「わが心のボルチモア」は2時間を超えるファミリー・ヒストリーなので“家族あるある”のエピソードが満載。なので紹介記事には書けなかった事があって、細々するかもしれませんがキーワード付きでざっくばらんに備忘録として書いておきます。
いつも通り、未見の方々には“ネタバレ注意”ですよ。
「サムの兄弟げんか」
サムを迎えてくれた兄弟は4人でしたが、1919年に発生した所謂「スペイン風邪」で一人亡くし(確か名前はクリストファーだった)、その後は4人で助け合っていました。
兄弟が多いと一人くらいオカシな人も居るもので、ここではゲイブリエルという兄貴がソレでしたネ。
壁紙貼りの仕事でも手を動かすよりも口が達者な男で、やれ紙が曲がっているとか、しわが寄っているとか検査官のような役回り。毎年の感謝祭の集まりでは遅刻常習者で、それなのに自分達夫婦が到着する前にメイン料理の七面鳥にナイフが入っていると怒るという厄介な奴です。
冒頭の感謝祭でも遅刻してましたが、中盤の2回目のエピソードでは本当に帰ってしまうのです。彼らを待っている時にエヴァが『(ゲイブリエルは)自分の葬式にも遅刻する男よ』と言うのが笑わせました。
日本人なら遅れるから先に食べてていいよとか言うのが普通ですが、兄弟を待てないのかと自分の遅刻を棚上げするのが子供みたいでした。
この時のサムの家は、ジュールズとイジーの商売が繁盛して郊外に建てた庭付きの一軒家。ゲイブリエルにとっては「遠くて不便な所」ですが、裕福になった弟へのやっかみもあったのでしょうね。
「嫁と姑」
サムの妻エヴァとジュールズの妻アンのことですね。
ハッキリとモノを言うエヴァがアンは苦手の様で、まるで実家にいるようだとジュールズに不満を漏らしていました。実家だと遠慮しなくていいというのではなくて、配慮がないという意味なのでしょう。
一番印象強いエピソードは、アンの運転する車にエヴァが頑として乗らなかったことですね。元々サムの運転でもスピードを控えるようにと口を出す人ですが、女が運転するというだけで怖いというのです。
ジュールズの新規のお店の開店準備をしていた時、店から家に帰るのにアンが運転する車に乗らないかと誘ったところ案の定電車で帰ると言います。
途中、アンは映画館の傍のガソリンスタンドで給油を頼んで、映画を観終わったマイケルやイジーの子供たちを迎えに行きますが、突然目の前を通り過ぎた市電が脱線、ガソリンスタンドを直撃して、アンの車もぺしゃんこになったのでした。
後でその事を聞いたエヴァが、車に乗っていたら私はどうなっていた事やらと言うのが、まるで自分への嫌味の様だと悔しがるアン、なだめるジュールズという構図が何処の国でもありそうだと思ったもんです。
尚、エヴァもヨーロッパからの移民で、彼女が来たのは1919年のことでした。
「シムカ」
郊外の一軒家に引っ越した後、エヴァの弟シムカが生きていたことが分かり、エヴァを頼ってアメリカにやって来ると連絡があります。シムカはエヴァがアメリカに移住した後に生まれた顔も知らない弟でしたが、手紙では何度かやりとりがありました。戦争が始まり音信不通になり、てっきりエヴァは彼も死んだものだと思っていましたが、突然手紙で移住すると連絡があったのです。結婚もしていて幼い女の子がいました。
ボルチモアでシムカは就職先と家を見つけ、後にアンとジュールズに二人目の赤ん坊が生まれるとその子に部屋を与えるためにサムとエヴァはシムカの家に引っ越します。
シムカが来た後、彼らを支援するために家族会が開かれますが、感謝祭での遺恨が残っていて、何かと嫌味をたれるゲイブリエルに怒ったサムが今度は議長を降りて帰宅の途につきます。この後家族会は分断。ゲイブリエルはエヴァの葬式にも来ませんでした。
尚、1年後にはシムカは就職先で知り合った友人の誘いで地方の農場に転職してしまいます。サムとエヴァは農場についていく事はせず、ボルチモアで別の家を見つけたのでした。
