ちょっと前置きが長い感じがしましたが、フーコーはようやく「アポロが反パレーシアである」という指摘をします。
神の沈黙に抗する闘いの中で、イオンとクレウサは、パレーシアな主たる２人の人物です。しかし、この２人は同じようにパレーシアステスの役割を演じたのではありません。なぜなら、アテネの大地の男子として、イオンはパレーシアを使う権利があるからです。反対に、クレウサは、自分の思いを告白する女性として、パレーシアステスの役割を演じます。私はこの２人のパレーシアステスの役割について説明したいと思います。２人の役割の違いに性質については、説明しません。
イオンもクレウサも、ともにパレーシアを用いていることが確認されました。しかし、この２人は、パレーシア役割に違いがあるといいます。それをハッキリ意識したいものですね。
ルターは農民出身第２世代であると同時に、鉱山主の倅でした。
当時の鉱山の暮らしは困難なものでしたが、尊敬すべきものであると同時に節度のあるものでもありました。ローマの法律は、ここには及んでいませんでした。鉱山は、奴隷労働どころか、反対に、自律的な尊厳がありましたが、それは、最大労働時間、衛生規律、最低賃金が決まっていました。当時鉱山で成功することによって、ハンス・ルーダーは、土地なし農夫や見習工になって無産化することを逃れたばかりか、鉱山の共同経営者であり、鋳物工場の共同賃貸業者という支配層に自分の居場所を作ることになりました。父親はこのようにして「ご主人」の一人となり、ますます生活が整うようになって、その教えを通して、一種の排他的な成功を収めることができました。それは、年季奉公についての許可や昇進を決めることにもなったのでした。ハンス・ルーダーを農民と呼ぶことは、したがって、郷愁か不満かいずれかを示します。ハンスは、初期の小実業家であり、資本家でしたし、最初は投資することができるほど稼ぎ、ついで、威厳のある強制力を用いて、自分の投資を守ります。ハンスが死んだとき、町の中に一軒の家と1250金貨を残しました。
ハンスは、ルターの父親ですが、鉱山主として成功をおさめ、こども達に大きな財産を残しました。自分の人生に、その分、自信を持っていた父親は、ルターに対して、自分と同様な人生を押し付ける力も、相当だっただろうと想像できます。
