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明美指圧はりきゅう室の健康歳時記

季節の変化を身心で感じていますか?

九鍼十二原篇 ④

2013-04-16 21:41:30 | 学問

4月14日に行われた講義内容は、

持鍼の道は、堅なる者を宝と為す。正しく指して直刺し、鍼の左右するなかれ。神は秋毫に在り、意を病者に属す。審らかに血脈を視る者は、これを刺して殆うきことなし。刺すの時に方りて、必ず懸陽と両衛とに在り。神属して去ることなければ、病の存亡を知る。血脈なる者は、諭の横居に在り、これを視れば独り澄み、これを切すれば独り堅し。

鍼を刺す時の心構えをしっかりもつことの大切さと、

刺し方の重要性も説かれています。

慣れてくると、ついつい基礎からずれてしまうことがあります。

基本を忘れないように。ですね!

九鍼の名、各おの形を同じくせず。一に曰く、鑱鍼、長さ一寸六分。二に曰く、員鍼、長さ一寸六分。三に曰く、鍉鍼、長さ三寸半。四に曰く、鋒鍼、長さ一寸六分。五に曰く、鈹鍼、長さ四寸、広さ二分半。六に曰く、員利鍼、長さ一寸六分。七に曰く、毫鍼、長さ三寸六分。八に曰く、長鍼、長さ七寸。九に曰く、大鍼、長さ四寸。鑱鍼なる者は、頭は大にして末は鋭く、陽気を去り写す。員鍼なる者は、鍼は卵形の如し。分間を揩摩し、肌肉を傷るを得ず、以て分気を写す。鍉鍼なる者は、鋒は黍粟の鋭の如く、脈を按ずるを主り、陥いらしむることなかれ。以て其の気を致す。鋒鍼なる者は、刃三隅、以て痼疾を発す。鈹鍼なる者は、末は剣鋒の如く、以て大膿を取る。員利鍼なる者は、大なること氂の如し。且つ員且つ鋭、中身は微かに大にして、以て暴気を取る。毫鍼なる者は、尖は蚊虻の喙の如く、静にして以て徐ろに往き、微にして以て久しくこれを留めて養い、以て痛痺を取る。長鍼なる者は、鋒は利く身は薄くして、以て遠痺を取るべし。大鍼なる者は、尖は梃の如く、其の鋒は微員にして、以て機関の水を写すなり。九鍼畢われり。

ここでは、九つの鍼の種類の特徴と効用について書かれています。

現在では、あまり使用されていない鍼もありますので、参考程度に読み進めました。

今一般的に使用している毫鍼も長さが三寸六分とあります。私は、一寸や寸三の鍼を使用していますので、時代で違いますね。

それぞれの効用は、興味深く参考になりました。


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九鍼十二原篇 ③

2013-03-12 22:18:20 | 学問

3月10日に行われた、静岡脉診医学研究会の九鍼十二原篇の講義内容は、

以下の内容の解説でした。

凡そ鍼を用うる者は、虚なれば則ちこれを実し、満つれば則ちこれを泄し、宛陳なれば則ちこれを除き、邪勝れば則ちこれを虚す。大要に曰く、徐にして疾なれば則ち実し、疾にして徐なれば則ち虚すと。実と虚とを言わば、有るが若く無きが若し。後と先とを察れば、若しくは存ち若しくは亡う。虚と実とを為さば、得るが若く失うが若し。

 虚実の要は、九鍼最も妙なり。補写の時、鍼を以てこれを為す。写に曰く、必ず持してこれを内れ、放ちてこれを出だし、陽を排して鍼を得れば、邪気泄するを得。按じて鍼を引く、是を内温と謂う、血散ずるを得ず、気出づるを得ざるなり。補に曰く、これに随いこれに随う、意これを妄りにするが若し。若しくは行らし若しくは按じ、蚊虻の止まるが若く、留まるが若く還るが若し。去ること絃の絶ゆるが若く、左をして右に属がわしめ、其の気故に止まり、外門已に閉じ、中気乃ち実し、必ず留血なからん。急ぎ取りてこれを誅す。

主に補瀉の手法が書かれていますが、

2000年程前に、ここまで細かなことを書き残していることに驚かされます。

まだこの時代は、脉診はしていなかったようですが、今でも参考になる文章です。

蚊虻の止まるが若く、留まるが若く還るが若し。去ること絃の絶ゆるが若く・・

蚊や虻が止まっていても氣が付かないように刺す技術は、

当時は今より太い鍼であったでしょうから、大変な技術であったと思います。

今でも、鍼というと「痛い」イメージがあるようですが、

特に私の行っている、脉診、経絡治療は、ほとんど痛くありません。

蚊虻の止まるが若く・・・心がけています。

今まで以上に、押手の使い方に氣を配るようにしていきます。


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九鍼十二原篇 ②

2013-02-22 21:33:42 | 学問

2月17日に静岡脉診医学研究会の例会がありました。

いよいよ「九鍼十二原篇」の本題に入りました。

今回の内容は、下記文章の解説でした。

岐伯答えて曰く、臣請うらくは推してこれを次し、綱紀あらしめ、一に始まり、九に終わらしめん。其の道を言わんことを請う。小鍼の要は、陳べ易くして入り難し。麤は形を守り、上は神を守る。神なるかな、神客門に在り。未だ其の疾を睹ざれば、悪くんぞ其の原を知らん。刺の微は、遅速に在り。麤は関を守り、上は機を守る。機の動は、其の空を離れず。空中の機、清静にして微なり。其の来たるや逢うべからず、其の往くや追うべからず。機の道を知る者は、掛くるに髪を以てすべからず。機の道を知らざれば、これを叩くも発せず。其の往来を知りて、これに与かるの期を要む。麤の闇なるかな。妙なるかな。工独りこれあり。往く者を逆と為し、来たる者を順と為し、明らかに逆順を知れば、正行して問うことなし。逆いてこれを奪わば、悪くんぞ虚なきを得ん。追いてこれを済わば、悪くんぞ実なきを得ん。これを迎え、これに随い、意を以てこれを和すれば、鍼道畢われり。  「現代語訳 黄帝内経霊枢」東洋学術出版社 より

