ドイツから帰国して間もなく、フランスからある一通のE-Mailが届いた。僕が最初にフランス語を学んだDorothy(ドロシー)先生からのメールだ。まだBonjour!(こんにちは!)程度の単語しか知らない僕に、おしゃべり大好きFedelique先生とともにフランス語の基礎を一から根気良く丁寧に指導してくれた。
最後にお会いしたのは、確か僕のFASIA卒業式の日だったと思う。その日は卒業生が一人ずつ壇上でスピーチをすることになっていて、僕は前にもブログで書いたとおりフランス語でスピーチをした。もちろん、文法的には間違いだらけだったと思うし、発音だって完璧には程遠かったに違いない。しかし、Dorothy先生にとっては、一からフランス語を教えた生徒がそこまで成長したこと自体が嬉しかったらしい。
「日本人というのは、本当に何でもすぐに吸収してしまう民族なのね」という先生のコメントが今も僕の心に残っている。確かに、渡来人の大陸文化にしろ明治維新の脱亜入欧にしろ、日本民族は歴史の大きな流れの中で外部の新しいものをどんどん吸収して自分のものにし、さらに独自の改良を重ねて現在の文化を作り上げてきた気がする。「吸収力」こそが日本人の一番の強みなのかもしれない。
そのDorothy先生が今度は僕を頼ってきた。何の依頼だったかというと、今度フランスのToulouse(トゥールーズ)で語学学校を開設することにしたので、日本人の生徒のリクルートメントを手伝ってほしいという。もちろん、僕は喜んでできる限りのお手伝いをしますと返事を出した。
今回Dorothy先生が設立する学校というのは、フランス語の学習を基本に置きつつも、まずはフランス文化の感覚的な体験と異文化との触れ合いに重きを置いているらしい。そのため、ミッションは2つなのだそうだ。
■言語と文化を通じてフランス語の学習を促進すること
■フランス文化の再発見を通じて外国人とフランス人との融和を図ること
フランス語のグループレッスンや個人レッスンに加え、以下のような特別メニューを用意し、フランス的なものを思い切り吸収して日本に持ち帰ることができるプログラムになっている。フランス語が苦手だという人には、英語での授業にも対応してくれるらしい。
<フランス文化交流セミナー>
■ワインとフランス料理、フランチレストランのマナー (1日)
-専門用語、ワインの産地、ぶどうの種類、ワイン作り、ティスティング
-典型的なフランス料理
-フレンチレストランにおけるテーブルマナー
■フランスの過去・現在・未来 (1日半)
- 歴史上の主要な出来事から考察するフランス社会進化論
■フランス社会学 (1 日)
- フランスにおける教育、宗教、経済、社会構造、芸術、政治など
■カルチャーショックとその対処法 ( 半日)
■フランス人としてのマナー ( 半日)
- フランスにおける一般的な作法(挨拶、感謝、時間の正確さ、ドレスコード、お土産の渡し方)、ビジネス上のマナー (会議、同僚との関係、会話の仕方、名詞の渡し方)、その他フランス社会における丁寧さの基準など
これらの授業は、全て僕がDorothy先生とFedelique先生から受けたのと同一の内容だ。フランスでMBAを取得し、フランス社会で活躍することを想定し、僕達はフランス社会でいかにして成功を勝ち取るかの術を学んだ。その一つがこのフランス文化交流セミナーだ。
来年あたりから日本語のサイトを開設し、日本からもどんどん参加者を送り出せるようになればよいと思う。受講料だって、既存のフランス語学校に比べれば超格安に設定されているし、トゥールーズという場所柄もあって、パリとはまた違ったフランス体験ができると思う。もちろん、エアバス社やフランス宇宙機関CNESなどもあって、宇宙航空を満喫するには最適の場所だと僕は思う。今僕は休日を返上してDorothy先生から送られてきたプログラムの日本語訳を作っているところだ。
完成次第このブログ上で紹介するので、興味のある人はぜひ検討してみてください。
(写真はプライベートでの僕のオフィス=自宅の部屋。まだ何も揃ってない。。。)
うれしくなりました。
何にもない部屋にもくつろげるように
少しずつ足していけたらいいですね。
年末もおつかれさまです。
コメントありがとうございます&明けましておめでとうございます。
ヨーロッパでのMBA生活は、僕の人生に新しい価値感をもたらしてくれました。多文化、多言語、とにかく、自分の核をしっかりと持つことと同時に、自分とは異なるものに対して寛容であることの大切さを教えてくれた気がします。
今後ともよろしくお願いします。
>かなこん さん
コメントありがとうございます&明けましておめでとうございます。
よく気がつきましたね!そう、誕生日にMBAのクラスメートからもらったエアバスA380の1/60スケールモデルです。これから少しつづ本当に必要なものだけを買い足していこうと思います。今年も一年、お互いにがんばっていきましょう~!
トゥールーズで4ヶ月をすごしましたが、未だにフランス語は最大の問題なのかもしれません。無料ということで、CNRS主催のフランス語クラスを受けていたのですが、自分のレベル(=初心者)にあったクラスがなかったりして、なかなか身につかないですね。
研究室の外国人ポスドクに相談してみると、自分にあったクラスがみつからなくてということなのか。自学自習したという人も結構いました。結局、私も今は自学自習しているものの、なかなか進まないので、今回の記事は興味深かったです。
コメントありがとうございます。そして、お久しぶりです。
トゥールーズでの生活も半年くらい経ちましたか?そろそろフランス語にもなれ、レストランでのおいしい食事を楽しめるようになってきた頃でしょうか。ワインもチーズも、思い切り楽しんで帰ってきてくださいね。