自宅のあるIASキャンパスの電気は復活したものの、相変わらずインターネットはつながらない。つながる瞬間も1時間に数分程度あるのだけど、とにかく今の状況は不便で仕方がない。インターネットがいかに僕の生活の中で既に必要不可欠なインフラとして機能しているかが分かる。電気や水道と同じようなものだ。ただし、無くても死ぬことはない。
こんな不安定な状況の中でも、このブログだけは最優先で記事を書き、なんとか更新できるように心がけている。一時間に数分あるかないかの微妙なウィンドウを狙って、つながったら即のタイミングでアップロードするのだ。ブログ記事以外の個人的なメールに関しては、正常復帰するまでは会社のパソコンから英語で書くことが多くなると思うので、友人の皆様どうぞよろしくお願いします。
さて、今日はビジネススクールから1通の大切なメールを受け取った。MBA取得のための最終関門となるプレゼン審査の期日指定だ。僕の発表は10月16日火曜日の午前11時から12時までの1時間に決まったらしい。計算するとあと84日、どうやら3ヶ月もないようだ。確実にターゲットに間に合うように作業量の見極めをしていかなければならない。
さあ、気を引き締めて頑張ろう!と思っていたところ、ATR社での僕のスーパーバイザーの一人であるGianni副社長が僕の部屋にやって来た。え、今日はミーティングのアポイントも入れてないし、何よりGianni副社長が自ら僕の部屋まで足を運んでくれるなんて、一体何事だろう?と思ってしまったのだけど、理由は恥ずかしくなるような僕のミスだった。
僕が冒してしまったミスというのは、他でもない「スペルミス」だ。僕の英語力がまだ完璧ではないという証拠でもあるのけど、僕は「グループ」という単語を「Groupe」と表現してしまっていた。これはフランス語で書く場合の「グループ」であって、英語で書く場合は「Group」となる。最後に一つ「e」が付くか付かないかのわずかな違いだ。
言い訳になってしまうのだけど、フランス語を勉強しはじめてからというもの、フランス語と英語とで、どっちがどっちの正しいつづりだったか、僕の中の記憶が混乱することが非常に多くなってしまった。これは僕の記憶力と外国語習得センスの無さからきていると思うのだけど、「外国語を使いこなすこと」と「正しい外国語を使えるようになること」との間には、実は大きな開きがあるのだと改めて実感してしまう。
しかし、それ以上に今回の事件に僕は驚かされてしまった。理由は3つあって、一つ目は、副社長自らが英単語のスペルミスを指摘するためにわざわざインターンの部屋にやって来たこと。そして2つめは、イタリア人もこういう細かい点に気を配る繊細さがあるのだと改めて気付いたこと。そして3つ目は、ATR社の幹部は超多忙な業務の中でもちゃんと一言一句僕のレポートに目を通しているのだということ。
きっと、Gianni副社長は最後のポイントを僕に伝えるためにあえて僕の部屋までさりげなくやってきたに違いない。ちゃんと見ているから最後まで気を引き締めて全力投球してくれ!という強いメッセージだと思う。
プレゼンまであと84日、頑張っていこう。見てくれている人は必ずいる。
(写真は武田信玄の「風林火山」。決戦の日が決まったというこことで。)