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エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

発達支援には、心理臨床的洞察と倫理的態度が、なくっちゃね。

2015-07-20 08:35:37 | エリクソンの発達臨床心理

 人生で躓いたら、振出しに戻りましょうよ。それは赤ちゃんになれ、と言うんじゃないですね。根源的信頼感をより確かなものにしましょうよ、希望の中に、いままでよりも、たくさんな人と一緒にいられる様な、デッカイ希望にしましょうよ、ということですよ。

 The life cycle completed 『人生の巡り合わせ、完成版』、p60の最後のパラグラフから。

 

 

 

 

 

 faith「困難があっても、信念に忠実であり続けること」, hope「困難があっても、信頼し続けること」,charity「自分が損をしても、アンパンをあげること」と言ったような普遍的な価値の中にある、発達上の筋道を指摘することは、そういった価値を、なにも、赤ちゃんの頃の根っこに、順番に貶めようってんじゃぁ、ないんですね。むしろ、発達が普遍的な価値の中にあると指摘することはね、徐々に日の目を見る人間力には、ひとつひとつ、私ども心理臨床に携わる者のいろんな洞察が年中必要になるくらいの、瑠璃のような脆さが本来ある、ということを私どもは考えさせられるだけじゃぁ、ないんですね。その人間力には、根源的な邪悪さが本来からあって、普遍的な宗教やら価値体系やらに備わる、その邪悪さから私どもを救い出すいろんな価値が必要だということも、私どもは考えざるを得ないんですね。

 

 

 

 

 発達に伴う人間力には、深刻な脆さと根源的な邪悪さが本来ある、ってんですね。ですから、人間力が育っていくためには、その深刻な脆さに目配りするためには、心理臨床を生業とする者からの洞察が必要です。でもそれだけじゃぁ、足りない、とエリクソンは言います。根源的邪悪さから救ってくれるように、宗教や価値体系が持つ価値、すなわち、倫理的態度が必要だってんですね。この倫理的態度までを包み込んで、ライフサイクルの発達を体系化したエリクソンって、素晴らしいですね。

 ですから、人間力が育つように支援する者には、心理臨床的洞察力と、なによりも、倫理的態度が必要です。

 

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