!鍋からは美味しそうな煙と肉のジューと焼ける匂いがたまらない。そしてようやくアラシャン第一号のジンギスカンを味わったのだ。これぞ本物のジンギスカンだ。うまいうまいと平らげた。バイアルさんがようやく叶った願いに細い目を潤ませて喜んでいた。
昨夜はJICA協力隊で美術を教えている名嘉真さんと民族中学校の日本語教師の細井さんがセンターの皆にカレーを作って振る舞ってくれた。以前日本の味をと思って一度作った事があったが、あまり反応が良くなかったので、口に合わないのかなと思っていたが、やはり作る人によって反応が違う。食べるのに夢中で無口になっているのがわかる。久しぶりの日本の味だ。ここにいるといつも麺かご飯に卵とトマトのいためばかりだからなあ。飽きるのだ。食のレパートリーが少なくなると仕事の士気にも影響する。「今度のはおいしいね~」(自分のはまずいのだ、かなりはっきり反応されると痛い)あっという間に平らげて宴会になった。ここは町からも離れていて娯楽があまりないので、久しぶりに盛り上がったような気がする。日本語が話せる環境はやはりうれしい。日本の食文化をありがとうございました。
中国では近年、日式(日本式)カレーがひそかなブームである。「ガーリーファン」が大好きな人が年々増えつつあるように思う。ここアラゼンでも喫茶店でカレーを食べさせる店ができて、時折、1人で行くのだが町の人の人気度は高くない。スタッフも嫌いなだけあって、ヨーロッパ風の店は閑散としている。こちらの人はハンバーガーやカレー料理にはまだまだ舌が慣れていないのかもしれない。いつ潰れるか心配だ。ちょっと先進過ぎて老板(社長)のマーケティングも足りなかったのだろう。ピザ屋もできてしばらくたってから行くと潰れていた。阿拉善や西の地域では基本的に大勢でテーブルを囲むスタイルの店がまだ大はやりだ。中国では東の沿海部の地域、北京などでは逆に日本式やイタリアンなどの店が大はやりだ。例えば北京に行くとよく行く「ばんり」という店がある。ここは食のマーケティングが成功した例だろう。とんかつとカレーの店なのだが、北京の五道口とよばれる韓国人地域にあって、とんかつ好きな韓国人の舌と大学地域の中における比較的安い留学生向けのカレー屋、情報発信食堂としての地位をうまくキープしている。将来、阿拉善で日本式が受け入れられる頃には、町も食生活も大変化しているのだろうか?
今日は氷点下10度だった。調査で来ている東京農大生が皆「足が痛い痛い」という。凍傷になりはじめの状況だ。雪面からの寒さ+乾燥した北風が吹き付ける沙漠で寒さが痛く感じるのだ。夜も暗くなる6時ごろまで調査をしていて、時々寒さから発する雄叫びが沙漠にこだましている。それは痛さからの声なのか、感動の声なのかわからない。調査が終わると、寒い日はこの店しかない。「金牛飯館」行列のできる砂鍋の店に行った。店に入ると、ちょうど運良く1テーブル空いていた。ほっぺの少し赤い黒い鍋ですすけたエプロンを下げた少女が忙しく働いている。砂鍋は鉄のようにみえて実は土鍋でできている。この鍋から出る遠赤外線が料理をおいしくするそうだ。ジャンボサイズのカップめんくらいの大きさの鍋に少し辛目のスープにトマトや羊肉、じゃがいもでんぷんでできた半透明の面が入っている。ご飯との相性バツグンで、寒い日は身体を温めるために、ふーふーいいながら食べるのだ。凍えていた身体が温まった。今日もいい日だった。