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[未来韓国]チャンマダンの影響で党員よりお金持ちを好む―10年後の北朝鮮(2015.06.18)

2017-01-05 16:48:28 | 【コラム】未来韓国・平壌別曲-韓国語

 

[2025年の韓国]チャンマダンの影響で党員よりお金持ちを好む

[500号特集]10年後の北朝鮮

[2025년 한국] 장마당 영향 받아 당원보다 부자 선호

[500호 특집] 10년 후의 북한

2015年6月18日


 

未来の予測は実に難しい。統一韓国に関する予測はなおさら難しいことである。しかし、北朝鮮で生まれて33年間北朝鮮を経験し韓国へ渡ってきて18年を暮らしながら体験したことを振り返って、豊かで平和で自由な統一韓国への道を考えることは非常に意味が大きいと思う。10年後の北朝鮮はどのような姿をしているか、3つに分けて考えてみたい。

 

1945年日帝の敗戦によって朝鮮半島に独立の時がやってきた。その後、朝鮮半島の南には李承晩(イ・スンマン)大統領の建国哲学による自由民主主義・市場経済体制が、北にはソ連軍を後ろ盾に現れた金日成の社会主義体制・共産経済体制がそれぞれ立てられた。

北朝鮮は労働者・農民のための体制という社会主義の一般論理を言い立てて有産者とインテリ、宗教人を粛清し、実際には配給制の王朝社会を建設した。その結果、北朝鮮住民たちは、朝鮮時代と変わらない、もしかしたら朝鮮時代より厳しい階級社会で出身成分による差別を受けている。人間として享受すべき自由と権利を全て奪われて奴隷に転落し、自分の人生を開拓するよりは政権の要求に順応して生きる国家依存的な価値観と意識構造が固まってしまった。

1994年金日成の死亡と共に配給制度が崩壊すると、途方に暮れた住民たちは「飢え死にしても社会主義を守るべき」と叫ぶ最高指導者ばかり信じていたが、結果は300万人の餓死だった。数百人が本当に飢え死にしていく凄惨な状況を目の当たりにしながらも、いつかは政権が配給制度を復活させて食べさせてくれるだろうと期待して数十年を凌いだのだ。

しかし、一部の住民は生存のために体制に反するチャンマダン(闇市)で商売をしながら生計を立てた。生き残るためにはじめた商売は思い通りにならず、破産する人もいた。一方、社会混乱をうまく利用したにわか成金も現れた。

が、全ての商取引を含めて複雑な人間関係と取り引き関係にはルールが存在してなおルールを守ることを強制する法治が必要である。しかし、北朝鮮において人間らしく食べていくための行為そのものが違法なため、住民たちは30年近く地下市場経済に頼って生きていく間に、原則より状況を探ることと賄賂、不法行為などに慣れた。できることもないができないこともない地下市場経済は、住民たちの意識を一発主義に追いやり、道徳的に生きようとする人をバカにするほど倫理観を墜落させた。

ちなみに最近北朝鮮では、法律を守って飢え死にした人が愛国者か、不法で商売をしてでも生き残って社会主義の一員として頭数を増やしてくれる人が愛国者かという論争が流行っているらしい。

 

今北朝鮮に緊要な政策は、地下市場経済を陽性化して住民たちを不法の世界から救い、公正な法律と秩序、原則を立てて個人が頑張って得たものについて私的所有権を保障し、自由な経済活動を許可することである。

そうしないで不法の地下経済を放置すれば、賄賂とおべっかが横行し、権力をもって「違法」を理由に住民の財産を奪って公開処刑もする社会になるだろう。

 

配給制崩壊がもたらした衝撃:チャンマダン

 

北朝鮮は1958年から社会主義協同化と個人商工業および個人企業の国有化を行い、民間市場での取り引きが完全に消えて社会主義計画経済の配給制度に転落した。人民は自分が働いて生産したものに対する権利は一切なく、国から配られるものだけを食べて着て使って暮らさなければならない。全ての生活必需品は国営商店でのみ取り扱われ、しかもいつも品不足だったため、消費者の地位は低く供給者が権力を持って最近の言葉で言うと「パワハラ」が酷かった。

そんなわけで北朝鮮の生活必需品と食糧の配給など生存に必要な物資を扱う領域は、いわば「パルチザン」ファミリーとロイヤル・ファミリー、つまり権力者が独占し、労働者と農民はパンティー一枚も自由に買えない、モノの奴隷になってしまったのだ。

 

配給制が崩壊するにつれ、北朝鮮政権が宣伝した「苦難の行軍」は住民たちが商売をするしかない状況を招いた。命をかけて地下市場経済に飛び込んだ住民たちは、必死に生き残ることによって結果的に社会主義を保つことに貢献する一方、配給制時代には想像もできなかったカネの味を経験した。

出身成分によって階級が決まり、階級によって出世が決まり、出世して権力を持つほど生活が豊かになった配給制で、一生懸命頑張ってあるいは天運によって大金を手にするが一人二人現れた。以前は年老いの暇つぶしの場所にすぎなかったチャンマダンが北朝鮮住民の生活を支える命綱として浮上したのである。

その結果、チャンマダンにも権力者が駆けつけるようになると、チャンマダンを統制するシステムが整備されていなかった当局はしきりにチャンマダン閉鎖令を出すなど、司法部と行政部がチャンマダン統制のために総力を挙げていた。

 

新興富裕層は結局、ロイヤル・ファミリーまたは既存権力者

 

市場は自由と相互信頼を基に成り立つ市場経済の基礎領域だが、北朝鮮のチャンマダンにおいては所有権が保障されない。全ての取り引きや経済活動は不法を前提にしているので、チャンマダンで商売をする人はたくさん稼ぐほどそのお金を守るために権力者と密着関係を形成するようになる。

