北朝鮮を離れて自由へ ★イ・エラン★の自由ブログ

いわゆる「脱北者」のおばちゃんです。
北朝鮮の実態を世界の皆さんにもっと知っていただきたく
ネットに挑戦します。

日韓「慰安婦問題合意」は終結じゃなくてスタートです

2015-12-30 16:56:27 | 北朝鮮の虚像

 

12月28日、帰り道にラジオニュースで

慰安婦問題合意」の便りをお聞きしました。

 

日韓の建設的な関係発展において

長い間足かせとなっている懸案だったし、

北朝鮮人権のために活動をする者として

これも女性の人権に関わる問題なので、常に関心はあったんですが

ニュースを聞いて心の中は

安堵半分、不安半分でした。

 

政府同士では「合意」という望ましい結果にたどり着きましたが

長い間お互い反感が固く蓄積されてきた両国国民の目には

これが素直に受け入れられるのかということでした。

 

 

私は、北朝鮮の問題で活動をしている者なので

日韓の歴史問題について意見を言うほどの知識も何もありませんが、

一人の女性として、一人の韓国国民として言わせていただくのなら

両国が良い方向で、本当に「未来志向」に進むためには

国民の理解と協力が必要と思います。

マスコミの表現を借りて言えば、

政府は「政治的決断」を下し、解決への意志を表明したので、

国民は良心的で成熟した「フォローシップ」を発揮するときではないかと思ったのです。

 

 

私が直観的に心配した通り、

合意のニュースが流れた28日の夕方から

韓国のネット上は火がついたように過熱してました。

韓国が負けた、日本が負けた、なんでそれを譲ったのか…

しかし、私みたいな一般市民の頭で考えると、

一国の外相というすごく頭がよくて色んな専門家からバックアップされている人たちが

完全に自国に不利なことばかり言って、

「はい、それで合意しましょう~」としたとは思えません。

合意の内容的には得るものがあれば譲るものもあるはずです。

私は、両国がずっと駆け引きを続ける状態から

手を繋いで一歩進む状態に変わろうとした意志そのものに拍手を送りたいと思いました。

 

実際に真っ先に米国政府は公式に歓迎の意を表明しましたし、

世界のメディアや日韓問題専門家らも

この合意への意志自体は評価しており、

今後の慎重で誠実な実行で健全な未来を作っていく礎にすべきと言っていました。

 

 

欧米メディア「歴史的合意」…慰安婦妥結を評価

 

「両国が歴史的な合意に達した」―英BBC


「両国は数十年に及ぶ論争に突破口を開いた―米紙ワシントン・ポスト


「最も打開が難しい感情的な問題が画期的な合意によって解消されるだろう」―米紙ニューヨーク・タイムズ


「日韓関係の雪解けは、中国と北朝鮮に対抗する上で、日韓を重要なパートナーと見る米政府にも歓迎されるだろう」―米紙ウォール・ストリート・ジャーナル

 

 

 

また、朝鮮半島専門家の慶応大名誉教授「小此木」教授は、

「合意内容は細部まで詰められ、プロの外交だと感じた」

「11月初めの首脳会談で日韓が同じボートに乗り、「外交漂流」を防ごうと強い政治決断をした結果だ。だが、年内決着を目指した、そのスピード感には驚かされた

「安倍晋三首相、朴大統領の相互不信は官僚機構を縛り、メディアはナショナリズムを強め、国民感情を刺激してきた。下から関係を積み直すのは難しく、その意味でトップ同士の意向による今回の妥結には、重要な意味がある」

と評価し、

「日韓関係が新時代に入ることを確信している」と意気込みを語った。合意を土台にして、未来志向の新時代にふさわしい両国関係をいかに築いていくのか。政府だけでなく、国民レベルでも新たな対話が必要だ」

と述べています。

 

 

タイトルにも書いたように、

今回の合意は「解決」「終結」ではなく

完全解決に向けた枠組みを作ったにすぎません。

今後、この合意を両国が誠実に履行し、

元慰安婦たちの名誉を回復し、これまでの心の傷を癒やすために取り組み、

それから派生する世論を説得するために努力し、

国民間の根本的な和解に至るまで

引き続き頑張らないといけないのです。

 

