田舎のエプロンおばさんのエッセー集(アキのあしあと集)

日常の生活記録や認知症の主人を抱え奮闘する私の日々の記録をエッセー風にしました。

18 長府・心に残る散策

2004-07-31 10:02:21 | 私の身辺


 突然唐津の弟から心に残るいい所に案内するから行こうと電話を貰う。
2つ返事で迎えを待つ。行くさきは「長府」。
長府庭園、国宝功山寺、侍屋敷の練塀通り、乃木神社、毛利邸。
乃木神社のご夫妻の銅像にしばし心を奪われる。
弟の説明によれば、軍旗を無くし、いざ切腹してお詫びを!とその時 
「乃木は死ぬに及ばず生きて忠誠を尽くせ」と 天皇のお言葉。
天皇の没後、乃木は任務が終われり!と自害を決意。
妻に一緒に死んでくれと頼む。妻が先に喉をかき斬るが力及ばず苦しむ時、
手を貸しとどめを刺した後自らも切腹し果てる。
乃木大将が生涯に於いて妻にしてあげた事はただ1つ。
それは自害の手助けだった、と言う。知らない事ばかりだった。
毛利邸のお座敷。テーブルの竹篭には木の葉と筆。
「あなたの声を聞かせて下さい」とある。この感動を書きたいが難しい。
  私の句  思いがけず誘われて 長府の風情に心落ちつけり
  弟の句  春ひなた 踏んでみたいな 苔の庭

後日俳句をされている知人に長府の話しをしたら自分も行ったからよく分かる
と話が合う。私と弟の句を見せて教えを乞う。数日後の返事。

 ★ 冬の陽や 古き歴史の 庭に立つ
 ★ 思い出の 冬の日浴びて 毛利邸
うーんなるほど、さすがに上手い。やっぱり私には風流は高嶺の花か?

  平成16年7月31日  記  風流は似合わないエプロンおばさん

   



17 ヘルパー資格取得のため・・オムツ体験

2004-07-30 09:53:23 | 私の身辺


平成12年4月9日ヘルパー勉強中の体験オムツ体験は土曜日の夜と決めた。
11時半就寝。早朝4時半尿意で目が覚める。オムツに気づき排尿を試みる。
何度も寝返りを打ちながら頑張ってみるが中々出そうにない。 膀胱はパン
パンに張っている。出ないよ~!なき出したくなる。とうとう布団の上に正座
して下腹を押しながら力んでみる。ヘルパーの勉強の為オムツ体験の為
オシッコよ!出てきておくれ。思わず手を合わせ拝んでいる私。
アツ!少し出そうになった。無意識に腰を浮かせていた。でた!出ました!
随分出たように思う。濡れたオムツの感触を味あう余裕なんて気持ちにゆとり
はない。そのままトイレへ這って行く。オムツを外しトイレで用を足す。
かなり出た。オムツにはどの位の尿量が出たのだろうか?(後談であるが
120gのオムツが280gだったから尿の量は160g出た事になる)
トイレでするのが当たり前の行動がこんなに気持ちよく清清しい気分になる
なんて・・・オムツをしてみて始めて気づく。オムツをしているから大丈夫
ですよ、そのまましていいですよといくら促しても本人にとっては苦痛恥辱
そのものだ 身を持って体験した。160gの尿を吸ったオムツに気持ちが悪く
立って歩けず這ってトイレへ急いだ私。2回3回の排尿を蓄えたオムツ・・
何時間も放置された本人の気持・・ その時の皮膚の状態・・これは残念
ながら体験出来なかったけれど考えさせられる事は沢山ありいい勉強になり
ました。今回の貴重な体験のチャンスを頂いたことに深く感謝致します。
有難う御座いました。4年後の今は主婦ですがいずれ 主人に役立てば・・・

  平成16年7月30日 記 オムツにオシッコを経験したエプロンおばさん

    

 