「火事」
火事に関するものが構成的にはクライマックスになっていますと紹介記事に書きましたが、なんとジュールズとイジーの新しいお店がオープンしたその夜に火災にあうんですね。
その前にシムカの家族が郊外のジュールズの家に居候をしている時に家族の集まりがあって、マイケル等子供たちが地下室で模型飛行機を燃やすという火遊びをしてエヴァに怒られるというエピソードがあったんですが、このお店のオープンの日にもマイケルとイジーの息子が店内の倉庫で同じように火遊びをしてしまうんです。飛行機に花火を付けていたために思った以上に火の粉が舞ってマイケル達も慌てますが、なんとか消し止めた、と思っていたら夜中になって火災の連絡。マイケルは気が動転して、今は別の所で暮らすサムの所に向かうのです。
消火が一段落した後、アンからサムへの電話でマイケルの居場所を知ったジュールズが向かうと、火事の原因は自分だというマイケルの告白。ジュールズは怒ることはなく勇気を出したマイケルの肩を温かく抱き寄せます。実は火災の原因は4Fに発生した漏電によるものでした。
「K&K」
ジュールズは結婚してクリチンスキーからジュールズ・ケイに。イジーはイジー・カークと名前が変わりました。
二人はいとこ同士ですが、それぞれの妻アンとドゥティも気が合うようでした。
「テレビ」
強盗に刺されて療養していたジュールズに家族会からお見舞いが届く。イジーが勝手に選んだらしいソレがその頃発売されたテレビジョン。
スイッチを入れても放送番組がないので何の意味もない云わば待ち受け画面のようなものが延々と映るだけ。『テレビとは退屈なものだな』とサムがつぶやくのが笑わせます。日本でも最初はそうだったのかも。僕の家に最初にテレビが来たのは小学生の時だったけど、その時は番組があったなぁ。
後にジュールズはテレビに特化した店をオープンしますが、当初は一人も客が無かったのに、番組放送が始まったとたんに・・・というシーンが、街の様子を移動撮影した映像に当時の番組の音声をバックに流すという手法で描かれました。
その後も当時の人気番組がちょこちょこ出てきますが、年輩の方々には懐かしかったことでしょう。僕らでいうと「白馬童子」とか「まぼろし探偵」、「アップアダウンクイズ」とか「ジェスチャーショー」みたいなもんかなぁ。
火災の後、店の経営から身を引いたジュールズの次の仕事がテレビに関連したものでした。
胃がんを患って入院していたエヴァが、見舞いに来た息子に『時間を売るって変な仕事ね』といいますが、企業にテレビCMの時間をセールスする仕事なんですね。デパートの宣伝にいち早くテレビCMを作っていた彼らしい転身でした。
「サムとマイケル」
お祖父ちゃんと孫のエピソードはこの映画の中でも好きな微笑ましいものばかりです。
戸建てが横に繋がったような集合住宅のアバロンの家の時には、学校で居残りをさせられたマイケルをサムが迎えに行くエピソードがありました。「CAN」と「MAY」の使い方の区別が分からないので女性教師に廊下に出されたマイケルを校長が見つけサムに電話をしたのです。
庭付きの戸建ての家に引っ越した時には、夏の夜に近くの池か川縁の芝生の上で涼みながら一夜を明かすエピソードがありました。サムとマイケルとイジーの子供達。近所の人々も沢山出かけていました。夜空を見上げながらサムは1914年に移住した頃の思い出を又しても語っていましたが、気が付くと子供らは眠っていたのでした。サムが『マイケル、マイケル・・』と愛おしそうに呟いていたのも印象深いです。
シムカの家に引っ越すサムとの別れが悲しくてマイケルがジイちゃんに思い切り飛びつくのが可愛かったなぁ。
ラストシーンについては紹介記事に書きましたね。
直前にはジュールズの家で同居するサムが次男坊をマイケルと呼んでしまうシーン、そしてベッドでお漏らしをしてしまうほど年老いたエピソードもありました。
『人生は失敗と成功の繰り返し』
