北朝鮮を離れて自由へ ★イ・エラン★の自由ブログ

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北朝鮮の女性、「5大鼻柱・8大美人」じゃなければ出世できない?

2015-12-09 17:02:21 | 北朝鮮の虚像

 

韓国の朝鮮日報が運営する「プレミアム朝鮮」に

定期的にコラムを掲載しています。

 

今日は、その中で

北朝鮮の女性たちの権力というものについて書いたコラムを

紹介させていただきます。

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北朝鮮の女性、「5大鼻柱・8大美人」じゃなければ出世できない? 

 

 

韓国の女性政治家たちが北朝鮮について最もにポジティブに評価している点があるとしたら、それは多分、女性の政治参加であろう。多くの論文では北朝鮮の男女平等権と女性の政治参加率が韓国より高いと評価している。しかし、北朝鮮の女性らが実際感じる女性の政治参加や社会的地位向上は、韓国の女性政治家らが考えていることと大きな隔たりがある。


今年5月、平壌(ピョンヤン)を訪ねてきた「ウィメンクロスDMZ」参加者らも「平壌に行って北朝鮮の女性指導者らと平和について議論した」と自慢した。彼女たちは自分たちがDMZを行き来しながら北朝鮮の女性たちと数回会うだけで、北朝鮮と韓国が統一できて平和が維持されると勘違いしているようだ。


北朝鮮には実際、韓国や国際社会の女性指導者らと平和や南北分断など政治・社会的諸問題について議論できるような女性指導者はいないと見てよいだろう。

 

韓国と海外のフェミニストたちは、いつも北朝鮮の操り人形のような女性指導者たちとの会合を「民間交流」と意味をつけ、それを通じて北朝鮮問題が解決できると勘違いしている。勿論、北朝鮮政権が自分たちの政策を貫くために様々な分野の権力をわざと女性陣に分担したり、実際に政治以外の、社会や経済の面である程度の女性権力は存在する。が、今韓国のフェミニストらが接する北朝鮮女性たちは分断と平和の問題に関しては何もできないのが事実。


北朝鮮において女性権力というのは出身成分によって決められるが、その次に影響力を持つのが女性の美貌である。例えば、コ・ヨンヒ、イ・ソルジュのように、白頭血統や万景台血統などの家柄の背景がなくても、最高指導者の目について権力を手に入れたケースがある。しかし、このようなケースも地方権力者の間でまれに見られる程度だ。


現在、北朝鮮住民の殆どが商売をして生計を立てているので、権力も財力によって動くようになった。しかし、まだまだ北朝鮮で女性の権力を決定する最も重要なのは美貌と出身成分だった。


筆者が暮らしていた地域では、「5大鼻柱・8大美人」という言葉があったが、「5大鼻柱」とは良い家柄のおかげで立派な職業と職位につき権力を振り回す女性のことを指す。また、「8大美人」は、美貌で高官に気に入られてよい職について出世した女性のことを指す。このような女性らはいつも不倫など色々なスキャンダルを巻き起こし、人のうわさにのぼる。たまに性的不祥事で「革命化」と呼ばれる思想教育を受けることもある。ところが、性スキャンダルの場合、北朝鮮では男性の方より女性を処罰することが多く、世論も男性よりは女性に冷たいのだ。


5大鼻柱の女性たちは、主に飲食業や商業・流通分野の職を持ち、食品をはじめ生活必需品を取り扱う企業の責任者だ。また、物が不足している北朝鮮社会で商品供給権を濫用して権力を振り回すという特徴もある。一般の人々は、彼女らの機嫌をとればタバコや酒などの嗜好品はもちろん洋服、靴、石鹸、洗剤などの生活必需品まで横流しにして暴利を取ることができるため、いつも彼女らにごまをする。


だから、彼女たちは鼻が天を衝くほど天狗になり、その傲慢さを喩えて「5大鼻柱」と呼んでいるだ。この女性たちは、出身成分がよくて親、夫または息子が権力のある地位にいる。言い換えれば、政経癒着がとても強い。北朝鮮で平壌の大きな飲食店、外貨商店、百貨店といった商業・流通分野は、大抵が白頭血統、万景台血統、智異山血統などの高位層の妻や娘、嫁らが占めていることからも明らかだ。


最近、北朝鮮の基幹産業が崩壊し、国家の流通体系が麻痺したため、住民たちが多く利用する流通空間としては市場(チャンマダン)が定着したが、そこでも高位層の妻、嫁、娘らが市場管理員として活動しているようだ。
いつか聞いた韓国のある統一専門家の話によると、北朝鮮の高位層の子供が通う幼稚園を訪問したら園児の中に母親の職業が市場管理員という子がいたそうだ。その専門家はそれを見て、もう北朝鮮では従来の特権概念が消えて市場で働いている庶民の子供も党高位幹部の子供が通う特殊幼稚園に行けるように変わったと評価していた。しかし、これは北朝鮮の実情を全く知らないから言える話だと思う。


現在、北朝鮮で物とお金が集まるところは市場だが、市場の商人を取り締まったり賃貸料を徴収したりする市場管理員の席はほとんど高位層の妻、嫁、娘らが占めているのだ。


北朝鮮で商売が盛んになるにつれ、市場が生存に一番重要な空間となり、今や権力より財力の方が力を持つようになった。自然に、権力者の夫や息子に頼って威勢を振るう女性よりは、財力を元に影響力を持つ女性が増えている。そんな意味で、最近の北朝鮮で人気のある嫁は、権力を象徴するチャンジョン街の嫁ではなく、稼ぎがいい社長の妻や嫁だそうだ。