新・東京日記 ~ママチャリで行くわヨ!~

子育ても一段落し、だいぶ落ち着いてきた日々の備忘録。

2008年!

2008-01-13 | Weblog

年が明けてからもう半月!?
年末年始は、鎌倉の実家にて美味いものたらふく食べて、読書三昧。
読んだのは以下の本。
「天樟院篤姫」(宮尾登美子)ー 私は一人で寝るのが未だに怖い。途上国への出張で何がキツイかって、ホテルの部屋に一人で寝ること。で、毎回宮尾登美子の小説を持っていき、読みながらいつの間にか寝るというパターンを編み出した。。。これは今年の大河ドラマの原作ですな。幕末物はもともと大好きだが、歴史の裏側に隠れがちな「女性」の視点から近代日本に向けた激動の時代が描かれているのが面白い。「内助の功」って言い方、ジェンダー的にXでしょう、という意見もあるかもしれんが、「内助の功」を過小評価してはいけない。表舞台に出ることなくとも、大局を見据えつつ強かにしなやかに物事を動かしていくこともおおいに戦略的。大変ためになりました。

「女の顔」(平岩弓枝)ー1969年あたりに日経に連載されてたすんごいメロ・ドラマ。大映テレビのドラマみたい。

「打ちのめされるようなすごい本」(米原万理)2006年に癌で亡くなったロシア語通訳の米原さんによる書評を集めた本。共産党員のお父さんの仕事の関係で、モスクワやハンガリーで育ったということで、その知識(ロシア文学、思想、歴史etc etc)の蓄積には圧倒される。しかも毒舌。あ~、こういう人大好き。外務省起訴休職中の佐藤優氏の著作(「国家の罠」からはじまり、最近も「私のマルクス」「インテリジェンンス人間論」など続々と著作が刊行されてて、そのどれもが読み応えある!)を読んでも感じるのだが、ロシア文学やマルクス的思考を自身の知的成長の背景に持つ知識人って、ものすごい分析力だなあ~。佐藤さんは最近でピカイチの「知の巨人」ではないか?で、私の身近にも一人いるんです。そういう方が。まあ、私のこと知っている人なら誰を指しているかピンと来ると思うが、もうこの人と話すと面白くて面白くてあっという間に時間がたってしまう。ある事象について、「彼ならなんと言うかな?どう解釈するかな?」と常に思ってしまう。

私がこの世で一番好きな場所は多分本屋だと思うんだけど、そこでいろんな本を探すのも楽しいが、自分が信頼する知識・教養人に本を薦めてもらうのも大好き。で、米原さんのこの書評ブックは大変ありがたい。

「欲望する脳」(茂木健一郎)人間の経済活動を進化論から捉えると、なるほど面白いな~という発見。ITとグローバリゼーションがくっついた「デジタル資本主義」において、人間は「欲望」をむき出しにすることに抵抗感がなくなりつつあり、それが社会経済の枠組みを規定しつつある。たとえば、昨今の金融市場も市場原理主義の跋扈も、「欲望」「倫理的規範」といった視点から読み解くとなかなか面白い。人間はいかに生きるべきか、自己と社会とのかかわりはどうあるべきか、といった哲学的思索がさらに重要になるであろうこれからの時代。デジタル資本主義の跋扈に対峙できるのは、人間の倫理観であり哲学であると再認識。息子も学校でethicsの授業をとっており、それがめちゃ好きだとういことで、そんな話をよくするようになった。

「大前流心理経済学」「新・資本論」(大前研一)後者は10年近く前の本。ITとグローバリゼーションによって「経済市場」がどう変革し、それによって企業、国、個人がどんな選択や対応を迫られるであろうを預言してるんだけど、今読んでも、というか、今読むからこそ面白い。前者は最近の著作。日本が国際社会で起死回生を図るには今しかない。日本の国際社会におけるプレゼンスは坂道を転げ落ちるように低下している。私はそれを「開発」「援助」「外交」といった側面から日々実感しており、今の仕事の中心は、それを5月末に日本で開催されるTICAD(アフリカ開発会議)と7月の洞爺湖G8サミットを通じてReverseすることを目的にしている。今、浮上できなければ、日本はたぶんこれから沈みっぱなし。鎖国できた江戸時代ならいいけど、今はグローバル経済に組み込まれている。食料の自給率やエネルギー資源に乏しく、しかもこれから少子高齢化に突入する日本が国際社会の中でどう舵をとっていくのか、それこそ幕末並の激動の時なんである。それを「経済」という土俵で論じたこの本は、なるほどな~と考えさせられた。それにしても、この国の政策策定者を日々間近に見ているものとしては、不安でいっぱい。この後に及んでは、「市民社会」にかけるしかない。これからさらに、日本人ひとりひとりの市民力というか、経済や社会をしっかりと読み取るリテラシーが重要になってくる。こどもの教育も、そういう視点から考えないといけない。知識があっても、大局や文脈をしっかりととらえ、論理的かつ戦略的に物事を動かす力がないと、まったく持って意味の無い時代になってきた。それは、家計レベルでも言えること。資産だって年金だって雇用だって、しっかりと自分でコントロールできる体制を作っておかないといけない。もちろん、男性も女性も。

あと、買ってまだ読んでないのは、
「銃・病原菌・鉄」(ジャレド・ダイアモンド)と、アフリカ的段階についてー史観の拡張(吉本隆明)。TICAD(アフリカ開発会議)に今どっぷりつかっているところなので、もっと勉強しないといけない。やっぱり大局をとらえるには、歴史の勉強は欠かせない。

今年は、とにかく「アフリカ」である。私は、政策的側面から、市民社会組織によるアドボカシー・キャンペーンの側面から、著名人の方を中心としたマス・キャンペーンの側面から、とありとあらゆる角度から関わっている状態。いろんな場でいろんな立場にある人たちと同じ目標に向けて仕事ができるのは大変エキサイティング。5月末から6月にかけて、その成果がいろいろとでてくるので、皆様もお楽しみに!

ということで、今年も宜しくお願いします。