そんな誰かの言葉が聞こえてきそうな懐かしい家族物語でした。
いつも通り、未見の方々には“ネタバレ注意”ですよ。
「サムの兄弟げんか」
サムを迎えてくれた兄弟は4人でしたが、1919年に発生した所謂「スペイン風邪」で一人亡くし(確か名前はクリストファーだった)、その後は4人で助け合っていました。
兄弟が多いと一人くらいオカシな人も居るもので、ここではゲイブリエルという兄貴がソレでしたネ。
壁紙貼りの仕事でも手を動かすよりも口が達者な男で、やれ紙が曲がっているとか、しわが寄っているとか検査官のような役回り。毎年の感謝祭の集まりでは遅刻常習者で、それなのに自分達夫婦が到着する前にメイン料理の七面鳥にナイフが入っていると怒るという厄介な奴です。
冒頭の感謝祭でも遅刻してましたが、中盤の2回目のエピソードでは本当に帰ってしまうのです。彼らを待っている時にエヴァが『(ゲイブリエルは)自分の葬式にも遅刻する男よ』と言うのが笑わせました。
日本人なら遅れるから先に食べてていいよとか言うのが普通ですが、兄弟を待てないのかと自分の遅刻を棚上げするのが子供みたいでした。
この時のサムの家は、ジュールズとイジーの商売が繁盛して郊外に建てた庭付きの一軒家。ゲイブリエルにとっては「遠くて不便な所」ですが、裕福になった弟へのやっかみもあったのでしょうね。
「嫁と姑」
サムの妻エヴァとジュールズの妻アンのことですね。
ハッキリとモノを言うエヴァがアンは苦手の様で、まるで実家にいるようだとジュールズに不満を漏らしていました。実家だと遠慮しなくていいというのではなくて、配慮がないという意味なのでしょう。
一番印象強いエピソードは、アンの運転する車にエヴァが頑として乗らなかったことですね。元々サムの運転でもスピードを控えるようにと口を出す人ですが、女が運転するというだけで怖いというのです。
ジュールズの新規のお店の開店準備をしていた時、店から家に帰るのにアンが運転する車に乗らないかと誘ったところ案の定電車で帰ると言います。
途中、アンは映画館の傍のガソリンスタンドで給油を頼んで、映画を観終わったマイケルやイジーの子供たちを迎えに行きますが、突然目の前を通り過ぎた市電が脱線、ガソリンスタンドを直撃して、アンの車もぺしゃんこになったのでした。
後でその事を聞いたエヴァが、車に乗っていたら私はどうなっていた事やらと言うのが、まるで自分への嫌味の様だと悔しがるアン、なだめるジュールズという構図が何処の国でもありそうだと思ったもんです。
尚、エヴァもヨーロッパからの移民で、彼女が来たのは1919年のことでした。
「シムカ」
郊外の一軒家に引っ越した後、エヴァの弟シムカが生きていたことが分かり、エヴァを頼ってアメリカにやって来ると連絡があります。シムカはエヴァがアメリカに移住した後に生まれた顔も知らない弟でしたが、手紙では何度かやりとりがありました。戦争が始まり音信不通になり、てっきりエヴァは彼も死んだものだと思っていましたが、突然手紙で移住すると連絡があったのです。結婚もしていて幼い女の子がいました。
ボルチモアでシムカは就職先と家を見つけ、後にアンとジュールズに二人目の赤ん坊が生まれるとその子に部屋を与えるためにサムとエヴァはシムカの家に引っ越します。
シムカが来た後、彼らを支援するために家族会が開かれますが、感謝祭での遺恨が残っていて、何かと嫌味をたれるゲイブリエルに怒ったサムが今度は議長を降りて帰宅の途につきます。この後家族会は分断。ゲイブリエルはエヴァの葬式にも来ませんでした。
尚、1年後にはシムカは就職先で知り合った友人の誘いで地方の農場に転職してしまいます。サムとエヴァは農場についていく事はせず、ボルチモアで別の家を見つけたのでした。
「火事」
火事に関するものが構成的にはクライマックスになっていますと紹介記事に書きましたが、なんとジュールズとイジーの新しいお店がオープンしたその夜に火災にあうんですね。
