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エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

自由と孤独を自覚した存在

2014-03-13 07:00:24 | エーリッヒ・フロムの真まこと(の行い)

 

 お久しぶりですが、今日はフロムのところを訳します。

 真の行いをするためには、ハッキリとした意識が大切なのでしたね。

 

 

 

 

 

 人が生まれる時に、種としても誕生するときでも、個人としても誕生するときでも、本能が限定されているように、ごく限られた状況から、限りないけれども、不確かでひかられた状況に解き放たれます。確かなものは過去に関することだけです。未来に関することといえば、死が遠くにあるように遠くあるだけです。

 人は理性を与えられています。人は、命のことを知らされている命です。したがって、人はおのれ自身と仲間と、自分の過去と未来の可能性を自覚した存在でもあります。別個の存在として自覚していること、自分の人生の短さを自覚していること、自分は意志に反してこの世に生を受け、意思に反して死んでいくことも自覚していること、自分は愛する人よりも先に死ぬかもしれないし、あるいは、愛する者より先に自分が死ぬかもしれないことも自覚していること、自分は一人ぼっちで、人とは異なっていることや、自然や社会の力の前では無力であることも自覚していること、これらすべての自覚のゆえに、人は耐え難い牢獄の中で、自分は別個の、決して一つになることのない存在にならざるをえません。人はこの牢獄から解放され、自分と他者、自分と外の世界と、何らかの形で一体とならない限り、正気ではいられないでしょう。

 

 

 

 

 人間にはかけがえのない理性が与えられています。その理性のおかけで、人生は短く、自分は一人ぼっちで、か弱い存在であることにも自覚的です。しかし、それだけでは耐えられませんね。連帯と博愛のきっかけはどこにあるのでしょうか?

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