前にも少し紹介した「Aerospace Safety Symposium(宇宙航空の安全に関するシンポジウム)」に参加してきたので、今日はその報告を少し。
シンポジウムでは、宇宙航空分野の活動においてどんな安全技術が用いられているかに加え、宇宙航空技術がどのような分野で安全の確保に利用されているかについても発表が行われた。
航空機の操縦、飛行管制、エンジンのメンテナンスからロケットによる衛星打ち上げまで、本当に様々な分野の発表が行われたのだけど、中でも一番印象に残った“ガリレオ計画”について少し紹介したい。
ガリレオと言えば「それでも地球はまわっている」のセリフで有名なイタリアの科学者ガリレオ・ガリレイを思い浮かべる人が多いと思う。
しかし今ヨーロッパでガリレオと言えば、アメリカのGPS(Global Positioning System)に対抗して構築が進められているヨーロッパ独自の全球測位システムのことだ。
全球測位システムというのは、アメリカのGPSシステムのように複数の人工衛星を使って地上にいる人や物体の位置を高精度に把握するシステムのことだ。カーナビゲーションや航空管制など、現在世の中にある便利なサービスの多くはこのアメリカのGPSシステムの恩恵を受けているのだ。
しかしこのアメリカのGPSシステム、全く問題がないというわけではない。元々攻撃目標を正確に捕捉するための軍事目的のシステムとして構築されたために、アメリカはこのGPSシステムの精度を戦時などに意図的にコントロールできるのだ。普段は位置を高精度に把握できても、ひとたび戦争などが始まれば精度が格段に落ちるようなシステムでは、とてもじゃないけど100%の信頼を置くことなどできない。
そこでヨーロッパは自分達で独自の全球測位システムを構築しようと考えた。それがGalileo計画だ。
このGalileo計画、2010年の完成を目指して現在急ピッチで構築が進められている。今日を含めて全3回シリーズでその具体的サービス内容や戦略について、もう少し詳しくレポートしたいと思います。
(写真はGPSのイメージ図)
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