北朝鮮の地下経済は「オフライン」と「隠蔽ライン」に二分できる。オフラインは主に生計が目的だが、隠蔽ラインは権力密着型で取引量も大規模なので大金を稼ぐことができる。実際に北朝鮮の新興富裕層は、ほとんどが隠蔽ラインである。

この隠蔽ラインには、ロイヤル・ファミリーと既存の権力者たちが大いに含まれている。だから、社会主義の配給制度が崩壊して地下市場経済に転じたといっても、新しい富裕層に浮上した勢力は、またもや従来の権力層またはその権力を後ろ盾にする者、すなわち金正恩の側近だった。

お金をたくさん稼いでも、それは不法行為で取得した財産であり所有権が保障されなかった。したがって、金正恩がどう考えるかによっていつでも状況は変わるのだ。現在の金正恩の統治権力はまさに、この財産権を黙認してあげるか、不法として摘発し公開処刑にするか、それとも腐敗として財産を没収し粛清するかなどを決める権限を持つから維持できていると言えるだろう。

 

 

▲ 5月21日自由アジア放送(RFA)は北朝鮮全域にチャンマダンが396ヶ所あり、この数字は5年前と比べて倍に増えたと報じた。去年9月平安南道ゲチョン市を撮影した衛星写真(上)からチャンマダンと見られる白い屋根が確認できる。これらは2013年撮影した衛星写真(下)では見られず新しくできたチャンマダンと推定される
 

 

一つ確かなことは、チャンマダンでカネの味を味わって、配給ではなく自分の努力で得た米でご飯を炊いてみた人なら二度と配給制度を求めない。北朝鮮住民が一番望んでいるのは、安定した状態で国の保護の下で商売もでき、自分の努力で得た経済活動の結果物を法律的に保護されることである。

 

人気暴落中の朝鮮労働党

 

配給制の時代には朝鮮労働党の権威が天を衝くほどであり、経済・社会・文化など全ての分野において党の指導と役割が最優先であった。北朝鮮住民にとって朝鮮労働党の党員になることこそが人生で最も重要なことであり、家門の栄光であった。老弱男女問わずに朝鮮労働党員証がないと一人前にならないと考えたし、非党員と党員の間には天と地の差があった。特に男性の場合は、いい歳になって入党できていないと人から「非党員」とささやかれ、出身成分が悪いか政治的に深刻な過ちを犯した人とされ差別を受けることもあった。子供がいる人ならその子供も痛い目で見られ深い傷を残した。

しかし、配給制度が崩壊し、国から供給されるモノが減るかなくなり、出世と生存との相関関係がゆるくなると、労働党員になることに対する人民の関心もぐんと落ちた。年老いの中には自分が労働党員であることに負担を感じはじめる人もいた。若者は入党するよりとにかくお金をたくさん稼ぐことに関心があった。

現在は工場や企業所でも労働党員を幹部に任命するより、稼ぐ能力の高い人を幹部に任命するし、お金をたくさん儲けて国にたくさん上納する人が認められるらしい。

そんなわけで、最近は北朝鮮で高位幹部になりたいならお金を払わないとならないという。道党の責任秘書の運転手になるにも5千ドル以上の費用がかかるし、職業や職位別に取り引き金額が決まっているくらいだから、党員になるより金儲けを重視する現象が強まっている。

人民に白いご飯と肉、立派な家と錦衣を約束しておいて何十年も貧困と飢えで苦しませて結局数百万人を飢え死にに追い込んだ朝鮮労働党を信頼する人はだんだん減っている。独裁者のための、独裁者による、独裁体制の実現手段にすぎない朝鮮労働党は、近いうちに消滅した方が住民の生活に役立つだろう。

 

「チャンマダン」が北朝鮮の体質を市場経済へと改善中

 

北朝鮮に市場経済の原理を植え付けてくれる「チャンマダン」が日に日に増えている。400ヶ所にまで数が増えたチャンマダンが「草の根による市場経済」の震源地として、北朝鮮経済に活力を与えているとの分析がある。

米ジョンズホプキンス大学米韓研究所のカーティス・メルビン(Curtis Melvin)研究員は、グーグル衛星写真を分析し「北朝鮮内にチャンマダンは396ヶ所で、2010年の200ヶ所から二倍近く増加した」と明らかにした。メルビン研究員によれば、396のチャンマダンのうち屋外や街頭に形成されたチャンマダンは77ヶ所で全体の約20%である。

 

彼は北朝鮮住民の生計手段として生じたチャンマダンが、今は北朝鮮経済活動の中心となっていると評価した。また「個々のチャンマダンの衛星写真を過去の写真と比べたら新しくできたか改修・補修が行われたところも見られ、北朝鮮当局もチャンマダンの役割をある程度認めていると考えられる」と説明した。

 

北朝鮮を専門として取材する「アジアプレス」が去年12月に公開したチャンマダンの様子も北朝鮮経済がチャンマダンを中心に回っていることを示す。アジアプレスの石丸北朝鮮取材チーム長は「北朝鮮政権による配給は不能になったが、今の住民はチャンマダンでいくらでも米を買うことができる」と話した。

専門家らは1990年代の大飢饉以降に胎動したチャンマダンが20年に渡って発展を重ね、単なる生計活動の水準を越えて北朝鮮全体の経済活動の形を画期的に変化させていると説明する。

計画・配給経済が崩壊し市場化に加速度がついたのである。今は、遠距離で携帯電話を利用して決済・配送オーダーをする北朝鮮式の売買システムができており、無償医療の代わりに私営薬局も盛んになっている。

 

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