相手にされないと、子どもは「自分には値打ちがないから相手にされないんだ」「自分はガラクタなんだ」と感じてしまいます。
人間の「最深欲求」は、この、自分が「相手にされないこと」を克服しなくてはならない、ということですし、一人ぼっちという牢獄から脱出することなのです。この目的に到達することが「絶対に」できないことが狂気なのです。なぜなら、ほんとに一人ぼっちになった時のパニックを克服できるのは、「相手にされない」という感じがなくなるくらいに、外なる世界から徹底的には引っ込んでしまうことによってはじめて可能だからですし、そのように徹底的に一人になっちゃえば、「相手にされない」という感じが生じる外なる世界は、消えてなくなっちゃうからなのです。
ここは不思議なくだりではないでしょうか?なぜって、「相手にされない」という感じを克服するためには、外なる世界から完全に引っ込むこと、すわなち、一人になることだ、とフロムは述べているからです。
別に日本で流行りの≪詐欺≫や≪ゴマカシ≫ではありません。一人ぼっちalone で寂しいlonelyことと、一人であることsolitudeは、似て非なるものだからです。
この後の展開がたのしみですね。