新・東京日記 ~ママチャリで行くわヨ!~

子育ても一段落し、だいぶ落ち着いてきた日々の備忘録。

ハードルと私

2010-12-27 | 子育て

皆さまのご家庭には「暗黙の掟」というか、これは外しちゃヤバいという「暗黙のルール」というか、そんなものはありませんか?それを意識し始めるのは、家族以外に自分のネットワークが出来てきて、外も自由に歩けるようになって、自立への道を踏み出す思春期。家族との生活と、友達とのつきあいと、バランスをとらねばならなくなる時期だ。(と思う)

私にとっての高い高いハードルは、「日曜の夕食」と「大晦日」であった。父は新聞社勤めだったので、子どもたちが登校した後に起床・出社、連日深夜の帰宅、という日常。一つ屋根の下に住んでいながら顔を合わすのは日曜日だけだった。ので、日曜の夕飯が唯一、父と一緒の食事であった。母の料理にも気合いが入り、いつも豪勢。小学生の時はそれが嬉しかったものだが、中学生にもなれば、お酒が入ってテンションが高くなる父が鬱陶しくなり、日曜の夕食が段々嫌になった。が、「日曜の夕食だけは家族全員で」という暗黙の掟はおも~~~く私にのしかかり、大学時代にデートだ何だで遠出しても、夕飯の時間までにはどうにか帰宅したものだ。別に親から明示的に言われた訳でもないのに、大学を卒業して実家を出るまでついぞやこのハードルを越えることは出来なかったのであった。

大晦日も然り。レコード大賞そして紅白を家族全員、というか父と一緒に観るものだという「暗黙の掟」。しかし、このハードルは飛び越えかけた。大学1年の時に、友達のおうちにお邪魔して皆で一緒に海に初日の出を見に行くというイベントがあったのだ。一大決心をしてその予定を告げると、心なしか父の顔が悲しげに見えたので、「あ、なんか悪いな~~」と心を痛めたものだ。ところが、そこまでして見に行った初日の出、海岸はめっちゃくちゃ寒くて寒くて、「二度と来るもんかい!!」と心の中で悪態をつきまくっていた。しかも、お邪魔したおうちはとても上品で高尚な雰囲気のご家庭で、大家族のわさわさ感・ぐうたら感に慣れ切った私には新鮮ではあったけど、一抹の寂しさを覚える始末。

結局翌年からはまた、実家でぬくぬくと、台所で必死の形相でおせちを準備している母、バッコンバッコンとすごい音をたてるもちつき機、菓子をとりあってぎゃーぎゃー騒いでいる妹と弟、ソファに正座している祖母、そして、お酒が入って気分良くなったりつっかかってきたりする父、たまに存在を知らせるかのように階下からワンワン吠えるラビ(犬)という大家族的環境の中、おせちの手伝いを(嫌々)しながら、あーでもないこーでもないとTVにつっこみながら、皆で紅白を観る大晦日に戻ったのであった。

が、しかし。数年後、4歳下の妹と6歳下の弟はいとも軽々、というかさっさとこのハードルを飛び越えた。というか、彼らにとっては最初からハードルでもなんでも無かったんだろう。両親も両親でそれが当たり前、という態度。「え~~~~!?こ、これって、全然OKだったんだ。。。?ちっ、裏切られたぜ。。」と内心愕然としたものである。

この話を思い出したのは、花の15歳、友達と家族のバランスを取り始めた息子が、彼なりに「ハードル」を意識している様が随所に垣間見られるようになったからなのであった。ヤツも長男体質。よって「暗黙の了解」チックなハードルを設定している様子。それに対し、娘はハードルなんぞ軽々と飛び越えるか、蹴り倒すか、どっちかなんだろうなぁと既に予測できるのである。笑。