お祭り 歴史探索の旅   ~尾陽雑記抄~

活動拠点をやいと屋知足斎の日記に移しました

人形に魂が宿る時

2008年03月09日 19時25分02秒 | 歴史探索
NHK人形劇三国志で今でも名場面だったと思えるのは「五丈原」で諸葛亮孔明が病没する場面、三国志演義ではキョウイに退陣の指示を出し、司馬 仲達が追撃してきたら、自分とソックリの人形を仲達に見せろと言う。

 人形劇では人形が人形を見せろと言うわけにはいかないので、自分が死んでも自分の身体を車に乗せ、仲達に見せろと指示を出す。仲達が魏軍を率い、蜀の殿軍に襲いかかろうとしたとき、仲達の前に孔明が姿を出す。ここで孔明の顔のアップがあり、場の緊張感を高める。「孔明は死んでいなかったか」と仲達はあせり、魏軍を退く。魏軍が引き上げるのを見届けてから、諸葛亮は蜀の臣下により、まぶたをそっと閉じる。

 これには後日談があるようで、当初の予定では仲達に孔明は目を閉じたまま姿を見せる脚本だったらしい。だが現場は譲らず、諸葛亮がまず仲達ににらみを利かせてから、陣を引き上げるのを見届けてまぶたを閉じる、と変更があったらしい。お蔭で今でも記憶に残る名場面となった。

 あの時の諸葛亮孔明(人形)には魂が宿っていた。いや神が乗り移っていたかもしれない。

 山車にもカラクリ人形が乗るが、あの時孔明が見せたような人形が自分が人形であるのを忘れたような表情を見せるから、山車カラクリの人形を追い駆けるカメラマンが多数おいでだし、追い駆けたくなる気持ちもわかる。

 山車保存に関わる、人形方の皆様、頑張ってね。