また、韓国と日本は今後これから協力すべき懸案がたくさんありますが、

ある意味、慰安婦問題を円満に解決していく経験は

将来の両国関係に貴重な財産になると信じています。

 

 

 

【社説】慰安婦問題 日韓の合意を歓迎する

毎日新聞2015年12月29日

 

日本にとって韓国は最も重要な隣国である。外交はそもそも互いに譲り合わなければ成り立たない。今回の合意内容について、どちらが多く譲ったかの「勝ち負け論」に陥ることなく、日韓の新時代を切り開く基礎にすべきである。



日韓新時代、育むのは市民 慰安婦問題合意

朝日新聞  2015年12月29日


戦後70年のいま、両国が過去ばかりに縛られているわけにはいかないことははっきりしている。先行きが見通せない北朝鮮情勢、環境や資源など地球規模の課題、国内の少子化や高齢化、広がる格差――。共通する課題に取り組む隣国同士が手を取り合う必要性は増している。

産声を上げたばかりの合意はこれから、多くの試練にさらされるだろう。それらを乗り越え、中身を充実させていくのは政治家だけの役割ではない。今後、どんな隣国関係を作っていくのか。それを考え、育んでいくのは市民である。






金正恩氏側近、交通事故で死去…残虐無茶振りな金正恩への歯止めがなくなった

2015-12-30 13:56:30 | 北朝鮮の虚像

 

今朝、朝のニュースに

速報 金養建 交通事故で死去」という字幕が

ずっと映っていました。

 

金正恩氏側近、交通事故で死去…南北関係責任者

読売新聞 12月30日(水)10時24分配信

 
 
 

常に北朝鮮問題に関心を注いでいる私としては

少なからずショックでした。

なぜなら、金養建は

金正恩の側近中の側近だからです。

金日成時代から
外交において、特に対南政策において、
統一戦線部長としてまさに重鎮でした。


思想の違いは別にして、実力だけをみるとしたら
認めざるを得ないほど
頭もよく、外交分野の知識も豊富でしかも真面目。

閉鎖的な世界観を持っている北朝鮮の他の幹部たちと違って
洗練された国際感覚やマナーももっていると知られ、
実際に実績も多い手腕家でした。


 

▲「北朝鮮“忠直な革命戦士…金正恩と最も近い戦友”」(出処:MBNニュース)



北朝鮮も「朝鮮中央通信」が

「金養建同志を失ったことは、我が党と人民たちにおいて大きな損失である」と報じ、

彼の死去をとても惜しんでいる模様です。

 

 

特に金養建は、

暴力や無茶振りより、

会話重視、合理的な判断重視の人だったため、

対南政策においても

南北対話を率いるなど穏健・平和的な方策を取ってきました。

言ってみれば、

残虐で無鉄砲な金正恩に

歯止めをかけられる理性と能力と権威を持っている人と言えます。


 

現在、韓国の殆どのマスコミでは

金養建の不在によって、

せっかく8月25日の南北合意から再開した対話ムードが

再び冷え込んでしまうのではないかと懸念しています。

私もそう思います。


南北対話をきっかけに

北朝鮮が少しでも変化することを望んでいましたが、

こうなると、

北朝鮮がまた対話の枠から身を引いてしまうだけじゃなく、

武力挑発など理不尽な選択で突っ走る可能性だってあると思います。


経済的に切羽詰まった北朝鮮が

今頼れる存在があまりいないため、

韓国との会談という機会を捨てがたい

つまり、対南戦略に大きな変化はないだろうとの見込みもありますが、

何をするか分からない集団なので

最悪の場合は頭の片隅には常においておくべきです。



しばらく、北朝鮮の中は混沌とした状態が続くでしょう。

既に、権力暗闘、クーデターの可能性の話が漂っています。

もしくは、金正恩は

また高級幹部の大量処刑する恐怖政治で

この混乱を無理やり鎮めるかもしれません。



大物をなくした北朝鮮が

今後どう対応するかを世界中が注目しています。。。