16 娘のガンバリに心からエールを

2004-07-30 07:03:37 | 不良娘の成長




平成15年4月11日 朝日新聞 おしゃべり交差点 掲載

「サクラ咲く」の朗報。35歳の娘が看護士の試験に合格したのです。
34歳でやっと意中の人と巡り合い、看護学校の入試、入籍、引越し入学式
結婚式とあわただしい2年間でした。 午前中は病院で働き午後1時から5時
まで看護学校。若い人に交じって勉強するのは覚悟の上とは言え必死だった
ようです。もともと勉強嫌いで高校も中退の娘が看護学校 無事卒業して資格
試験にも合格する日が来るなんて夢のようです。
結婚して子育てに専念を、と学校に行くのに反対したのは私1人でした。
今では若い2人に心から詫びています。ごめんなさいね。就職も決まり
本格的に医療現場で働きながら、日々の勉強する積み重ねの始まりです。
心と体で患者さんに接す心優しいナースになってほしいと切望します。

   平成16年7月30日 記 反対してごめんねと詫びるエプロンおばさん

    

15 仲良い2人が最大の親孝行

2004-07-29 06:50:11 | 不良娘の成長

平成13年11月30日 朝日新聞 おしゃべり交差点 掲載

私の親しい家の34歳になる娘さんが結婚した。彼女は亭主関白で俺に付いて
来いタイプが男らしいと思っていた。それが勘違いだと気づいたのは彼に出会
ってから。世の中にこれほど優しい気づかいと思いやりのある男性が居るのか
と目からうろこ。彼女の中学、高校時代は、親、学校、先生世間に対する反抗
が凄かった。荒れた学生時代の事、自由奔放に生きていた時代の事全て彼は知
っている。「過去は関係ない、今の君がいい」と彼。今まで待っていて良かった
と彼女。今の2人ならどんな難題もきっと乗り越えて行くだろう。2人がどんな
家庭を築くのか期待と好奇心。世話好きで正義の味方のオバタリアンがここに居る。味方にすると心強い応援団長。敵に回すと怖いですゾ。親孝行は物品では
ありませんよ。2人が幸せで仲良く暮らしている姿を見せる事ですよ。
隣のオバタリアンもふたりに乾杯! 

   平成16年7月29日  記   応援団長のエプロンおばさん

    


14  お手伝いを楽しむ孫娘たち

2004-07-28 06:33:01 | 孫の話題

久しぶりに孫娘2人が泊まりに来た。張り切ったおばあちゃん!「朝ごはん何
にする?食パン?納豆ごはん?ホットケーキ?」「ホットケ-キ」と、声をそろ
えた元気な返事。「全部自分達でしたいお願い!」と来た。「おばあちゃん助
かるよ、頑張ってね」ボ-ル、粉、卵、牛乳。かき混ぜる小さな手。新2年生
の手つき中々のもの。おばあちゃんの家に来たら、お手伝いが出来るから楽し
いと言う。親が共稼ぎのため夕方5時まで学童保育。夕食は9時前後になるら
しい。土曜日、日曜日はママが休みだからお手伝い出来るじゃないの、と言えば
首を横に振る。休みは外で食べる日が多いので手伝えないと嘆く。現代の世相を
ここに見る 。休日の外食はママにとって欠かせないリフレッシュなのだ 。
まーちゃん、み-ちゃん当分の間おばあちゃんの家でのお手伝い 楽しんでおくれ。
ホットプレ-トの上では可愛いホットケーキが5つ いい色に焼き上がったよ。 
皿に上手に乗せて1丁あがり!まーちゃんとっても上手だね。2回焼いて10枚
出来上がり。まーちゃんみーちゃんが2枚づつおじいちゃん、おばあちゃんは
3枚きれいに食べちゃった。又作ろうね。

