五、「教会とわたしたち」(410) 5.近代から現代へ(宗教改革とその後)
はじめに、近代への萌芽としてアウグスチヌス著「神の国」(1968.教団出版)(その50)
31.どのような邪悪な過程を経て、支配欲がローマ人民の間に生長したか。
32.舞台劇の導入。
肉体的な患いが下火となったのは、これまでサーカス競技に慣れ親しんでいた戦い好きの人民が、今や柔弱
な舞台劇のヒステリの波に巻き込まれたからではない。狡猾な悪霊どもは肉体の疾病の終焉の間近いことを
予見し、はるかにもっと憂うべき病をはやらせている。それは肉体だけではなく人間のあらゆる行動の領域を
侵食するもので、悪霊どもは大いに喜んでいる。この病に取りつかれた全ての犠牲者のこころは盲目となり、
(前回はここまで)
また汚されている。その暗黒・邪曲さのあまり(後世の人々がそれを耳にしても信じ難く思うであろうが)、ロー
マが後輩に帰したときカルタゴに逃れることのできた者も、この病によって汚染され、気違いのように競ってそ
の地の見世物に日夜入り浸ったほどであった。
33.ローマ市の陥落によっても矯正され得なかったローマ人の悪徳について
あなたがたは何と狂っていることだろうか。わたしたちの聞知するごとく、東方人があなたがたの破滅を嘆き、
遠い世界の偉大な町々が公の喪に服しているというのに、あなたがた自身は劇場を捜し歩き、そこに入り浸
り、それを満たし、以前にまさって法外な行ないを続けているというのは、過ちというよりは全くの気違い沙汰と
言わなければならない。これはこころの疾病、廉直さと (つづく)(「神の国」出村彰訳)