その前にシムカの家族が郊外のジュールズの家に居候をしている時に家族の集まりがあって、マイケル等子供たちが地下室で模型飛行機を燃やすという火遊びをしてエヴァに怒られるというエピソードがあったんですが、このお店のオープンの日にもマイケルとイジーの息子が店内の倉庫で同じように火遊びをしてしまうんです。飛行機に花火を付けていたために思った以上に火の粉が舞ってマイケル達も慌てますが、なんとか消し止めた、と思っていたら夜中になって火災の連絡。マイケルは気が動転して、今は別の所で暮らすサムの所に向かうのです。
消火が一段落した後、アンからサムへの電話でマイケルの居場所を知ったジュールズが向かうと、火事の原因は自分だというマイケルの告白。ジュールズは怒ることはなく勇気を出したマイケルの肩を温かく抱き寄せます。実は火災の原因は4Fに発生した漏電によるものでした。
「K&K」
ジュールズは結婚してクリチンスキーからジュールズ・ケイに。イジーはイジー・カークと名前が変わりました。
二人はいとこ同士ですが、それぞれの妻アンとドゥティも気が合うようでした。
「テレビ」
強盗に刺されて療養していたジュールズに家族会からお見舞いが届く。イジーが勝手に選んだらしいソレがその頃発売されたテレビジョン。
スイッチを入れても放送番組がないので何の意味もない云わば待ち受け画面のようなものが延々と映るだけ。『テレビとは退屈なものだな』とサムがつぶやくのが笑わせます。日本でも最初はそうだったのかも。僕の家に最初にテレビが来たのは小学生の時だったけど、その時は番組があったなぁ。
後にジュールズはテレビに特化した店をオープンしますが、当初は一人も客が無かったのに、番組放送が始まったとたんに・・・というシーンが、街の様子を移動撮影した映像に当時の番組の音声をバックに流すという手法で描かれました。
その後も当時の人気番組がちょこちょこ出てきますが、年輩の方々には懐かしかったことでしょう。僕らでいうと「白馬童子」とか「まぼろし探偵」、「アップアダウンクイズ」とか「ジェスチャーショー」みたいなもんかなぁ。
火災の後、店の経営から身を引いたジュールズの次の仕事がテレビに関連したものでした。
胃がんを患って入院していたエヴァが、見舞いに来た息子に『時間を売るって変な仕事ね』といいますが、企業にテレビCMの時間をセールスする仕事なんですね。デパートの宣伝にいち早くテレビCMを作っていた彼らしい転身でした。
「サムとマイケル」
お祖父ちゃんと孫のエピソードはこの映画の中でも好きな微笑ましいものばかりです。
戸建てが横に繋がったような集合住宅のアバロンの家の時には、学校で居残りをさせられたマイケルをサムが迎えに行くエピソードがありました。「CAN」と「MAY」の使い方の区別が分からないので女性教師に廊下に出されたマイケルを校長が見つけサムに電話をしたのです。
庭付きの戸建ての家に引っ越した時には、夏の夜に近くの池か川縁の芝生の上で涼みながら一夜を明かすエピソードがありました。サムとマイケルとイジーの子供達。近所の人々も沢山出かけていました。夜空を見上げながらサムは1914年に移住した頃の思い出を又しても語っていましたが、気が付くと子供らは眠っていたのでした。サムが『マイケル、マイケル・・』と愛おしそうに呟いていたのも印象深いです。
シムカの家に引っ越すサムとの別れが悲しくてマイケルがジイちゃんに思い切り飛びつくのが可愛かったなぁ。
ラストシーンについては紹介記事に書きましたね。
直前にはジュールズの家で同居するサムが次男坊をマイケルと呼んでしまうシーン、そしてベッドでお漏らしをしてしまうほど年老いたエピソードもありました。
『人生は失敗と成功の繰り返し』
そんな誰かの言葉が聞こえてきそうな懐かしい家族物語でした。
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