   平成16年7月28日 記 朝からホットケーキを食べるエプロンおばさん





13 病人のためでも花を取らないで

2004-07-21 20:35:26 | 私の身辺
平成12年10月27日 朝日新聞 おしゃべり交差点 掲載

 日曜日の朝、団地の草取り終了後、弁当を持って主人と遠賀川の河川敷へ
コスモスを見に行った。3号線のガードをくぐったとたん素晴らしいコスモスの
帯で埋め尽くされていた。水巻町でコスモスサミットが1週間後に開かれる
とかで今年は例年の数十倍の規模でコスモスが咲き競っている。花をめでながら
歩いていると、コスモスを切っている人がいる まさか!と思いながら近づいて
行くと、私達位の年配の2人づれ。女の人が私の目の前で、花バサミでコスモス
を切った。左手にはかなりの花の束を握っている。「奥さんそれはないで
しよう。いけませんよ、沢山の人がサミットのために汗水流して育てた花
ですよ」。女の人は「いけないことは知っています話しを聞いて下さい。
危篤の病人がコスモスを見たがっています。だから頂いています。
私はそれ以上何も言わずその場を後にした。花屋で買うとか野生のコスモス
を探すとか、個人の庭なら訳を話して分け貰うとか手に入れる方法はあるだ
ろう。やっぱり許せない。花に囲まれたベンチで食べた弁当も味気ない。
あの奥さん!お願いだから手に持ったコスモスが人の目につかぬよう新聞か
袋で覆って早く立ち去ってほしいと私は願った。

     病人の為なら貴方は許せますか?

  平成16年7月21日 記 許せないエプロンおばさん

    



12 緊張感持った生活・夫の病状好影響

2004-07-20 20:18:28 | 認知症の夫を抱えて
平成11年1月22日 朝日新聞 はなしの広場 かけ橋 掲載

夫は5月で67歳になる。仕事を辞めて4ケ月。びっくりするほどのスピードで
ボケの症状が現れた。どうしょう?これから先の不安を抱きながら夫を1人
家に残して私は勤めを続けてきた。話を聞いた姉弟達が「今のままでは2人と
もダメになる。生きがいと適当な緊張感を持たせて少しでもボケの進行を遅ら
せないと、と手を差しのべてくれた。姉は食と住を!弟は仕事を与えてくれ
昨年暮れか別居生活がスタートした。夫は姉の家に同居し毎朝姉と共に出勤し
倉庫で雑用の仕事をしてる。失敗や物忘れで周囲に迷惑を 掛けながらも彼は
彼なりに一生懸命頑張っているらしい。電話の先で「焼酎が旨い」と言う声が
弾んでる。正月は私達の老後について親子で真剣に話し合った。
「これから先はお父さんのことを中心に考えよう」と娘は言う、私もそう思う。
来年3月で私は退職し故郷に終の棲家 移すつもりだ。1年間待って下さいと
姉弟に頼んだ。彼らは長いなー!と言いつつも協力してくれている。
別居生活は私にも堪える。娘は35年間母さんが頑張って来た結果が今の結果だ
と言う。そう言われると辛いと言ってめそめそしても居られない。
1歩1歩の延長が1年につながる、やるしかない。

    註  あれから5年 故郷に帰ることなく娘夫婦と同居
       あの苦しいとき支えて貰った恩は生涯忘れません
       
   平成16年7月20日 記  姉弟に支えらているエプロンおばさん

    

  

