(原 光訳 2000年、沖積舎)
ダンテの「神曲 地獄」編 第16歌(カッコ内は筆子、その15)
◯わたしは見たのだ、濃く暗い大気を通して、どんなに落着いた心をもびつくりさせる一つの姿が、泳ぎ昇るやうに浮び上つてくるのを、
それは、よくあることだが、岩かなにか海中の隠れたものに、ひつかかつた錨を解き放ちにもぐつていつたものが、
上へ手を伸ばし脚を締めて泳ぎ上つてくるのにそつくりだつた。(前回ここまで)
ダンテの「神曲 地獄」編 第17歌(カッコ内は筆子、その1)
◯尾鋭いこの獣を見ろ、山山を横切り、城壁と武器を破壊し、世界ぢうを悪臭で満たすこいつを!」
先達はまづわたしにさう言つて、獣に合図した、わたしらの通つてきた石堤の端に近く、崖つ縁に来るやうに、と。
するとこの不潔な欺瞞の化身は近づいて、頭と胸を緑に載せたが、尾は緑に引上げずにゐた。 (つづく)
◯本日、5月21日の日本聖書協会の、「聖書愛読こよみ」の主題は「キリストの体なる教会」という。聖書は
コロサイの1章9~20節である。その20節、「その十字架の血によって平和を打ち立て、地にあるものであ
れ、天にあるものであれ、万物をただ御子によって、ご自分と和解させられました。」という。「その十字架の血
によって」というところが、わたしたち罪人には大事である。しかし場合によって当事者に罪はない、分け合う責
任もないという時が起こる。話は別。平和という名の下に争い、多くの犠牲者を出す。世の戦争はこの類。
◯写真は、隣の県立美術館で5月21日まで開催中の「県美展」である。時に、講師が解説してくれる.