宇宙航空MBAブログ

Aerospace MBA(フランス・トゥールーズ)が考える宇宙航空マネジメントの進化系ブログ

NPV分析の意味

2008年04月17日 | MBA
 
NPV(Net Present Value)分析は、MBAのファイナンスの授業で習う最も重要な分析ツールの一つだ。ファイナンスの授業を越え、ビジネス開発の実践でも間違いなく役に立つスキルである。

公式だけを見ると、Σ(シグマ)とか、(1+r)とか、いろんな記号や数式が出てきて難しそうに見えるのだけど、写真のように結果をヴィジュアル化すると、この分析ツールが一体何を判断するためのものかを一目で理解できる。注目するポイントは3つだ。

まず最初は、グラフ線の底の部分。ここは、そのビジネスが最大でどの程度のリスクにさらされるかを示す。つまり、事業の初期段階でまだ投資ばかりで収益がなければグラフはどんどん下がるのだけど、ある一定の時期がくるとグラフは上を向き始める。これは、投資する金額よりも収益のほうが上回るようになるためだ。そして、この最大値が意味するのは事業が持つ投資リスクであり、それは、この大きさと同じだけの金額を用意しておかない限り、ビジネスは途中で終わってしまうことを意味する。いわゆる資金ショートによる事業倒産だ。

次に見るべきなのは、グラフとX軸とが交わる部分。X軸はここでは時間の経過なので、このポイントが意味するのはビジネスが+-ゼロの成果を達成するために、一体どのくらいの期間がかかるかということだ。投資においては「時間=リスク」なので、基本的には投資開始から投資回収までの期間が短ければ短いほどそれはよい投資案件だとされる。投資家は投資判断をするにあたり、どのくらい儲かるかと同じくらい、投下資金の回収期間についても気にするだ。

最後のポイントは、ある一定期間を過ぎた時点でのグラフの位置。このポイントは、ビジネスが最終的にいくらの価値を有するかを意味する。つまり、このポイントがY軸(Benefit)においてゼロよりも上にあればそのビジネスは儲かるビジネスと言えるし、ゼロより下にあれば儲からないビジネスだと言える。ただし、どの時点でそれを計算するかが極めて重要で、現在はゼロ以下だけれども、来年になればゼロをはるかに超えるビジネスだって存在するだろう。ある一時点だけを見て判断するには危険だが、最終的なビジネスの期間が決まっている場合などには有効な判断指標になる。

では、もし事業期間の終わりが決まっていないようなビジネスをスタートする場合には、どのように判断をすればよいか。実際のNPV分析では、5年程度先まで将来のキャッシュフロー(資金の流れ)を予測し、それ以降については毎年6年目と同じ結果が永遠起こり続けると過程して、全体としてのNPV(正味現在価値)を求める。

最初に話だけを聞くと難しいのだけど、慣れるとこれほど武器になる分析ツールはない。ただし、絶対的真実として結果に頼り切ってはいけないことは言うまでもない。
 


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1 コメント

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色々な視点 (bigakira)
2008-04-18 20:13:53
僕もNPVを含めReal Optionは新鮮で良い発見でしたね。
エンジニアにも重要な考え方だと思います。

しかしこれだけで物事を判断するのは確かに危険ですね。
DRをいくつに設定するかは自由裁量ですしROIなど見えない要素もありますし。
予測の不確定性なども考慮できる他の色々な分析ツールを使いこなしてこそ、っていう気がします。
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