田舎のエプロンおばさんのエッセー集(アキのあしあと集)

日常の生活記録や認知症の主人を抱え奮闘する私の日々の記録をエッセー風にしました。

4 補助看

2004-06-18 14:01:14 | 私の身辺

    昭和59年7月24日 毎日新聞 女の気持ち 掲載

 看護婦さん!看護婦さん!と患者さんに呼ばれてハッとした。
周囲には誰もいない。恥じらいとテレで少し赤くなりながらやっと自分の事
だと気が付く。私の服装は看護婦さんと良く似ている。私は頭に三角布。
私の仕事は補助看。何をするかと言えば看護婦さんの助手受付事務の助手
その他院内の掃除洗濯、入院患者さんの配膳、時には自家用運転手と変身
して外に飛び出して走り回る。 事務長曰く「君の仕事は病院にとっていかに
重要なことか分かりますか?清潔、親切、 明るい雰囲気つくり、等々責任は
重いのだから仕事に誇りをもって頑張って下さい」と。この仕事に付いてまだ
半年足らずだが私はこの与えられた仕事が最高に気に入っ いるのである。
看護婦さんが時々私の事を「お母さん」と呼ぶ時がある。そうだ!私は病院の
母さんになろう。母さんの心がけで仕事にはげもうと思う。私が1番嬉しい時
は患者さんが元気に退院される姿を見送る時でる。1番辛いのは容態が悪化
して設備の整った大きい病院に転送する救急車を見送る時。朝眼が覚めたら
寝床の中で今日1日の仕事の予定を立てて見る。入院、退院、飛び入りの車
の運転・・中々予定通りに運ばない日が多いけれどその変化が又充実感を与
えてくれる。嬉々として職場へ出かける母の姿を我が娘達はどう受け止め何を
学んでくれるのだろうか?

  註 その後 平成15年12月15日 定年退職  お疲れさまでした

  平成16年6月18日   記  仕事が楽しいエプロンおばさん