八木斌月先生の持っていらっしゃる本「霊枢経新義解 九鍼十二原篇」柴崎保三講述と

読み合わせして、先生の解釈を加えての講義でしたが、

今回も、微妙に解釈が違いました。

一番違ったところは、

麤は形を守り、上は神を守る。」の解釈で、

麤(そ)とは、技術の未熟な者のことで、

上とは、高度な技術を持つ者を意味する。

と解釈することが一般的なようですが、

八木先生は、

麤とは、痛いところに治療をする人のことで、主に対症療法。

上とは、神氣、氣血をうかがい、補瀉の手法を行う人。

ということではないか?と。

今でも、鍼治療と言っても、色々なやり方があります。

どちらが上、下、良い、悪いということはないですよね。

また、「神なるかな、神客門に在り。」と2冊とも原文が書かれていますが、

八木先生は、

「神なるかな、客門に在り。」とした方が自然では?とおっしゃっていました。

帰宅し、「現代語訳 黄帝内経霊枢」を読みかえしてみましたら、

15ページに「訳注」として、他の文献では、「神乎神」という句があるので、

「神乎神、客在門」と読む説もある。と書いてありました。

流して読むのでなく、自分でも味わって読んでみたくなりました。

解釈によって色々な読み方ができるのが面白いですね。


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九鍼十二原篇(きゅうしんじゅうにげんぺん)

2012-12-13 22:22:12 | 学問

12月9日の日曜日、私の所属する脉診医学研究会の例会がありました。

今回から、「黄帝内経 霊枢」の「九鍼十二原篇」を教材に、

八木斌月会長の講義が始まりました。

今回は、特別テキストを作らず、

訳し文を読みながら、進めることになり、

私が持っている、「現代語訳 黄帝内経霊枢」東洋学術出版社 

をもとに、資料を作成していきましたら・・・

会長の持っている本と、訳し文が違い混乱してしまいました。

例えば、「余子万民」を

私の本には、「余万民を子(いつく)しみ」と訳されていて、

会長の本には、「余萬民を子(こ)とし」と訳されていました。

当然のことですが、あらためて解釈の仕方は色々できるのだな。と

かえって今後の勉強が楽しみになりました。

今回は、黄帝が岐伯に、「後世に伝える治療法を教えてほしい。」

というくだりで、終わりました。

「霊枢」は、鍼経と言われるくらいに、

鍼の治療に関することが、書かれています。

今後の講義が楽しみです。(^-^)


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痛みについて②

2011-06-18 14:16:20 | 学問

前回は痛みの東洋医学、特に漢方の診断、治療方針について説明しましたが、

今回は鍼灸治療の痛みの診断、治療法について説明します。

◇診断法は、前回の内容も当然含まれますが、その他の診断法をご紹介します。

☆痛む場所がどこか? どの経絡に関連があるか?を診ます。  

例えば、頭痛は・肝経、 腰痛は・腎経。・などの経絡に変動があると考えます。 また、頭痛でも痛む場所によって関連経絡があります。

例えば、こめかみ辺りが痛いなら・・胆経、 後頭部なら膀胱経。・・・などおおよそどの経絡の変動なのか、見当をつけます。

次に ☆脉がどのようになっているか?を診ます。

・比較脉診といって、どの経絡が一番弱っているのか? また強すぎるのか?を診ます。

それから・脉状診といって、脉の流れ方を診ます。

痛みの脉というと、弦によりを強くかけたような脉・・これを緊(きん)脉といいます。

脉状には何十種類もあるのですが、主な脉状には、

・浮(ふ)脉・・・・・浮いている脉・・病浅く、表病

・沈(ちん)脉・・・・沈んでいる脉・・病深く、陰病

・遅(ち)脉・・・・・遅い脉・・・・・冷えを現す

・数(さく)脉・・・・速い脉・・・・・熱を現す・虚(きょ)脉・・・・弱い脉・・・・・生気が損なわれている

・実(じつ)脉・・・・強い脉・・・・・生気満ち溢れているか、邪気が多い

以上六祖脉があります。これらを総合判断して、証をたて、どの経絡のツボを使うか、また鍼灸の手技を決めます。

◇治療法

まず、経絡の一番弱かったところを補います。(本治法)

この時、脉状により鍼の刺し方を変えます。

・浮(ふ)脉・・・・病浅く、表病・・・浅く刺します。

・沈(ちん)脉・・病深く、陰病・・・・深めに刺します。

・遅(ち)脉・・・冷えを現す・・・・・刺して少しとどめておきます。

・数(さく)脉・・熱を現す・・・・・・刺したら速めに抜きます。

・虚(きょ)脉・・生気が損なわれている・充分補い、鍼を抜き素早く閉じる。

・実(じつ)脉・・生気満ち溢れているか、邪気多い・・邪を集め、鍼を抜き閉じない。

これらの脉の組合せで手技が決まり、治療し経絡を整え、自然治癒力を引出します。

次に痛い部位、または関連するツボに治療いたします。(標治法)

例えば・熱をもち腫れている場合・・・・瀉の手法で浅めに刺し、熱を散らします。

     ・冷えによる痛みの場合・・・・・若干深めに刺入し、じっくり補い温めます。

大まかに、痛みの治療はこのようにしています。


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