11 思いやりほしい・スーパーの店員さん

2004-07-16 17:29:18 | 私の身辺
 平成10年7月16日 朝日新聞 話しの広場 かけ橋 掲載

いつものように仕事帰り会社の近くのスーパーで買い物を済ませ家路につく。
夕方の6時半をすぎている。急いで夕食の準備に取りかかる。
「あれー」たしかに買ったはずのカレーのルーがない 。スーパーの籠に入れ
たのは確かだ。慌てて車まで行ってみる。座席や椅子の下まで手を伸ばして探
すが落ちていない。籠に忘れて来たらしい。ボーッとしているのはやはり年の
せいらしい。おかずは急遽肉じゃがに変更した。次の日スーパーの店員さんに
聞いてみた。「昨日カレーのル-の忘れ物ありませんでしたか?」
「昨日の事は分かりません、昨日の人は休みです」とそっけない。
「申し送りとか、そんな事はないのですか?」と私も粘ってみる。
「ありません」とこっちを見向きもしない。
せめて隣のレジの人とかに問い合わせてみるといった思いやりもないようだ。
もともと自分の不注意とは言え「この店の教育はどうなっているの?」
と思う。それからは籠の中を確認して外に出る事にしているがこの注意力
何時まで続くことやら・・・

   平成16年7月18日 記 オッチョコチョイのエプロンおばさん

    



10 通販に興味なし!私って貧乏性?

2004-07-15 16:49:04 | 私の身辺
平成10年3月6日 朝日新聞 はなしの広場 かけ橋 掲載

娘と私宛に分厚いダイレクトメールが送られてきた。 
私は今欲しい物は何もない。包装のビニールを破る事も無くそのまんま古新聞
の仲間入り。夕食後娘が今日送られてきたカタログ見せて!と言う。新聞の
所よ、と言うと「何も見らんでそのまんま?」と聞く。「そうよ、欲しいもの
は何もないもん」「いくら欲しいものが無くても見るだけでもせんの?」
「見る時間が無駄よ。もったいない」「お母さんは変わってるね。普通買わん
でも見るだけでも楽しいのに。その楽しさも分からんなんて可愛そうな人」
そうだろうか?私は何時もマイペースだから人と買い物に行くのは苦手だ。
ウインドウショピングに興味もない。高かろうが安かろうが必要な時には
パッと買う 。毎日の買い物だって目的の品物の所に直行しさっさと済ませる
ので10分もあればいい。 経済的にゆとりがあればどうだろうか?「自由に
どうぞお使い下さい」と10万円貰ったらさあーどうする?デパートに飛んで
行くかな !ノー !やはり欲しいものが現れるまで待つだろう。根っからの
貧乏性かもしれない。娘からは可愛そうな人と同情されても私の人生これで
良しとしよう。

平成16年7月15日  記 可愛そうと言われたエプロンおばさん

    
 

9  闘病中とは見えない私

2004-07-10 16:29:59 | 私の身辺
       平成9年6月12日 朝日新聞 はなしの広場 かけ橋 掲載

 車通勤から徒歩で通勤するようになって7ケ月がたった。 糖尿病のため
運動療法の1つとして始めた。片道40分掛かるので朝7時15分には家を出ます。
早起きは得意な方なので続ける 自信はありました。出勤スタイルはパンツ
ルックにスニーカー。背には大きめのリュックサックを背負います。
この中に、仕事帰りに買う夕飯の品物を入れます。7ケ月の間には色んな人に
声をかけられました。「毎日何処に行てるの?山登り?優雅でいいわね。
「会社は辞めたの?今何やってるの?」或るおばあちゃんは「まだ若いのに
自転車にも乗れないの?」と言われました。知人に車を止めて「どうぞ!
乗られませんか?」と云われた事もあります。こんな出で立ちで歩いている
私をもう7年も糖尿病で苦しんでいると誰が想像するでしよう! 
人は外見だけでは判断出来ないですよね。健康そうに見えても病気と闘って
いる人。幸せそうに見えても・見た目だけで判断しては大きなミスをしそう
です。歩いていると、色んな楽しみがあります。あの車とこの交差点で出会
うのは何時もより5分早いわ。あの学生さん、今日は寝坊したのかしら?
同じ場所で同じ時間会う自転車の男性は、きっと几帳面な人だろうな。
所で私は人の目に、どう映っているのだろうか?ちょっと知りたい気持ちです。

     註 あれから7年今でも糖尿病と仲良しです。

  平成16年7月10日 記  糖尿病と離れられないエプロンおばさん