(1960/ルイ・マル監督・共同脚本/カトリーヌ・ドモンジョ、フィリップ・ノワレ、カルラ・マルリエ、ユベール・デシャン、ヴィットリオ・カプリオーリ/93分)
お転婆な女の子がパリの地下鉄やら街の中を冒険する可愛らしいお話だと思っていたら・・・。
大昔からタイトルだけは知っていました。「スクリーン」でも公開年の批評家ベスト10かベスト20には入っていた映画で、「死刑台のエレベーター」のルイ・マルの作品だからいつかは観たいと気になっていたんですが、実はスラップスティック・コメディだというのを最近ネットの情報で知りまして、さてさて、フランス人のお笑い感覚はジャック・タチの例もあることだしと、期待はせずにおりました。
もう、これはギャク漫画の実写版のような作りですな。シュールな部分もあるし、映像実験的な感じもする。マルとしては「恋人たち」に続く第3作で、いっちょやってみるか的な発想で作られた映画だと思いますね。
バツイチだかバツ2だか知らないが、子持ちの女性がパリの恋人に会いに幼い娘を連れて列車でやって来、出迎えに来た弟(ノワレ)に娘を預けて自分は彼氏とデートとしけ込む。娘は娘で、そんな母親の行動は承知の助で気にもしない。少女の名前はザジ(ドモンジョ)、年は10歳前後。で、この子のパリのお目当てが地下鉄に乗ることだったのに、残念ながらストライキで運行中止中。仕方がないから、いったんは叔父さんのアパートに入るも、翌日は一人で街に出かけて怪しげな中年男に追っかけられたり、探しに来た叔父さんとエッフェル塔に登ったりといったエピソードが、コマ落としを多用した漫画チックな動きで描かれる。同一画面で一人の人物だけがアチコチ動き回るというジャンプ・カットもどきのシーンもあり、あり得ない高いところから人が飛び降りるなどのシュールなシーンもある。
コント集のようなタチの映画とは違い、一応筋の通ったストーリーはある。なにしろレイモン・クノーという作家の同名ベストセラー小説が原作なのだから。
『ウィキペディア(Wikipedia)』によると、クノーはソルボンヌ大学で文学と数学を学び、哲学と心理学の学士号を取得した人で、編集者などをしながら詩や小説を書いたらしい。「文体練習」などというタイトルの物語を書くくらい実験的な作風の作家で、「ザジ」も特異な口語調の文体の小説だとのこと。フランス版「ライ麦畑」みたいな本なんでしょうか。少女のパリ冒険記には間違いないんだけど、視点は彼女だけではないですな。
多分難しいことは言ってないんでしょうが、タチ映画ほど分かりやすくもない感じ。
個人的には実験的な映像以外には特に興味なし。「アメリ」がお好きな人には、お薦めできるかも。そして、フレンチ・スラップスティック・コメディに興味がある方もどうぞ。
お転婆な女の子がパリの地下鉄やら街の中を冒険する可愛らしいお話だと思っていたら・・・。
大昔からタイトルだけは知っていました。「スクリーン」でも公開年の批評家ベスト10かベスト20には入っていた映画で、「死刑台のエレベーター」のルイ・マルの作品だからいつかは観たいと気になっていたんですが、実はスラップスティック・コメディだというのを最近ネットの情報で知りまして、さてさて、フランス人のお笑い感覚はジャック・タチの例もあることだしと、期待はせずにおりました。
もう、これはギャク漫画の実写版のような作りですな。シュールな部分もあるし、映像実験的な感じもする。マルとしては「恋人たち」に続く第3作で、いっちょやってみるか的な発想で作られた映画だと思いますね。
*
バツイチだかバツ2だか知らないが、子持ちの女性がパリの恋人に会いに幼い娘を連れて列車でやって来、出迎えに来た弟(ノワレ)に娘を預けて自分は彼氏とデートとしけ込む。娘は娘で、そんな母親の行動は承知の助で気にもしない。少女の名前はザジ(ドモンジョ)、年は10歳前後。で、この子のパリのお目当てが地下鉄に乗ることだったのに、残念ながらストライキで運行中止中。仕方がないから、いったんは叔父さんのアパートに入るも、翌日は一人で街に出かけて怪しげな中年男に追っかけられたり、探しに来た叔父さんとエッフェル塔に登ったりといったエピソードが、コマ落としを多用した漫画チックな動きで描かれる。同一画面で一人の人物だけがアチコチ動き回るというジャンプ・カットもどきのシーンもあり、あり得ない高いところから人が飛び降りるなどのシュールなシーンもある。
コント集のようなタチの映画とは違い、一応筋の通ったストーリーはある。なにしろレイモン・クノーという作家の同名ベストセラー小説が原作なのだから。
『ウィキペディア(Wikipedia)』によると、クノーはソルボンヌ大学で文学と数学を学び、哲学と心理学の学士号を取得した人で、編集者などをしながら詩や小説を書いたらしい。「文体練習」などというタイトルの物語を書くくらい実験的な作風の作家で、「ザジ」も特異な口語調の文体の小説だとのこと。フランス版「ライ麦畑」みたいな本なんでしょうか。少女のパリ冒険記には間違いないんだけど、視点は彼女だけではないですな。
多分難しいことは言ってないんでしょうが、タチ映画ほど分かりやすくもない感じ。
個人的には実験的な映像以外には特に興味なし。「アメリ」がお好きな人には、お薦めできるかも。そして、フレンチ・スラップスティック・コメディに興味がある方もどうぞ。
いいっすね~~
勢いこんでコメントしちゃいましたが、本作は見事に未見なの。
anupamちゃんは「アメリ」が好きだったから、これもいける口かもよ。ぶっ飛んでる所もあるし。
ちなみに、ジャック・タチの「ぼくの叔父さん」は大好きな作品です!あれはわかりやすいフレンチコメディだったんですけどね。
映画は、最後のドタバタも長くて少しうんざりしたりして。
タチは「ぼくの叔父さんの休暇(http://blog.goo.ne.jp/8seasons/e/0d8e3b220b245331dda56d4ace706fc3)」の方が少しだけど好きです。
ええっ、あの女優さんって子供の頃はこんなだったの?!
と思ってしまいましたが、早とちりでした。
あちらはミレーヌ・ドモンジョでしたね(;^ ^
「地下鉄」の後、ゴダールの「女は女である」にザジの役として出演したそうで、ゴダールがどう料理したか観たくなりましたね。